VIII.環境を汚染している内分泌かく乱物質の分解・無毒化

 

 京都大学化学研究所 中村 薫 研究室や本学 加藤 中英 研究室との共同プロジェクト。
 標記物質の分解に光、植物培細胞、ラン藻などの植物を用いる方法を検討している


 

食品・包装容器チーム 主要な成果(1)

包装容器・資材等から溶出する内分泌かく乱物質の分解と無毒化

 

         ポリカーボネート等の食器や包装容器から、その原料で外因性内分泌かく乱物質の一種であるビスフェノールA(BPA)が溶出することが知られている。植物培養細胞(ムレスズメ;Caragana Chamlagu)を用いて100ppm程度のBPAの分解を検討したところ、10日で完全に消失することを見出した。分解の過程も追及し、ペルオキシアニオンラジカルのような活性酸素種を出す酵素が関係しているが判明した。

a)研究目的

 ポリカーボネート等の包装容器から、その原料で外因性内分泌かく乱物質の一種であるビスフェノールA(BPA)が溶出していることが知られている。植物培養細胞(ムレスズメ;Caragana Chamlagu)を用いてBPAの分解を検討し、分解の過程を追跡し得られた中間体から、類似の化学反応と比較し分解の機構を見出した。これらの基礎データに基づき、土壌中または河川や湖沼中に存在するBPAの分解を、植物を利用する分解技術により確立することを目指す。

b)研究結果

 ムレスズメ培養細胞(Caragana Chamlagu)(図1)を用いて100ppmのBPA(1)の分解反応を行ったところ、2日後に消失し、生成した中間体1aと1bも10日後には完全に消失した(図2)。これらの結果は、光触媒(酸化チタン)を用いた場合の結果と一致することも判明した。研究結果からペルオキシアニオンラジカルのような活性酸素種を出す酵素が関係していることが明らかになった。


 

              

1.左図は、ムレスズメ(青木繁伸氏提供, 1999.4.19。 右図は使用した培養細胞

   

2.BPA の減少と中間体の生成

 これらの成果はBiosci. Biotechnol. Biochem., 67 (1), 218-220 (2003).に掲載

 
c)今後の課題

  土壌、河川や湖沼中に存在するBPAの分解を植物による分解の検討を系統的に行い、分解技術の確立を目指したい。