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多彩なコラボ、21世紀を拓く
21世紀社会デザイン研究科では、様々な分野で活躍する有識者らを招き、
次代を切り拓くテーマを掲げた講演会を、年に何度も行っています。今回
はその中から今年度に行われた4つの講演会についてご紹介します。
大学から環境マネジメントを考える
〜私大初のエコアクション取得へ〜
2007年7月12日、立教大学池袋キャンパスにて「大学の場
から環境マネジメントを考える〜ゴミの分別・出す作法〜」
をテーマにした公開講演会が開催されました。池袋キャンパ
スから排出される廃棄物は年間約1000t。調査の結果、大学
がゴミ削減への努力をしているのにも関わらず、学生の分別
への努力が徹底して行われていないということが分かってきました。
例えばペットボトル。管財課によると処理機がパンクしたこともあ
るということでした。「みなさん蓋をして出してくれますので、縮めようとしても体積が
縮まりません」「しかし、分別率100%を目指しているわけで
はなく、80パーセントぐらいを目標にしています。考えを切
り替えたほうが世の中うまくいくことがあります」
21世紀ゴミデザインラボでは、大学のゴミ問題を通して、
立教大学における環境マネジメントについて考えています。
いくつかある環境マネジメントシステムの中、エコアクショ
ン21に注目しています。エコアクション21は国際規格である
ISO14001をベースとして、中小企業や学校、公共機関が取り
組みやすい環境マネジメントシステムのあり方を記述したガイドラ
イン。エコアクション21の特徴は、(1)ISO14001より経済的である(2)
環境負荷削減への具体的な要求(3)環境活動レポートの作成と公表に
あります。
光熱費や廃棄物処理にかかわる経費の削減、環境レポートを作成
し信頼性の向上を期待できる等実用的かつ優れた面が確認されてい
ます。大学が先頭に立って環境問題を考えていくことの意義
が共有された講演会となりました。
日本の社会保障の将来を見つめて
〜アメリカ型か、それともヨーロッパ型社会保障へ行くのか〜
2007年11月29日、立教大学池袋キャンパス8号館に於いて
「日本の社会保障の将来」をテーマにした本研究科主催の公
開講演会が開催されました。
いわゆる構造改革のもとでの格差社会の進行、未曾有の少
子高齢化がもたらす社会保障給付の加速的拡大、財政危機の
中での歳出削減政策の一環としての社会保障費の抑制策など、
日本経済社会の持続可能性と生活の基盤としての社会保障の
あり方が問い直されています。また、社会保障のあり方が財
源確保の課題を含みつつ、大きな政策論議として巻き起ころ
うとしています。
こうした現状を踏まえて、コーディネーターを本研究科の
高橋紘士教授が務め、長年に渡り医療、介護を始めとする日
本の社会保障政策の政策決定のあり方を研究してきたミシガ
ン大学名誉教授のジョン・クレイトン・キャンベル氏と、長
年厚生労働省で介護保険制度等の政策形成の要衝にあり、現
在は内閣府審議官(経済財政運営担当)として日本の社会保
障政策形成の中枢にある山崎史郎氏を迎え、多角的に日本の
社会保障の将来について論議が行われました。
キャンベル教授からは、「日本の社会保障制度はかつてない
ほどのターニングポイントを迎えている。今後の日本が、ア
メリカ型の社会保障に行くのか、ヨーロッパ型の社会保障に
いくのかと言っても過言ではない。」として、海外との比較を
もとに介護保険をはじめとする日本の高齢者施策の成功と、
その反面、障害者や若者などその他プログラムが不十分であ
ることや介護職等の人的資源の問題など、社会保障政策のあ
り方への提言を行いました。また、山崎氏からは、「まだ定量
化していない日本の将来」との切り口で、危険水域にある日
本の財政や、高齢化比率は増えるが人口そのものは減少して
いく日本の20年後を見据えた短期的・中長期の課題について
報告を頂きました。
その後のディスカッションでは、人口減少、高齢化の最後
の上り坂を迎える今後20〜30年間について、遅れてきた獲得
政治や経済成長の質と社会保障のグランドデザインなど、各
氏の鋭いコメントが飛び交い、予定時間を30分も超過する熱
い議論が交わされました。
CSR活動の今
〜企業とNPOのコラボレーションの可能性〜
2007年11月27日に立教大学8号館で「CSR(企業の社会的
責任)活動の今」というテーマの公開講演会が開催されまし
た。
「日本で昨今話題になっているCSRは、コンプライアンス
や環境問題などを中心とした議論になっているが、欧州では
より広範な社会・人権・雇用問題などの関係とからめて議論
されている。今後、日本企業はCSRを持続可能なものとする
ために、NPOとの関係を深めたり、NPOとのコラボレーショ
ンの可能性を模索する必要がある」という視点から、日本の
CSRを考えるという方向性で講演会は進められました。
講演会では、まず冒頭に本研究科の中村陽一教授による「C
SRとNPOコラボレーションの現状と問題提起」というテー
マの基調講演が行われました。講演では、現在のCSR活動の
実態や課題などが挙げられたほか、CSRとは理念の広範な運
動体という部分もあるので、CSRを一つの形、一つの議論で
決めつける必要はないという見解が示されました。
続いて壇上では浜谷英一氏、宍戸奈津子氏、野口千歳氏ら
から、現在取り組まれているCSR活動やNPOとのコラボ
レーションに関する報告がなされました。
浜谷氏は、三菱地所のCSR推進部副長という立場からCSR
に取り組まれており、本業を通じた社会貢献活動を軸に議論
を展開した。実際の活動として地元地域の中学校への教育支
援活動が示され、NPOがコーディネーターとして企業と学校
の間で果たす役割の重要性について言及されました。
一方、宍戸氏はサントリー次世代研究所の研究員という立
場から、主に若者のメディアライフスタイルや情報行動につ
いて研究されており、その一環として若者のワークスタイル
を調査したことから若者の就労支援活動に関わるようになっ
たと述べていた。また、NPOとのコラボレーションによって
若者の就労支援で成果が上げられており、企業とNPOが協働
することで活動に新たな広がりと可能性が生まれると報告さ
れました。
そして野口氏は、CARE International JapanというNG
Oに所属されている立場から、NPO、NGO側から見た企業と
のパートナーシップ関係について報告。それによると、まだ
企業とNPOとの間には「支援者」と「実施者」という上下関
係が見え隠れしており、真のパートナーシップを築くには両
者のニーズを満たして理想を実現するというwin-winの関係
が求められるとの見解が披露されました。
これらの報告を受け、最後にコメンテーターを務めた立教
大学経営学部のスコット・デイヴィス教授が、ジョークを交
えながらコメント。「このような講演会は5、6年前では考え
られなかったし、人も集まらなかったのではないか。NPOと
のコラボレーションの障壁となる問題としては、企業に余裕
がない、短期的に成果が出る物ではない、長期的な関係を築
くのが容易ではないといったことが上げられる」と総括しま
した。
その後、デイヴィス教授と報告者の間で対談が行われ、講
演会終了予定時刻を過ぎても熱い議論が続きました。
新たな公共を支える寄付税制のあり方
〜「ふるさと納税をこえて」〜
「ふるさと納税は、日本の寄付制度を変え、個人の寄付行為
を促す契機となるか」。「新たな公共」を支える寄付税制のあ
り方をテーマにした研究科主催の公開講演会が2007年11月
30日、立教大学の池袋キャンパスで開かれました。
講演会には、総務省の「ふるさと納税研究会委員」を務め、
慶応大学商学部教授の跡田真澄氏をはじめ、経済界から小島
邦夫・経済同友会副代表幹事、税制面では税制調査会特別委
員の出口正之氏、また、地方行政を預かる立場として神奈川
県知事の松沢成文氏、そして市民の視点から、松原明・市民
活動を支える制度をつくる会代表らが参加。豪華パネリスト
を招いての実務的な議論が戦われました。
講演会では、まず跡田氏が日本における寄付の現状につい
て基調講演。跡田氏は「日本の寄付は、米国の10分の1。し
かもその9割が企業で、個人寄付はわずか10%に過ぎない。
今回のふるさと納税を巡る議論は、その個人寄付を増やす
きっかけにしていきたい」と切り出しました。
また、「ふるさと納税は、市民がお金を出し行政が基金にし
ていくという点では、『市民ファンド化』へのステップにも成
る」と意義を強調。その上で、新たな資金提供を受ける側の
姿勢として、「情報をきちんと出しているか」という点を指摘
されました。つまり、その資金の目的や使途、団体のミッショ
ンといったことの情報開示度こそ、寄付による「市民ファン
ド市場」を機能させる重要なファクターであり、「寄付しよう」
という人々の「意思」を育てる力になるというのです。そし
て「この意思を育てることこそ先決であり、追加的な措置と
して税制を整える必要がある。ぜひ日本の寄付の規模をGD
Pの1%まで、まずは引き上げたい」と加えられました。
一方、これを受けて展開されたパネルディスカッションで
は、残る4氏が持論を展開。小島氏は「なぜ今、寄付なのか
と言えば、それは個々の利害や価値観が多様化しているから。
単に国に税金を納めていれば、満足のいく公共サービスが受
けられる時代かと言えば、そうとは限らない。つまり『公』
を担うのは、もはや官だけではなく、むしろ個人や企業市民、
NPOなども重要な役割を担っている。だからそこに資金を
供給していく。ここに寄付税制の意味がある」と指摘。また
出口氏は「米国では、市民感情の中に『政府はあてにならな
い』との思いがあるため、非営利セクターにも寄付という形
で資金が流れている。寄付をすることは『公共とは何か、そ
して公益とは何か』を市民一人ひとりが考える機会になる」
と説明。そして松原氏は「寄付というのは、自分のお金を社
会の中でどう使い、自身の意思を反映させていくかというこ
と。つまり、寄付者の視点は『社会参加』にある。しかし、
現在は寄付を欲しい側が求めているだけの状況で、寄付を増
やすには寄付者のニーズに沿い、寄付者の満足度を上げる仕
組みや説明が必要だ」と解説されました。
こうした議論を受け、松沢知事は「現在では社会が様々な
公共で成り立っているということ、そして社会参加への重要
性の認識が薄い。そうした中で社会性や公共心をどう育てて
いくか。神奈川で色んな仕組みを作っていきたい」と意気込
みを披露されました。
そして最後に、コーディネーター役のパブリックリソース
センター理事で本研究科講師の岸本幸子氏から「新たな公共
を支える寄付社会は目の前まで来ている。社会を変えていく
力をサポートするものとして、寄付税制について考えていけ
たら」とのまとめが述べられ、盛況の内に幕を閉じました。
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