ESDとは

 持続可能性や「持続可能な開発」がカバーする、環境や開発、貧困、平和、人権、ジェンダーなどの世界共通の課題解決に向けて、環境教育や開発教育、平和教育、民主主義教育などの地球課題教育(いわゆる国際教育)が1960年代から取り組まれてきました。これらの地球課題教育は個別的になされてきましたが、様々な事象が複雑にからみあう地球環境問題の登場を契機に、これらの課題が相互の相互不可分性が認識されるようになり、同時に、個々の地球課題教育のアプローチのみでは、自身の課題すら解決しえないことから、あらゆる地球課題教育を統合したアプローチの必要性が主張されるようになりました。これがいわばESDの始まりです。すなわち、ESDはグローバリゼーションの進展に伴って必然的に登場してきた教育思潮であるということができます。環境問題への取り組みの中から生まれてきた持続可能性がESDの主要概念であることや、地球サミットや環境教育にかかわる国際会議などを通じてESDが成立してきたことから、ESDと環境教育は密接に関係しており、環境教育の発展形としてESDを位置づけることもできます。
 DESD国際実施計画(ユネスコ、2005)では、ESDについて、「持続可能な開発の原則、価値観、実践を教育と学習のあらゆる側面に組み込む」こととし、持続可能な社会という価値による牽引、環境・経済・社会の視点による総合的取り組み、国連が進めているミレニアム開発目標(MDGs)や「万民のための教育」(EfA)と密接に関係していることなどが指摘されています(ユネスコ、2005)。
 国際実施計画をベースに策定された国内実施計画(国連持続可能な開発のための10年関係省庁連絡会議、2006)では、ESDを次のように定義しています。「私たち一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革することが必要であり、そのための教育」。
 阿部は、国際実施計画、国内実施計画のいずれのESDの定義にも同意した上で、学習者の視点から、ESDを「人々が持続可能な社会の構築に主体的に参画することを促すエンパワーメントであり、そのための力(つなぐ力、参加する力、共に生きる力、持続可能な社会のビジョンを描く力、など)を育む教育や学び」と定義しています。
 このようなESDの視点に立つと、ESDは世直し教育であり、DESDは私たちが元気になるための国民運動であるともいえます。
(出所:ESDをつくる~地域でひらく未来への教育~。)

参考図書:持続可能な開発のための教育-ESD入門-