2016年度現代企業法(租税法部分)(EX282)



2016年度EX282 現代企業法(1年次後期) 租税法部分 担当:浅妻章如   (ア) 〜 (ケ) に適切な語句又は数字を記入せよ。

1.平成28年度一般会計歳出総額96兆7218億円(100%)のうち、 (ア) は31兆9738億円(33.1%)を占め、国債費は23兆6121億円(24.4%)を占める。

2.或る国で、低収入の人を救済するため、誰でも最低限毎月10万円は消費できるような財政政策が構想された。無収入の浅妻には10万円が政府から支給され、月収8万円の高橋には2万円が政府から支給されるという場合、高橋に対する明示的な課税は無いとしても、経済実質的に浅妻と比べ高橋が税率 (イ) で課税されていることと同様であり、高橋には4万円が政府から支給されるという場合、経済実質的に浅妻と比べ高橋が税率 (ウ) で課税されていることと同様である。(イ、ウは〜〜%で表現される)

3.所得税法89条では、195万円以下の所得について5%、195万円〜330万円の所得について10%、330万円〜695万円の所得について20%の超過累進税率が定められている。或る年における長谷川の給与収入が400万円であり、他に収入は無いとし、給与所得控除が134万円、基礎控除が38万円であり、他に控除が適用されないとすると、長谷川の所得の金額は (エ) であり、所得税額は (オ) である。なお、講義で扱ってないので震災復興増税及び地方税は無いものとする。

4.本問では付加価値税以外の税は無視し、講義で扱っていない簡易課税制度も無視し、付加価値税の負担は全て消費者に転嫁されるものと仮定する。事業者である章如の或る年における仕入額が税抜で2500万円であり、売上額が税抜で7500万円であったとする。付加価値税率が20%の場合、税込の売上額は (カ) である。また、付加価値税率が10%の場合、付加価値税の納税額は (キ) である。

5.法人税率30%とし、本問では法人税以外の税は無視する。法人である美加社の或る年度における粗利益(利子・配当を支払う前の利益とする)の額は500億円であり、美加社は遼社に利子のつもりで200億円の支払いをした。しかし課税庁は、美加社の遼社に対する200億円の支払は利子ではなく配当であると主張した。もしも美加社の主張が認められたならば美加社の税引後の利益の額は (ク) であり、もしも課税庁の主張が認められたならば美加社の税引後の利益の額は (ケ) である。


【解説】
1.2016年11月30日の講演資料8頁より。ア:社会保障 講演で社会保障の支出が日本の税制を圧迫していることが強調されていたことを思い出していただきたい。
2.ノート1頁。イ:100% ウ:75% いわゆる貧困の罠にまつわる実質的高税率の話。
3.ノート6頁。エ:400−134−38=228(万円) オ:195×0.05+(228−195)×0.1=13.05(万円)(13万0500円)
4.ノート9頁。カ:7500万円×1.2=9000(万円) キ:(7500−2500)万円×10%=500(万円)
5.ノート14頁。ク:(500−200)×(1−0.3)=210(億円) ケ:500−200−(500×0.3)=150(億円) 興銀訴訟と過小資本税制を組み合わせたような出題。


【講評】
正答率40%。 小問別ア45% イ09% ウ07% エ52% オ34% カ36% キ44% ク56% ケ47%
全問正解は2人います。おめでとうございます。
アにつき、公共福祉費とか、なんかそれっぽい解答でも正解としました。防衛費とかは流石に不正解です。30兆円超の防衛費、すごいです、軍靴の音が聞こえます。
イウは難しすぎたようです。「理解を試す良い問題だな」と思って作問すると時々こういうことが起きてしまいます。反省。
エオにつき、オを算出してから引き算してエについて214万9500円または386万9500円と書く人がいて、それも正解にしました。問題文が不親切でした。反省。
カキにつき、特にありません。
クケにつき、配当扱いなら利益から控除されないと考えたのであろうという点から、「ク210億円、ケ350億円」という解答も正解にしました。「ク410億円、ケ350億円」という解答は講義内容の理解がおかしいので不正解のままです。素直に税額だけ答えさせる問題にすれば紛れが少なかったと反省。

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