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Vol.12 [2009-01-15発行]  PDF版

●[アジアは、今・1]
アジアの持続可能な社会づくりに向けて

●[アジアは、今・2]
21世紀の市民社会をデザインする

●新任教授紹介
●活躍してます 修了生
●同窓会設立
●キャンパスの声
●院生の活躍
●21世紀社会デザイン研究科
 公開講演会開催

●2008年度後期公開講演会一覧
●21世紀社会デザイン研究学会
●立教大学社会デザイン研究所 設立
●編集後記

Vol.11 [2008-07-25発行]  PDF版
Vol.10 [2008-03-31発行]  PDF版
Vol.9 [2007-07-12発行]  PDF版
Vol.8 [2007-04-11発行]  PDF版
Vol.7 [2006-11-15発行]  PDF版
Vol.6 [2006-03-15発行]  PDF版
Vol.5 [2005-08-31発行]  PDF版
Vol.4 [2004-12-20発行]  PDF版
Vol.3 [2004-07-31発行]  PDF版
Vol.2 [2004-01-31発行]  PDF版
Vol.1 [2002-09-20発行]  PDF版

『Social Designer』Vol.1は、PDFファイルでご覧ください


2008年後期、第一線で活躍する方々をお招きし、 多くの公開講演会が催されました。今号では3つの 講演会を紹介いたします。



地域ケア創造への挑戦〜社会保障の将来像を考える〜

21世紀型地域ケア創造への挑戦と将来の社会保障の姿

2008年7月19日開催
◆パネリスト:
 大森 彌 東京大学名誉教授
 中沢卓実 常盤平団地自治会長
 市原美穂 NPO法人ホームホスピス宮崎理事長
 小山 剛 長岡市こぶし園総合施設長
◆コーディネーター:
 高橋紘士 21世紀社会デザイン研究科・コミュニティ福祉学部教授

 未曾有の超高齢社会を迎え、従来の行政、専門家主導の福 祉・医療・介護政策に限界が見え始めているのに対し、地域 では創造的な活動が多様な領域で展開されています。本講演 会は高橋教授のコーディネートのもと、そうした新たな地域 づくりの実践に学び、ケアを主題としたコミュニティ・デザ インのあり方について考えていくという趣旨で開催されまし た。
 基調講演では大森氏により、社会保障国民会議での論議が 紹介され、サービス提供を担う地域・職域の現場が直面する 課題・困難を直視して問題解決を図ることが強調されました。 また、専門家を横につなげ、地域のネットワークづくりを研 究していきたいとのお話でした。
 報告と討論では、地域ケアの現場から三者の活動が紹介さ れました。まず、団地内の孤独死ゼロをめざして5年余り活 動してきた常盤平団地自治会長の中沢氏からは、孤独死の発 生が団地にもたらす影響は、心的のみならず建物等への経済 的打撃も大きいというショッキングな実態と課題解決に向け た活動の成果が報告されました。
 続いて1998年に民家を借りてホームホスピス「かあさん の家」を開設した市原氏は、ターミナルケアでは看護・介護 者と入居者相互の息遣いや気配が感じられる空間づくりや地 域の人たちとの話し合いが大切であることが述べられました。 さらに、小山氏からは、従来の大規模集約モデルから、地域 全体が介護サービスの機能をもつ地域生活モデルへというケ ア概念の転換、ならびに「サテライト型居住施設+小規模多 機能型居宅介護」というケアモデルについてお話いただきま した。
 それぞれの発表から、地域で抱える問題に真正面から取り 組んでいる志の強さが感じられ、会場は笑いあり涙ありの盛 り上がりでした。



なぜ今、ワーク・ライフ・バランスなのか

ワーク・ライフ・バランス社会実現のために、
教育セクターの果たすべき役割について

2008年11月27日開催
◆パネリスト:
 小室淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス社長
 船木成記 内閣府男女共同参画局政策企画調査官
 成田康昭 立教大学キャリアセンター長・社会学部教授
◆コーディネーター:
 萩原なつ子 21世紀社会デザイン研究科・社会学部教授

 11月の終わり、立教大学池袋キャンパスにて、ワーク・ラ イフ・バランス社会実現のため、教育セクターの果たすべき 役割について議論することを目的とした講演会が開催されま した。なぜ今、ワーク・ライフ・バランスなのか、パネリス トがそれぞれの視点から意見を交換しました。
 まず、小室氏から、長時間労働の成果のない日本の現状を 踏まえ、企業におけるワーク・ライフ・バランスとは、「ゆと り」とは違った発想、つまりワーク・ライフ・バランスで生 き残っていくしかないといった「危機感」から生まれたもの であることが紹介されました。そして、企業の努力と平行し て社会でも、増加している共働き世帯に向けた両立できる仕  組みと風土づくりの必要性が述べられました。
続いて、船木氏からは、国全体で危機感を共有し、現状を変 えていくために、時間と生産性をキーワードとしたワーク・ ライフ・バランスは、21世紀の日本をつくるための大切な哲 学であり、作り出した時間で何をするのかが重要であると述 べられました。
 さらに、成田氏から、教育セクターの人材輩出者責任が問 われている中で、岐路に立たされている学生に向けてのキャ リア教育や、適切な情報の提供、支援を行い、職業人として の確信を持って学生を社会に送りだすことが、教育セクター における役割であると述べられました。
 その後のパネルディスカッションでは、教育セクターにお いては、学生への啓発活動や仕事観の形成などの教育を推進 し、ワーク・ライフ・バランスのマインドを持った人材を社 会に輩出することが課題であること、また、国や企業におい て、実際に両立している人たちをロールモデルとして教育の 中に迎える仕組みづくりが必要であることが語られました。
 一人ひとりが、それぞれの生き方やあるべき姿を考える機 会となる貴重なお話の数々に、有意義な時間となりました。



人間が避けられないエラーにいかに立ち向かうか

ヒューマンエラーを防ぐ創意と工夫
〜航空と医療、現場からの報告〜

2008年12月13日開催
◆パネリスト:
 小松原明哲 早稲田大学教授
 渡利邦弘 日本ヒューマンファクター研究所品質保証研究室長
 田中龍郎 全日本空輸グループ総合安全推進室グループ安全推進部長
 中島和江 大阪大学医学部附属中央クオリティマネジメント部部長・病院教授
◆コーディネーター:
 川村仁弘 21世紀社会デザイン研究科教授

 人間はミスをおかすものであり、そうした人為的なミスを 「ヒューマンエラー」といいます。ほんの一瞬の気のゆるみ や思い違い、コミュニケーションの齟齬が時に思わぬ事態を 招くわけですが、航空界や医療界においては、ヒューマンエ ラーが人の生命を左右することにもなりかねません。その2 業界から迎えたパネリストを中心に、ヒューマンエラー防止 を考えるべく本講演会が催されました。
 まずステージに立ったのは小松原氏。「人間はヒューマン エラーとどのように戦ってきたか」と題する基調講演がなさ れました。すべきことと、したこととのミスマッチをヒュー マンエラーと定義づけるとともに、エラーをなくすのではな く、事故をなくすための科学的な取り組みが必要という趣旨 のお話でした。時に会場を笑いの渦に巻き込みながらの講演 は、司会の川村教授の言葉どおり、「わかりやすくてために なるを地でいく」ものでした。
 続いて、航空界に勤める田中氏、医療界に勤める中島氏よ り、それぞれのヒューマンエラーの現況や防止に向けた取り 組みが紹介された後、渡利氏がファシリテーターとなって ディスカッションが行われました。個別の対策に終わりがち だったり、再発防止の取り組みはできても、予防という根本 対策を講じる術が見出せず苦慮している現状など、いくつか の問題点があがるとともに、それぞれの業界が問題解決に向 け、たゆまぬ努力を続けている様子がうかがえました。
 ヒューマンエラー防止には組織的な取り組みが必要だとい うことは、すでに広く知られています。その一方で、こうし た組織的なエラー防止システムが進歩していくなかで、人は システムに頼りがちにもなるという指摘もディスカッション ではあがりました。組織的な取り組みとともに、私たち一人 ひとりが危険への感性を磨き、エラー防止に貢献することも 欠かせない取り組みといえるでしょう。


各講演会についての詳細は、研究科ホームページ
http://www.rikkyo.ac.jp/sindaigakuin/sd/ をご覧ください。