●[Interview]広瀬敏通さん
「21世紀型の、新たな循環型社会を作りたい」
●新任教授紹介・進学相談会・屋久島集中講義参加報告
●キャンパスの声・修了生紹介
●研究会活動紹介
●21世紀社会デザイン研究学会、AIIC 講演会レポート
●21世紀社会デザイン研究科 公開講演会レポート・2010年度公開講演会一覧
『Social Designer』Vol.1は、PDFファイルでご覧ください
21世紀社会デザイン研究科に加わった新たな先生方をご紹介します。
新任教授紹介
坂本 文武先生(特任准教授)
坂本 文武先生
■担当科目:ガバナンス、経営組織論、イノベーション論等
■略歴:米非営利経営学修士号取得後、米国NPOの経営コンサルティングを経て、現在CSRコンサルティングやNPO向け経営支援・講師を行う。日本NPO学会理事、ガールスカウト日本連盟評議員他。
はじめまして。2010年9月に特任教員として着任しました。どうぞよろしくお願いします。
21世紀社会デザイン研究科では、社会組織理論の視座から、営利組織と非営利組織の統治と経営のあり方を見直していきます。学問は異なる知識や背景を持つ人とのコミュニケーションツールと考えます。日々経営の現場であたかも常識のように語られていることにも、学術的視座で処理をすることにより違う景色が見えてくると思います。その景色が人と組織の可能性を広げていけるよう、皆さんと議論していきたいと思っています。
私自身は米国で非営利経営学修士課程を修了後、2年間米国のNPOに経営コンサルティングをしていました。その後、非営利組織がもつ厳格な統治と共感の経営手法を企業経営に適用する形で、日本企業向けのCSRコンサルティングを10年続けています。併せて非営利組織向けに経営や資金調達に関する支援や研修講師をしており、営利・非営利組織の両方を見続けています。
ミクロ経済学的では、組織はスループットであり、価値変換機能を持ちます。日本企業は過去10年にわたって研究開発費の対GDP比率を大きく伸ばしているにも関わらず、売上高付加価値率や営業利益率が低下傾向にある「実感なき好景気」に陥っています。価値づくりに成功していない現状を打開するためにも、もう一度組織のあり方を丁寧に見つめなおす時期にきています。
社会から借り受ける資源に付加価値を付けてお返しする持続的に成長する組織のあり方を、営利・非営利の境目にとらわれることなく、皆さんと自由で多角的な議論をできることを楽しみにしています。
進学相談会
今年度最後の進学相談会を開催(11月27日)
立教大学大学院の3つの独立研究科が11月27日、今年度最後となる進学相談会を池袋キャンパス11号館で開きました。21世紀社会デザイン研究科では専任教官が一同に会し、今年2月の入学試験の受験を検討する来場者の個別相談に応じました。また、中村陽一・研究科委員長による説明会も開催。こちらにも多くの人が参加し、中村委員長の話に熱心に耳を傾けていました。
個別相談の会場では、専任教官が来場者の様々な質問に丁寧に回答。出願時に提出する研究計画書の書き方や研究テーマの選定に悩んでいる人が多いようでした。教官からは今回の来場者の特徴として「これまで以上に多様な職業の方が来られている。社会デザイン学という学問領域が持つ吸引力を改めて実感した」との感想も。実際、CSR活動に携わっている会社員、世界40カ国以上を巡ってきた元バックパッカー、世界的なNGOで活躍中の方など、様々なバックグラウンドを持つ方が相談に訪れていました。
同じ会場の片隅には、研究科の現役院生も相談コーナーを開設。こちらにも多くの相談者が訪れ、仕事と研究をどう両立しているか、などの質問を“先輩”にぶつけていました。参加した院生からは「1年前の自分を思い出した。修士論文の方向性が定まらず心が折れかけていたけれど、初心に戻ってまた頑張ろうと思った」との声も聞かれました。院生にとっても、受験志望者の相談に乗ることは有意義な経験だったようです。
説明会では中村委員長が、非営利組織の経営と現代社会の危機管理を学ぶMBAコースとして02年に開設されたことなど、研究科の概要を紹介。幅広い年齢層、多種多彩な職業の人びとが集っていることなど研究科の特徴を説明しました。
屋久島集中講義参加報告
中野民夫先生 ライフサイクル論 屋久島集中講義 参加報告
〜 人生が変わる屋久島ワークショップ 〜
本然庵。屋久島の太古の森の雄大な風景を前にすると、昔も今もそして未来もきっと同じゆっくりとした時が流れていたと想像を掻き立てられた
鹿児島からフェリー、水中翼船、飛行機、それぞれの行路で屋久島に集まってきた参加者一同は、これから3日間お世話になる本然庵にある広いウッドデッキの演舞台の上で、丸く輪になりました。中国の気功法を応用した深呼吸で身体の中の空気を入れ替えて、集中講義の1日目が開始しました。
この集中講義の開催地となった本然庵は、屋久島の南、島の中でも最も険しいと言われている見事な大岩壁を有するモッチョム岳を借景にする場所に位置しています。中野先生が、主に執筆活動と合宿型ワークショップを開催する目的で特別に建てた、全てが屋久島の杉造りの別荘です。
到着後、さっそく各自が事前準備した宿題を基に、これまでの人生の転機を振り返るワークショップ。この3日間続くワークショップを通して、参加者それぞれが抱えるこれまでの苦労や悩みの背景、今後の生き方に迷い不安を抱えながら、何らかの目的のため大学院の門戸を叩いたことがわかるのです。ひとりで悩みを抱えるよりも、悩みを分かち合える21世紀社会デザイン研究科の仲間ができることに、この集中講義が「人生が変わるワークショップ」と言われる理由があります。
集中講義2日目は、 屋久島の中でも太古の巨木が並ぶ深い森、屋久杉ランドを散策しました。150分のコースを5時間半もかけてゆっくりと歩く。深い森の中で立ち止まると不思議と心が静まってゆく。当日の屋久島の天候は、雨が降ったり止んだり、霧がでたり日が射したりと周囲の景色が次々と様子を変える。巨木に耳を当てて木の音を聞いてみると、雨の雫が幹に当たる音、葉で受けた風の音、太い木の中を水が吸い上げられているような生命の音が聞こえます。深く苔むした霧の森に、すこしばかりの木漏れ日が射し込むと、苔についたいくつもの丸い水滴がプリズムのように光り輝く。3千年以上もの長い年月風雪に耐えてただその場に立ち尽くしている巨木の屋久杉のその威風堂々とした姿をみると、人間の悩みなど些細な事なのだと確認できるのでした。
集中講義3日目は、屋久島の大瀑布、大川の滝の滝つぼを見に行きました。前日森に降り注いだだろう一滴の雨が、今、大きな川となって集まり、高さ88mの高さを轟音と共に一気に滝つぼに流れ落ちています。その大瀑布が巻き起こすマイナスイオンと水分たっぷりの風を肌で感じることができるダイナミックな場所を前にして、圧倒され立ち尽くす。その滝つぼから歩いてすぐの川下にはきれいな砂浜が広がっており、そこが屋久島に降り注いだ一滴しずくの終着点、海へと繋がっている。この終着点で、それぞれに屋久島で感じたことを整理し、それぞれ人生を振り返る自由でゆっくりとした時間が与えられました。 昼から3日間の集中講義で得られたものをレポート用紙2枚、真剣に試験ムードで執筆しました。その後、慌しくフライト時間ギリギリに空港に到着し名残惜しくもそれぞれの帰路に着きました。