2019年度国際租税法 於上智大学




期末試験解説 上智大学LAW63000国際租税法 浅妻章如 2019.8.2金曜1限
備考:A4二枚に自筆で書き込み(表裏使用可)をした紙のみ持ち込み可

解答の順序は任意だが、解答に際して問題番号を分かりやすく示しなさい。配点は時間配分の目安であるにとどまり、租税法学上有意な記述であれば配点を超える加点も考える。
 (1)(30点)第2年末に500、第3年末に500、第4年末に500の税引前収益(減価償却費控除前)をもたらし第4年末に無価値となる事業用資産の第1年末における割引現在価値を算出せよ。次に、当該事業用資産を第1年末に時価で購入する例について、第1年から第4年にかけて、true economic depreciation(真の経済的減価償却)による課税所得及び租税負担の計算と、expensing(全額即時控除)方式による課税所得及び租税負担の計算を示せ。なお、他に充分な所得があると仮定し、利子率・割引率は25%(年複利)であると仮定し、所得税率は一律40%であるとする。
 (2)(20点)付加価値税法上の0税率(消費税法7条等)と非課税(消費税法別表または消費税法9条等)との違いが分かりやすい数値例を自作し説明せよ。なお、付加価値税率は一律10%であると仮定する。
 (3)(20点)OECD/G20にて、PE無ければ事業利得課税無し、のルールの例外として、nexus(繋がり、結びつき、結節)についての新ルールを考案している。仮に新しいnexusが条約で規定されるとして、併せてprofit allocation(利益配分)についてOECD租税条約のどの条文をどのように修正することが要請されるかを考察し、新nexusルール及び新profit allocationルールについて、従来のnexusルール及び従来のprofit allocationルールとの関係も踏まえつつ、説明せよ。
 (4)(30点)移転価格税制さえ機能すればCFC税制は不要である、という考え方(甲説と呼ぶ)と、移転価格税制が機能していてもCFC税制が機能する余地が別途ある、という考え方(乙説と呼ぶ)とが、対立している。移転価格税制が適用された後でCFC税制が重ねて適用されるべきか否かが問題となる状況(現行法令の解釈論を問うているのではなく立法論的課題であることに留意せよ)の数値例を自作し、甲説・乙説の長所・短所を考察し説明せよ。その際、甲説を前提とした場合の、移転価格税制が現に存在する中でのCFC税制の存在意義も考察し説明せよ。


【講評】講義をノートにまとめていれば解答できるし、講義を聞いてなければ無理。



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