サイバーアジア(52)

アジアの流通革命

 中国で目に付くコンビニはおでんを流行らせたローソン(羅森)だが、スーパー(超級市場)で目を引くのはアメリカのウォルマート<http://www.wal-martchina.com>、ドイツのメトロ、そして日本にも2000年末に上陸したのカルフールだ。  カルフールの世界進出<http://www.carrefour.com/en/presence/asie/chine/indexc.htm>によると中国出店は95年からで、現在27店舗で台湾の26店舗を抜いてアジア最多となっている。上海に6店舗、北京に4店舗、天津、重慶に各2店舗など、大都市を中心に出店を続けている。カルフールのアジア進出は89年の台湾出店にはじまる。86年の台湾における外資自由化以後、当初は大型小売店の代名詞だった「そごう」などの日本企業を押しのけ、今や台湾小売業No.1である。  80年代までの中国大陸において、地場の大型小売業はなかったに等しい。同じデザインの衣類が色違い、サイズ違いで用意されていることなどあり得なかった。すべて一点物で見つけたときに買わなければならなかった。そこに家楽福(カルフール)である。衣類、電気製品、書籍、それに売り物の食品。生鮮食料品売り場の生け簀はさながら小動物園だ。土日を中心に夜遅くまで人の途絶えることはない。市場に行くかカルフールに行くかという選択である。カルフールは中国消費者の意識を後戻りできぬほどに変わった。  撤退組もあるものの、華南に展開するイギリスのメトロ、タイを足がかりに韓国でも成功しているイギリスのテスコ・ロータス、韓国・新世界百貨店のEマートなど、日系以外の外資小売業は中国の都市に根付きつつある。  世界の小売業トップ20はウォルマートなどアメリカ10社、メトロなどドイツ5社にフランス、イギリス各2社とオランダ1社と欧米諸国が独占している。香港、台湾で一世を風靡した日系デパートの勢いは今はなく、中国国内では北の香港と呼ばれる大連で、日本の総合スーパーがウォルマートやカルフールに伍して健闘しているのが目立つくらいだ。西洋の衝撃がまたもアジアを開いたようだ。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2001.10)