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この公開講演会では、3人の研究者がそれぞれの立場から言語と文化の関わりについての考察を行った。
まず、HidasiJudit(ヒダシ・ユディット)氏が、豊富な日本やヨーロッパでの滞在経験を基に、コミュニケーション能力に関する報告をした。氏はまず、アメリカのレーガン元大統領、日本の小泉首相、キューバのカストロ議長が効果的なコミュニ
ケーターであることを指摘、3人がそれぞれ違った特徴を持ったスピーチを行っていることから、効果的な説得に必要な手法が文化によって異なることを説明
した。このことから、異文化コミュニケーションにおいては、背景に持つ文 化・社会に適応させたかたちでコミュニケーションをすることが重要であるとの考
えを示した。また、現在のヨーロッパの言語状況についての説明があっ た。EUでは加盟国が増加するとともに、加盟国に対応して公用語も増やしている。会議などで必要とされる通訳・翻訳の経費は膨大な額にのぼるのだという。ヨーロッパがEUという大きな組織に統合する方向に向かいつつも、言語や文化的アイデンティティは失われることなく、むしろ強調されつつあるという
興味深い状況が報告された。
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続いて、Michael Paige(マイケル・ペイジ)氏の講演では、speech act(スピーチ・アクト=発話行為)の研究が異文化コミュニケーション研究に役立つという主旨の報告があった。例えば、「謝罪」するためにどのような
言葉が使われるのかというのは、文化・社会的に異なるという。ある研究によると謝罪の際には次のようないくつかの言語運用上の方略が見られる。謝りの言葉を述べる、理由を述べる、2度と起こらないと説明する、損害を補償する旨を述べる、責任の所在を言及する、といった様々な表現が用いられていること
だ。この「謝罪」をカテゴリーに分けて調査することのように、言葉の意味だけでなく文化・社会的な働きについて調べることは、異文化コミュニケーション
研究においても重要なことであると指摘された。
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最後に、岡部朗一氏が、スピーチコミュニケーション研究の例として歴代アメリカ大統領のスピーチ研究について話された。アメリカ大統領の言行を研究す
ることで、そのレトリックや背景を明らかにするのだという。アメリカの大統領のスピーチの特徴は、とにかく「語りまくる」ことだそうだ。メディアの発達
とともに、政治コンサルタントやスピーチライターが登場したという指摘も興味深かった。これまでの大統領の演説を分類すると、就任演説、一般教書演説、
弁明演説、戦争スピーチ、離任演説といったジャンルになる。この中で弁明だけを見ても、事実の否定、補足説明、分離、矮小化といった手法を使って弁明を
しているのだという。このような研究を通じて、アメリカの「語る文化」の一面が表出しているのが分かるのである。
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以上のように、それぞれ違った背景を持つ3氏が、それぞれに興味を持っている分野においての言葉と文化の関係について話されたのだが、異文化コミュニ
ケーション研究科の授業でも扱うテーマとの関連も多く、興味深い講演会となった。
以 上
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