2008年度現代企業法(租税法部分)(EX282)


期末試験(2009年1月28日4限実施) 解説
(1) A国法人であるX社が、A国本店でA国源泉所得300を稼ぎ、B国支店でB国源泉所得600を稼ぎ、C国支店でC国源泉所得100を稼いだとする。A国は外国税額控除制度を採用している。A国・B国・C国の税率がそれぞれ30%・40%・20%の場合、X社はA国・B国・C国でそれぞれ幾らの税額を納めることとなるか。(10点)
(2) D国のY銀行がE国のZ社に対して年11%の利子率で10000の金銭を貸し付けたとする。1年後、Z社がY銀行に利子の支払をする際、E国は利子支払について10%の税率で源泉徴収義務を課していたとする。E国に対して誰が幾らの税額を収めることとなるか、また、Z社がY銀行に実際に支払う利子の額は幾らか、説明せよ。(10点)

【解説】 (1) B国:600×0.4=240 C国:100×0.2=20 A国:(300+600+100)×0.3−(600+100)×0.3=300−210=90
(2) 10000に対し利子率11%なので、税引前利子は1100。10%の課税があるので、税額は110。源泉徴収なのでZ社がE国に110の税額を納める。Z社はY銀行に税引後の990を支払う。

採点基準
(1)A国90(一括限度額方式) 計算過程つきで4点。計算過程なしで2点。 A国40(控除限度なし)とか100(国別限度額方式)は講義してないので、3点。 
B国240 3点。
C国20 3点。
(2)納税するのはZ社。3点。
税額110。4点。
Y銀行に支払うのは990。3点。 10990と元本を含めていても3点。

【講評】 (1) 講義では控除余裕枠が余る場合の例を説明したので、控除余裕枠が余らない場合の計算ができるかを問う問題としました。が、そのために、単純に300×0.3=90でも結果だけは正しく出てしまうこととなりました。そのため、計算過程が記されていないで単に「A国:90」などと書いてあるだけの場合は2点減点としました。
 講義では控除限度額がない場合及び国別限度額方式で計算した場合を説明していませんでしたが、問題文に「一括限度額方式とする」などの条件がないので、国別限度額方式などで計算している場合も0点としませんでした。しかし、国別限度額方式にのっとった答案が予想より多くありました。
(2) おおむねよくできていました。
(全体) 平均点はかなり高くなりました。今年は例年と異なり四年生の方が平均点が高くなりました。


四年生平均 13.25
全体の平均 12.76

表紙へ