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21世紀社会デザイン研究
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 21世紀社会デザイン研究科 公開講演会レポート・
 2010年度公開講演会一覧
21世紀社会デザイン研究科主催公開講演会

7月26日(月)開催
「社会の公器としての人材発掘・育成・支援のプラットフォームを」

―「公志」を実現する社会イノベーターの創出に向けて―

講 師
○鵜尾雅隆氏(特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会常務理事)
○野田智義氏(特定非営利活動法人 ISL理事長)
○中村陽一(本研究科教授、ソーシャルビジネス推進イニシアティブ座長)

社会の公器としての人材発掘・育成・支援のプラットフォームを

左から中村氏、野田氏、鵜尾氏

 社会イノベーターはいかに創出されるか。その発掘・育成・支援におけるプラットフォーム形成につ いて、3人の講師が熱く展望を語りました。

 最初に当研究科教授の中村氏は21世紀社会デザインの中のNPO・NGOの社会的位置を示し、これらには様々なリソースを繋げ、また触媒として周りを変革し、既存の方法論を突破していく機能が求められていると指摘。ついで野田氏は「人の抱える不安・不満・不条理を受けとめ、社会を変えるという強い志をもつ挑戦者を全国から発掘し、リーダーに変えるという挑戦をする。そのプラットフォームづくりが『社会イノベーター公志園』」と発言。鵜尾氏は「助け合いなど日本独自の文化・風土を大切にして、日本社会に善意の資金循環を起こすチャレンジをする」と述べ、そのために「挑戦者同士がつながり、夢を語り、成功するイメージを持つ場が必要」と語りました。

 後半のセッションでは「プラットフォームはコンサルティング型ではなく伴走が重要」、「正しさと楽しさの共存が必要」、「日本でプロセスイノベーションが起こる可能性」、「頑張っている人を心から賞賛し、応援する文化を取り戻そう」など熱い議論が交わされました。最後に「欧米の輸入ではなく、日本社会型の社会イノベーションを起こそう」とまとめ、幕は閉じられました。

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1月7日(日)開催「 現世 の 静寂 に“つながり”を想う」

―「講」の知恵を現代社会に活かす道筋を考える―

講 師
【映画解説】小倉美惠子氏
 ((株)ささらプロダクション代表取締役・プロデューサー)
【コーディネーター】渡辺 元(21世紀社会デザイン研究科教授)
【鼎談】ジェフリー・アイリッシュ氏(民俗学研究者・ノンフィクションライター)/内山 節
 (21世紀社会デザイン科教授)/由井 英氏
 ((株)ささらプロダクション 映画監督)/小倉美惠子氏

現世 の 静寂 に“つながり”を想う

左から内山氏、小倉氏、由井氏、ジェフリー氏

 人々の関係が希薄になり、地域での共同性が失われつつある昨今、映画『うつし世の静寂に』は製作されました。この映画を軸に日本社会における“つながり”を再考し、古来より村落社会で受け継がれてきた「講」の知恵を現代社会にいかに活かすことができるか、4人の講師が語りあいました。

 はじめに小倉氏はこの映画の意図を「風土と寄り添って生きることの大切さ、人と風土の関係の力強さを描いた」と説明。鼎談では「講や講の後に開かれる直会(なおらい)時にかけられる掛け軸の存在はつながりの本質では」「掛け軸は『祈り』であり、描かれる神仏の向こう側には『風土(自然)』がある」(由井氏)、「講は念仏を唱えながら集った人々が祈り、呼吸を合わせる。そこから安心感と絆が生まれる」(ジェフリー氏)、「風土(自然)には過去の時間が蓄積され、その上に現在がある。これを創ったのは祖先。そこに感謝と祈りが生まれる」「祈りの世界を基に皆で助け合い、楽しむ講の知恵は現代社会に活かせる」(内山氏)と、心に響く議論が交わされました。

 日本でつながりが壊れていった背景には明治維新の神社合祀や戦争があり、また経済成長が影響していることに人々は気づき始めているのではないか。失われつつある「祈り」を呼び起こし、人と人・自然・地域とのつながりについて、時間を超えて考えていくことが必要とまとめられました。

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2月18日(土)開催
「世界を変えるフェアトレード 〜南北をつなぐ連帯経済」

講 師
○渡辺 龍也氏(東京経済大学 教授)
○小野 倫子氏(ピープル・ツリー株式会社 広報マネージャー)
○藤岡 亜美氏(スローウォーターカフェ有限会社 代表)
司会:佐野 淳也(21世紀社会デザイン研究科 准教授)

世界を変えるフェアトレード 〜南北をつなぐ連帯経済 本研究科主催の「世界を変えるフェアトレード〜南北をつなぐ連帯経済」が12月18日、開催されました。フェアトレードとは文字通り、途上国の生産者を対等なビジネス・パートナーとして適正価格で継続的な取引をする「公平な貿易」のこと。立場の弱い途上国の生産者や労働者に人間らしい暮らしを提供すること、働く権利を保障すること、持続的な生産活動を行うことなどを目指し、また環境に配慮した方法で行われます。そのため、相手の顔と暮らしの見える、人と環境にやさしい貿易とも呼ばれます。現在、日本のフェアトレード市場は約4000億円と急速に成長しており、消費者向けの啓発活動も広まっています。

 本講演会は、学生、研究者、実践者などの多彩なゲストを迎えて行われました。東京経済大学教授の渡辺氏が基調講演。フェアトレードの基本原則や軌跡、国内外の現状を分かりやすく説明しました。次に、ピープル・ツリー広報マネージャーの小野氏が現地の労働状況の実態や有名ブランドとの製品開発などの取り組みを話しました。スローカフェ・ネットワークの立ち上げなどで知られるスローウォーターカフェ代表兼「ナマケモノ倶楽部」共同代表の藤岡氏はエクアドルを拠点とした共同販売の実例などを紹介しました。

佐野氏 また、立教の学生サークル「フェアトレードパートナー(FTP)」は、消費者である我々の生活にフェアトレード商品を組み込んだ新たなライフスタイルを提案しました。FTPは講演会の合間にフェアトレードチョコやコーヒーを参加者に提供。フェアトレードをより身近に感じられる貴重な機会となりました。

 後半のセッションは、本研究科准教授の佐野氏の司会進行のもと、会場からの質問にパネリストが応える形式で行われました。フェアトレード・ビジネスの持つ困難な点を中心にさまざまな質問が会場から寄せられ、世界全体で連帯することの重要性や個人消費者の意識改革の必要性が各パネルリストから訴えられました。なかでも、渡辺氏の「(消費者の)たった一通の手紙が大企業を変えた」、小野氏の「フェアトレードは相手のためだけでなく、自分のための消費でもある」、藤岡氏の「繋がることが大切」が印象的な言葉でした。多様なグローバル・イシューを抱えている現状の中で、会場全体がフェアトレードの生み出す連帯感に包まれた熱意の溢れる講演会でした。

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2010年度公開講演会一覧

 2010年度も様々な視点から数多くの講演会が催されました。最新情報は研究科ホームペー ジでご覧いただけます。

  • 挑戦へのチャンスと支える仕組み
     ―資金の開発と循環―

    2010年5月29日(土)
  • 市民セクターの強化に向けた資金支援のあり方
      ―受け手も育ち、出し手も育つ助成とは?―

    2010年6月26日(土)
  • 社会の公器としての人材発掘・育成・支援のプラットフォームを
     ―「公志」を実現する社会イノベーターの創出へ向けて―

    2010年7月26日(月)
  • 現世の静寂に“つながり”を想う
     ―「講」の知恵を現代社会に活かす道筋を考える―

    2010年11月7日(日)
  • ソーシャルビジネスの成長戦略とイノベーション
    2010年12月1日(水)
  • 仕事と介護の両立支援シンポジウム
     ―企業はどこまで介護と仕事の両立支援をしたらよいか?―

    2010年12月3日(金)
  • 日本の敗戦と朝鮮人たち
     ―BC級戦犯と帰国運動からの考察―

    2010年12月8日(水)
  • 世界を変えるフェアトレード
     ―南北をつなぐ連帯経済―

    2010年12月18日(土)

今号の編集スタッフ

今号の編集スタッフ岩間初音、太田差惠子、喜内尚彦、木舟 辰平、金美智子、佐藤瑠美、三瓶恭佑、冨田眞紀子、中谷尚高、原井梢衣、矢野 正高、山田好徳(9期)

 本研究科は今年で10年目を迎えます。 多様な仲間と教員とが集結し、特定の領域を越えた研究が日々展開されています。複雑化する社会の諸問題へ挑戦し続ける活動の一端をお伝えできたと思います。作成にあたりご協力いただいた皆様に、深く感謝申し上げます。