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社会起業家――社会の課題解決を事業としてとらえ、地に足のついた持続的な取り組みを行う人たち。ここでは、若者の
ニート・引きこもり問題に取り組む「K2インターナショナル」の岩本真実さん、カンボジアの児童買春問題に取り組む
「かものはしプロジェクト」の村田早耶香さんという2人の社会起業家に、それぞれの課題解決に向けた取り組みと熱い思
いを聞いた――――。
岩本真実さん K2インターナショナルジャパン Y-MAC統括責任者
K2インターナショナルはどんな事業をしているのですか
K2インターナショナルは、世間ではニートや引きこもりといわ
れるような様々な生きづらさを抱える若者たちを支援しています。私が統括している「若者自立塾Y
−MAC」は、3か月のプログラムのなかで、共同生活を中心として、就労・自立に向けた様々なプ
ログラムを行っています。Y−M
ACでは自営店舗での就労体験や協力企業でのインターン
シップを重要視しており、特に自営店舗の一つ、「アクアカ
フェ」はまったく初めて働く経験をする若者などが、仕事を
通して人とのかかわりに自信をもってもらうためのプラット
ホーム的な場として位置づけています。就業研修の場という
と、訓練の面にばかり光が当たり、採算は二の次ということ
も少なくないのですが、私たちは、若者の確かな就労の場と
なるためにも、ビジネスとしての採算性も重視しています。
そのためにはお店に魅力がないといけませんよね。ですから、
たとえばアクアカフェでは、バリスタの資格をもつスタッフ
がいれるコーヒーをウリにしていますし、季節などを考えな
がらメニューも頻繁に入れ替えています。
どのような思いから事業にかかわるようになったのですか
私は短大を卒業し、証券会社に就職したのですが、働くう
ちに私は誰のために働いているんだろうと思うようになりま
した。証券会社を3年でやめ、ボランティアとしてK2に参
加してからもう14年になります。K2はオーストラリアと
ニュージーランドにも拠点があり、10年近くは現地のスタッ
フとして、海外で共同生活や飲食店の立ち上げなどをしてい
たんですよ。
K2が目指す社会復帰支援とはどのようなものなのですか
まず、入り口も出口もたくさん用意するということです。
不登校だったり人づき合いが苦手だったり、心の傷を引き
ずって社会になじめなくなっていたりと、K2の門をたたい
てくる方々の背景は様々です。ですから、入り口は1つでな
く、それぞれの理由を考慮した受け入れ方、それぞれに合っ
た支援ができるようにしたいと思っています。K2が経営す
る飲食店もそのための一つといえます。人によっては、きっ
かけさえあれば早い段階で就業・自立につながる若者もいま
す、しかし私たちのところに来る若者の多くは、もっと様々
なものを抱えて身動きがとれなくなっています。K2が運営
する自営店舗は、若者たちが生きづらさを抱えながらも、互
いに支えあい、補い合いながら、共に暮らし、生きていく、
そんな場でありたいと思っています。ただ、私たちの活動は
広く多くの若者たちに対するものではなく、たとえばクラス
に1人、2人というような少数派、マイノリティになってし
まう若者たち、公共サービスや支援の手からこぼれ落ちてし
まった人たちに対して支援を続けていきたいと思っています。
今後に向けた計画などがあれば教えてください
計画というほど具体的ではないのですが、自立支援を必要
とする若者向けの奨学金制度のようなものをつくりたいと
思っています。生活を立て直すためにはお金が問題になるこ
とが多いからです。働く意欲はあるのに、まとまったお金が
ないから、フリーターなどでその日暮らしのお金を稼ぐだけ
で精一杯という若者がいます。働き始める、職業訓練を受け
る、また一般の就業ではない自立のかたちを模索するための
猶予期間をつくることで一歩踏み出せる若者はたくさんいま
す。それと、K2に相談に来る方の年齢が年々高くなってい
る現状で、もっと早い段階で適切な支援ができ
たらと強く感じています。
今年は「子育てスポットくすくす」(乳幼児の親子の居場所)
をオープンしました。子育て期のお母さんたちも相談できる
仲間や息抜きできる場、人とのつながりを必要としていて、
それは私たちの活動の予防的な役割も担っていると思ってい
ます。K2はもともと不登校問題を中心に様々な生きづらさ
を抱える若者たちに対して支援をしてきました。そのなかで
経済的な自立という大きなミッションに取り組み続けていま
す。これからも、福祉とか教育といった言葉にとらわれず、
目の前にいる若者たちが元気になる取り組みを通じて、K2
らしさを発揮していきたいですね。
K2インターナショナルの活動の詳細はホームページを
ご覧ください。
http://www.k2-inter.com/
村田早耶香さん かものはしプロジェクト共同代表
かものはしプロジェクトの活動について教えてください
私たちはカンボジアの児童買春をゼロにすることを目指し
て活動しています。活動の柱は、カンボジアでのコミュニティ
ファクトリー事業と日本でのIT事業です。児童買春の元凶
には、親に仕事がないということがあります。お金がないか
ら子どもを売り、その子どもたちが過酷な労働や売春をさせ
られる。この流れを止めるために、私たちは現地にハンディ
クラフトの作業場を作り、職業訓練と就業の場にしています。
定期収入の道ができれば、わが子を売るようなことがなくな
ります。子どもたちは学校へ通えるようになり、貧困から抜
け出すことができます。もう一つの柱のIT事業は活動資金
づくりが目的で、ホームページの作成やメンテナンスを行っ
ています。寄付金をもとに活動するのでは、財政基盤が不安
定だったり、活動を継続・拡大することが難しくなります。
そういうことがないよう活動資金を自ら生み出すための事業
と位置づけています。
村田さんの問題意識はどのように芽生えたのですか
2001年の夏、大学2年のとき、初めて東南アジアへ行き、
児童買春のひどさに衝撃を受けました。
カンボジアでは、わ
ずか10歳の子が電気ショックや麻薬で抵抗できないようにさ
れ、売春をさせられていました。買春の結果、HIVに感染
した母親から母子感染した子もいました。
「この子は何も悪いこ
とをしていないのに……」「同じ人間として考えられ
ないことが起こっている」と感じました。もともと、国際協力やN
GO活動に興味があり、児童買春に問題意識をもってはいましたが、
自分なりに動き始めたのはカンボジアに行ったことがきっかけです。
何とかこの状況を変えなければと、本で知識をつけたりNGO活動に
参加するようになりました。
「かものはし」はどのように立ち上がったのですか
自分なりに動き始めたといっても、最初は20年後に自分で
活動を立ち上げるのを目標に、NGOのスタッフなどで経験
を積むつもりでした。ただ、実際に動くなかで、これでは自
分の問題意識と真正面から取り組むにはほど遠いとも感じる
ようになっていました。そんなとき、学生が国際協力につい
て考えるシンポジウムで、現在の共同代表である青木と本木
に出会ったんです。「今始めれば20年早く子どもたちを助ける
ことができる」と言われ、2人が協力してくれることになり、
2002年の夏、「かものはし」が発足しました。持続的・発展
的に取り組むために事業を起こすというアイデアは2人から
出てきたものです。事業計画や将来性をプロのコンサルタン
トの方がボランティアで見てくださり、その過程で、児童買
春をなくしたいという思いだけではなく、しっかりプランを
立てて活動することを教わり、現在の事業モデルが出てきま
した。
今後「かものはし」はどのような展開を考えていますか
今、私たちは5年後どうするかということを考え始めてい
ます。カンボジアではだいぶ状況が改善されてきました。も
ちろん、失業率の高さやHIVといった問題は残っています
が、あくまでも私たちの使命は児童買春の撲滅です。ですか
ら、児童買春をなくすという使命に沿って、他の国に活動を
広げていこうと計画しています。児童買春の問題が起こって
いる国で、カンボジアと同じようなコミュニティファクト
リーのモデルを展開できたらと思っています。
社会起業家としてどのようなことを大切にしていますか
正直なところ、私は自分が社会起業家なのかということに
はこだわっていません。ただ、社会への説明責任を果たして
いくこと、ノウハウを波及させること、世の中によい影響を
及ぼすことという私たちが大切にしていることは、社会起業
家の条件と共通したところがあるかもしれません。私の中で
は、初めて現地に行った時から今日まで、児童買春をなくし
たいという思いが続いています。時々胸に手を当てて、自分
は胸が張れることをしているだろうかと考えることがありま
すが、いつもそれを肯定できるようでいたいと思っています。
かものはしプロジェクトの活動の詳細はホームページを
ご覧ください
http://www.kamonohashi-project.net
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