立教大学・田中治彦研究室 


ヨハネスブルグ・サミットに寄せて

2002年8月19日 

田中治彦(開発教育協会代表理事)


 2002年7月13日に立教大学において「国連・持続可能な未来のための教育10年−実現に向けて」と題するシンポジウムが開かれました。このシンポジウムは、ヨハネスブルクのサミットに向けて「持続可能な未来のための教育」というコンセプトを提示し、2004年には「持続可能な未来のための教育10年」を国連で採択させるべく開かれたものです。

 ごく短期間の宣伝だったにもかかわらず会場はいっぱいで、およそ140人は入ったと思われます。学生も多かったです。まず、総括的な話しが「外務省NGO担当大使」の石川薫さんと、立教大学の阿部治さん(日本環境教育フォーラム)からありました。そして、10人のパネラーが次々10分づつスピーチをするという形でシンポジウムが行なわれました。登壇者の内容は、開発教育、教育協力、文部省生涯教育、公害教育、自然教育、環境教育学会、子どもの参画、平和教育、まちづくり、といったところです。環境教育関係が6人、開発教育など国際系が4人です。私も開発教育から発題しました。

 わずか10分のトークでしたが、それぞれ中身の濃いもので、10分でもかなりのことが話せるものだ、と改めて思いました。また、時間の関係で一方的に聞くだけでしたが、それでも参加者の満足度は高かったです。

 環境教育と開発教育の両者が一堂に会して同じ方向を向いて語り合うのはこれが初めてです。ある参加者に言わせると「今日は歴史的な一日」だとのことでした。確かに、これまで理論レベルでは環境教育と開発教育は相互に連携しなくてはならない、とは多くの人が語っていましたが、実際にこのような連携ができたのは初めてのことです。提言フォーラムを通して、環境教育関係者と連携ができ、相互に学び合うのはすばらしいことです。

 私は12年間岡山に住んでいましたが、むしろ地域の方がこのような連携はとりやすいと思われます。実際、南北ネットワーク岡山には開発NGOだけでなく岡山ユネスコ協会のような地球環境を活動内容としているNGOも入っていました。東京の方が実は「蛸壷」なのです。環境と開発教育との連携の動きを、地域レベル、全国レベルで推進していきたいと考えています。

 なぜ、今環境教育と開発教育なのか、「持続可能な社会(未来、開発)のための教育」なのか、について本ホームページ内のいくつかの論文をご紹介します。地球サミット以来、10年間言いつづけてきたことがようやく実践レベルでつながりつつあります。ヨハネス・サミット後の動きに期待しましょう。


 ・「人口」「貧困」「環境」のトリレンマ(『環境教育情報センターNEWS』No.10、1998年11月) 
   地球環境問題を解決するためには、先進国の過剰開発を抑えるだけでは不十分
      であり、途上国の貧困と人口問題の解決が必須であることを述べたショート・エッセー   
 
  ・地球的課題と生涯教育−1990年代の国際会議の行動計画にみる (『立教大学教育学科研究年報』第42号、1999年)
   人口、貧困、環境の問題状況を詳しく解説した基本論文。リオ・サミット以後
      の国連会議のテーマを追いながら、これらの問題解決のキーワードとして、
      ジェンダー、エンパワーメント、NPO、環境・開発教育などを提唱する。
 
 ・市民にとっての地球環境問題(『市民のための地球環境科学入門』,1995年) 
   地球環境問題という「遠い」問題に対して、一人一人の市民レベルで何ができ
   るかを解説した初期の論文。
 
 ・環境教育と開発教育−身の回りから世界につながるカリキュラム(『子どもと楽しむ環境教育ガイド2000〜2001』より、2000年7月) 
   地域の課題と地球レベルの課題を教育の実践レベルでいかにつなげるか、
   そのヒントをいくつか紹介した論文。
 
 ・アクション・リサーチのすすめ−地域学習から世界へ(『開発教育』第46号、2002年8月)
   地域と地球レベルの問題をつなげる具体的な学習方法としてアクション・
   リサーチを提唱。
   
 ・学習におけるグローバリズムとローカリズム−「持続可能な開発のための教育」が提起しているもの(2003年)
 持続可能な開発のための教育とは何か、その歴史的経緯と主要なポイントを解説。
 そして、これを実践する際の内容・方法やヒントに言及。(2003年1月)
 
 ・なぜ「もののけ姫」か(1999年1月)
   開発と環境、そして多文化共生という難しいテーマをよくぞ2時間13分にまとめた宮崎アニメ。

 

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