田中治彦
2002年8月12日
鉄腕アトムは2003年生まれ
鉄腕アトムは2003年4月7日に生まれることになっている。これを記念してNHKのBSではアトム特集を2002年にやっている。4月7日の日曜日には、11作品が一挙に放映された。私は午後1時から10時までほとんどぶっ続けで見た。
鉄腕アトムが放送されたのは1963年から66年までの4年間。私は小学校の5年生から中学2年生だったので、毎週土曜の7時はテレビに釘付けだった。今回放送されたのは視聴者からリクエストがあった上位11作品である。
やっぱりおもしろい、今見ても。子どもたちも私と一緒に最初と最後を見ていたのだけれど、シニカルな息子も「けっこうはまるかも」などと言っていた。
どこがおもしろいのかは一言で言えないけれど、ロボットが人間の心をもっていて「悩む」ところがすごくかわいい。差別されているロボットの権利のことも出てきて、今でも新鮮である。単純な勧善懲悪とも違う。
今回鉄腕アトムをまとめて見たけれど、ほとんど思い出せなかった。小学生の理解力はそんなものなのだろうか。でもリクエストの内容を見ると、ほとんど全部覚えているような人もいる。
アトムの後半は中学生になっていたので見ないことも多かった。生活が変化したことと、物語がマンネリ化したことが原因である。それに国産初アニメを小人数で製作したこともあって、絵があらっぽい。そんなことも中学生の自分を遠ざけた理由であろう。でもわずか20分の間に、実に深く広い内容を次々展開しているのには驚きである。
自分でも今さらアニメを9時間もほとんどぶっ通しで見続けることがかできるとは思ってもいなかった。それくらい目が離せなかった。
太陽に向かっていくラスト・シーンは思わず涙ぐんでしまった。
今に通ずるテーマの数々
今回放映された作品だけでも、実にさまざまなテーマが隠されている。科学と人間生活、自然破壊、多文化共生、人権、家族、・・・子どものときには科学と人間くらいしか気づかなかったけれど、今でも新鮮なテーマがふんだんに語られている。
自分は、進学に当って最初は理系をめざした。そして結局は開発教育に落ち着いた。理系をめざしたのは、高校の校長の影響もあるけれど、鉄腕アトムを初めとする当時の科学主義みたいなものもあったであろう。でも結局は、環境とか共生とか人権とかを扱う開発教育に落ち着いた。今見るとこれらのテーマも鉄腕アトムの中でふんだんに語られているではないか。これまで考えたことはなかったが、「鉄腕アトム」の影響を随分受けていた自分に気づかされた。
アトムの特集を見ていて、「家族」ということがかなりテーマとして出てくることに気づいた。アトムの一家はロボットですから、当然血のつながりのない家族である。なにしろ妹のウランちゃんは、アトムが誕生日プレゼントにもらったものなのだから (^^;)
アトムの家族は、どことなく欧米でよく見てきた「拡大家族」に似ている。再婚で片親やときには両親までも血のつながりがないけれど、でもやはり「家族」を構成しているという例は今では珍しくない。ロボットをにくんで破壊しつづけていた犯人、ところがその母親は実はロボットだった、という話しもアトムには出てくる。
手塚治虫がそこまで見とおしていたかどうかはわからないが、ロボット一家にどこか先見性を感じる。
アトムが誕生する2003年まで、テレビの特集から目が離せない。
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