サイバーアジア(53)

電子掲示板

 電子掲示板システム(BBS)はネット創成期のパソコン通信からあるサービスだが、ブロードバンド時代を目前にした今日でも、相変わらずウェブページの一部として重宝されている。  たとえば、新聞各紙のページに併設された電子掲示板では、各地各様のテーマで論戦が繰り広げられている。人民網<http://www.peopledaily.ne.jp/>は中国の中央紙『人民日報』のウェブ版だが、人民論壇<http://bbs.people.com.cn/>には英語掲示板や日中関係をテーマにした掲示板が含まれている。APEC首脳会合時には「強国論壇」が盛り上がった。韓国を代表する大新聞のウェブ版、デジタル朝鮮日報<http://www.chosun.com/>にも電子掲示板が併設されている。朝鮮日報のシステムは日本にも代理店を持つ韓国企業<http://www.twincom.co.jp/>の製品を使用している。このソフトは「安全な電子掲示板」をうたい、アクセス制限などでセキュリティを守る仕組みだ。すでにPCと携帯の両方から使えるフリーの掲示板ソフト<http://applejam.cool.ne.jp/>さえあるが、こうしたシステムが製品として需要を持つ背景には、ネット上の掲示板がただ議論する場でなく、様々な罵詈雑言が飛び交う特殊なスペースと化しているという事実がある。2ちゃんねる<http://www.2ch.net/>は規制の少ない掲示板群の代表格で、それだけにアクセス数は非常に多い。慣れれば無意識に読み飛ばしながら利用することもできるが、誹謗中傷や「逝ってよし」などのジャンクに耐えられない向きも多く、脱2ちゃんねるを目指した1ch.tv<http://www.1ch.tv/>も開設された。将来は有料化されるそうで、穏やかに議論できる掲示板を維持するには、今のところこうした方向しか見い出せていないようだ。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2001.11)