地域をひらく国際協力 −南北ネットワーク岡山10年の挑戦− 田中治彦編 大学教育出版,1997年,1800円+税
アジアやアフリカで貧しい人々のために活動している地元のグループと関わることで、逆に日本で協力している側の者が気づかされ、地域を拓いていく − 本書はそうした活動を続けてきた岡山のNGOたちの10年間の記録である。南北ネットワーク岡山は国際協力や開発教育に関わってきたNGOの人々の連絡組織であり、この間、セミナー、シンポジウム、音楽会、写真展などを通して、岡山の地に国際協力の種を蒔きつづけてきた。それはやがて国際協力劇『明日はきっと晴れる』となって結実する。本書は国際協力を通して地域を耕しつづけてきた岡山の「地球人たち」の10年にわたる挑戦を集大成している。
本書の「第1章つむぐ」では南北ネットワーク岡山の10年の歩みを、世界の動きと日本のNGOの動向のなかで位置づけている。南北ネットワーク岡山が結成された1987年当時はそのメンバーですらNGOやODAという用語を知らない者がいた。ましてや南北問題や国際協力に関するセミナーに参加してくる市民は限られていた。それが現在では岡山のあちらこちらで国際セミナーや地球市民講座が当たり前のように開かれるようになった。時代の流れとはいえ、国際協力・開発教育の普及に果たした南北ネットワーク岡山の役割は高く評価されよう。
「第2章たがやす」では、それぞれのNGOがこの間どのように活動してきたのかを団体ごとに記述している。ローカルNGOのよいところで、国際協力を掲げている団体もそうでない団体も、ともに世界とつながりながら地域を耕していく様子が目に見えるように分かる。次の団体の活動を紹介している−ネパールやぎの会、AMDA、ネグロス・キャンペーン岡山、岡山ユネスコ協会、アムネスティ岡山、岡山草の根市民センター、岡山YMCA、中高生による沖縄体験交流ツアー世話人会、幼い難民を考える会。
「第3章つたえる」ではこの10年の最大のイベントである国際協力劇「明日はきっと晴れる」のシナリオの全文を収録する。ネパールに医療ボランティアとして出向いた主人公「里子」は現地のカースト制や貧困の状況に驚き悩みながら活動を展開する。その活動は結局、現地からの否定的な反応を生み出してしまう。劇は真の国際協力のあり方を問いながらも、「自分探し」の悩みを抱える現代の若者への応援のメッセージを含んでいる。
「第4章つながる」には、南北ネットワーク岡山の活動年表、国際協力NGOリスト、NGO活動のキーワードが紹介されている。
これまで海外での国際協力の現場の活動をレポートした出版は数多くあったが、国際協力を通して「地域づくり」を行った活動報告はほとんど見られなかった。地域と世界がいかにつながっていけるのか、その可能性を岡山という地から発信した本である。
第1章 つむぐ−南北ネットワーク岡山の軌跡
南北ネットワーク岡山と私
第2章 たがやす−岡山の地球人たち
第3章 つたえる−国際協力劇『明日はきっと晴れる』シナリオ
第4章 つながる−こちらNGO資料室
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