持続可能な開発のための教育  

「もののけ姫はESD」

田中治彦、阿部治、近藤牧子

後期第12回 2007年1月16日(火)


1.映画「もののけ姫」を部分的に鑑賞

2.もののけ姫の解説(田中)

 もののけ姫の舞台は室町時代に設定してあるが、実は現代社会をそのまま反映している。タタラの村は製鉄を行なっているが、それは人間社会の「開発」を意味している。また、登場人物のエボシ氏や女たちが多く出てくることなども、現代のジェンダーの状況を反映している。また、タタラの村にいるライ病患者からは「差別」、タタラでは新型の銃などが製作されている部分からは「ハイテク・大量破壊兵器」と言うキーワードが読み取れる。

 一方、自然社会の方に目を向けてみると、神々の森には、山犬、ショウジョ、イノシシなどが出てくるが、これらは現代の多文化状況と共生を表している。彼らは対立こそしているが、決定的に滅ぼしあうわけではなく、森の中で共棲(共生)している。そして森の切り崩しは森林破壊・環境破壊を意味している。登場人物のアシタカは人間と森の調停役としてここでは登場しており、現代社会でいえば国連のスタッフやNGOのコーディネーターということがいえるだろう。最終的にはアシタカは森にも行かず、村にも戻らない。タタラに留まり、人間界と自然界の間で生きていくという選択をする。ここにひとつの大きなメッセージがある。サンと一緒に暮らせば「愛は地球を救う」という陳腐なメッセージになるし、故郷の村に戻れば個人的な武勇伝に終わってしまうからである。

 物語の最後に森の主であるシシ神を人間が殺すシーンが出てくる。シシ神が殺されることにより、太古の森は現代の森に生まれ変わる。ここには2つの対立したもの(ここでは人間と自然)を止揚して、次のステージへのぼっていくという弁証法が使われている。1997年公開という世紀末的状況の中で、未来へ一抹の希望をもたせる結末となっている。

  (詳しくは本ホームページ「なぜ、もののけ姫か」を参照のこと)

 もののけ姫のテーマはまさにESDである。ESDは、環境・開発・多文化共生を兼ね備えた概念であり、この映画は短い時間でそれらを見事に表現している。本授業を通して、ESDの入り口の部分にについて授業で伝えてきたが、ESDについて今後も各自で考えてもらえたらと思う。

3.近藤より一言 

  私たち人間が生きていくことを考えていくこと自体がESDになる。次にどうしていくかを常に考え、ESDについても考えていってほしい。


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