2011年度現代企業法(租税法部分)(EX282)



期末試験2012年1月25日(水)4時限実施
次の(ア)〜(オ)に当てはまる数字を、下の枠内に記入しなさい。解答の決まりごとを守らない答案(例えばペンまたはボールペン以外で解答する答案、氏名等を書いていない答案)は零点とする。

1.或る法人の貸倒損失の額 (ア) 円が法人税法上損失として認められるとすると、当該法人の法人税額は600億円減少する。但し当該法人には他に充分な収益があり、法人税率は30%であると仮定する。

2.或る法人の配当・利子控除前の粗利益が600であるとする。当該法人が株主に配当100を支払い、社債権者に利子200を支払ったとすると、当該法人の課税所得は (イ) である。

3.累進税率の下では、一人の者に100の所得が帰属している状況(この場合の所得税額を甲とする)より、二人の者に50ずつの所得が帰属している状況(この場合の二人の所得税額合計を乙とする)の方が、納税者にとって有利となりうる。仮に、0から70までの所得について所得税率30%で課税され、70から200までの所得について所得税率40%で課税されるという税率構造であったとすると、甲−乙= (ウ) である。なお講義で所得控除は扱っていないので所得控除は無視する。

4.A国のB社は自社が保有する国債をC国のD社に10000(当初売買価格とする)で売却した。一年後、B社は同種同量の国債をD社から11000(再売買価格とする)で買い戻した。ここで、当初売買価格と再売買価格との差額がA国の租税法規に照らし利子に該当するのではないか、という疑いが生じた。それが利子に該当し、利子に係る源泉徴収税率が15%であるとすると、契約書面上の再売買価格は11000であっても、現実にB社がD社に支払う額は (エ) である。

5.E国のF社とG国のH社は兄弟会社であるとする。E国の法人税率は30%であり、G国の法人税率は40%である。F社からH社に販売する商品の価格が3000である場合のF社及びH社の法人税額合計を丙とし、F社からH社に販売する商品の価格が3300である場合のF社及びH社の法人税額合計を丁とすると、丙−丁= (オ) である。但しF社・H社ともに他に充分な収益があるものとする。

【解説】
1.講義配布資料スライド3〜8参照。600億÷30%=2000億
2.スライド10〜12参照。600−200=400
3.スライド21参照。(70×30%+30+40%)−(50×30%×2)=21+12−15×2=3 または (100−70)×(40%−30%)=3
4.スライド17〜20参照。11000−(11000−10000)×15%=10850
5.スライド22〜27参照。Fの仕入れ価格をf、Hの再販売価格をhとすると、丙−丁={(3000−f)×30%+(h−3000)×40%}−{(3300−f)×30%+(h−3300)×40%}となり、fとhは消えるので、簡略化して、(3000−3300)×(30%−40%)=30


【講評】
各5点です。エクセルに入力していないので正確な平均点はまだ分かりませんが、昨年度(平均点7.51)よりずっと平均点は上昇しそうです。難易度として今年度程度が丁度良さそうです。
1.「2000億」が正解ですが「2000」も○としました。「億」が「数字」に当たらないと思ったのでしょうか。1.だけ「億円」という単位をつけてしまっていたのが出題の不手際でした。これは興銀事件を念頭に置いていたので、〜〜億円という単位になってしまっただけ、というものです。「200,000,000,000」という答案を書いた人も、「億」が「数字」でないと思ったのでしょう。変な気を使わせてすみません。でも「2,000,000,000,000(2兆)」という答案は×としました。600億÷3%と勘違いしたのでしょう。
2.300という誤答は仕方ないですが、180とか270とか良く分からない誤答もありました。
3.10と解答してしまった人(100×40%−50×30%×2)は、超過累進税率の仕組みについて復習して下さい。31という誤答の導き方は不明です。
4.誤答としては9350とか11150とかが目立ちましたが、幾つか1850というものもありました。
5.誤答としては±210というものが目立ちました。(3000×30%+3000×40%)−(3300×30%+3300+40%)(またはその逆)という計算のようです。

2012.2.6追記
全体平均12.9点 法学科13.3点 政治学科12.4点 国ビ学科12.0点……国ビの学生、頑張ってくれーー。
357名登録、343名受験の中で(租税法部分に関する)満点は18名です。おめでとうございます。零点20名……ドンマイです。

表紙へ