サイバーアジア(55)

アジア歴史資料センター

  アジアのアーカイブの電子化、特にネット上での公開については、シンガポール<http://www.museum.org.sg>のほか、中国でも寧波など地方の公文書館<http://www.dangan.ningbo.gov.cn/>ではじまるなど、規定の方向として認識されつつある。こうした取り組みが遅れていると思われていた日本だが、突如光明が差した。
アジア歴史資料センター<http://www.jacar.go .jp>の公開するアジア歴史資料データベースは、国立公文書館、外交史料館、防衛研究所など、国の機関が所蔵するアジア歴史資料を、ネットを通じて国内外に情報提供するデジタルアーカイブである。ここでいう「アジア歴史資料」とは、明治期から第二次大戦までの日本とアジア近隣諸国等との関係にかかわる歴史資料を差し、収蔵量は当初目録データ10万件で200万画像、15年間で2700万画像を予定しているという。なお、1画像には1-2ページが含まれる。これらの画像化された原資料は、元の分類からたどる階層検索のほか、キーワードや年代によって探索することもできる。画像データベース閲覧にはデジタルアーカイブの事実上の標準形式であるPDFと同様、OS依存しないDjVu<http://www.imagereality.co.jp/>形式が国産技術として採用されている。
公文書のデジタルアーカイブ化とネット公開という試みが、日本においても標準的な形態として定着するのを祈るばかりだが、内容、時代を限ってもこれほど膨大とは。しかし途方に暮れるより、むしろビジネスチャンスと捉えたいものだ。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2002.1)