総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究1945-2005」は2003年4月より2008年3月まで実施されました。ラオス、タイ、中国雲南を中心として、自然と人々との関わり合いを明らかにしてきました。
100人を超える研究者が集まって実施してきた研究の成果は、すでに各年度の報告書、個別論文として多数でていますが、弘文堂より専門書としても刊行されました。
ズブズブ班は、水環境の変化の顕著な場所としての平野部、そして水田稲作を軸として、伝統的な暮らしに対する都市化の影響に焦点をあてた地域生態史研究を担当しました。農学・作物学、水・環境科学、地理学、人類学、東南アジア史学、植物生態学、林学など、この地の自然環境と多様な生産物や人間活動の解明に応じた諸分野の研究者が集まった協働体制によって研究を進めてきました。
そこで、首都ヴィエンチャン近郊のサイタニー郡を対象として平野村落の特徴を明らかにしました。さらに、平地の「水」環境と生業複合の変化を実証的にとらえるためには、研究の対象地域としては、今も新たな水田を開拓しつつある一方で豊富な森林や自然の河川池沼が存在し、なおかつ都市化の影響も現れている場所が望ましいと考え、2005年度からはこの平野の典型的環境である丘陵と低湿地、森と天水田のみられる村として、郡の南部に位置するドンクワーイ村を選んんで参与観察調査を進めてきました。
ズブズブ班は、今後、科学研究費プロジェクト「海外フィールドワークにおける地理的知の還元モデルの構築」、「東南アジア平原地帯における複合的な資源利用とその持続的発展に関する研究」、「東南アジア大陸部の天水田稲作地域における生業複合の意義に関する総合的研究」、トヨタ財団研究助成「ラオスから発信する自然資源食料利用とその未来可能性」に引き継がれてさらに展開していきます。これからもよろしくお願いします。
ズブズブ班としての成果は『ヴィエンチャン平野の暮らし』(めこん)にまとめました。