司会●中村陽一教授
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司会 2年生の方は修士論文も出し終え研究科修了も目前ですが、学生生活を振りかえり、また1年生の方は1年間のカリキュラムをとおして、感じていることや気づいた点など、ざっくばらんにお話いただければと思います。
はじめに自己紹介代わりに研究科で学ぶきっかけとなった問題意識や自己のテーマについて簡単にお話ください。
神谷 平成7年阪神淡路大震災において、NHK名古屋支局から現場へ参加した経験から、情報伝達の困難さと危機管理への問題意識を持ちました。その後自分なりに勉強を続け、危機管理が学べるこの研究科での学びにつながりました。修論は「災害時における情報伝達」をテーマにまとめ、将来的には博士論文として「地上デジタル放送の普及における情報行動の変化」をテーマに研究を進める予定です。
木村 聡さん
独立行政法人国際協力機構勤務。衛生セクターに関する開発調査、災害緊急援助、国内への留学生受け入れなどを担当後、ボリビア事務所に勤務し、保健医療分野を担当。
〔研究課題〕国際協力分野における各種アクター(国際機関、各国政府機関、NPO/NGO、民間企業等)の恊働のありかたor連携モデルについて。 |
木村 3年間のボリビアでの仕事をとおして、国際援助の現場におけるコミュニティの現状や、貧困にかかわるなかで、行政的なセクターにとらわれない直接的なアプローチの方法を研究してみたいと入学し、学んでいます。
太田 地域計画やまちづくりの仕事に6年ほどかかわり、市民や住民の参画に問題意識をもち、NPOの活動を手伝う中で、NPOのマネジメントの興味を持ち入学しました。まちづくりにおける計画と現実の関係性を研究してみたいと思っています。
草水 日本語教師や横浜市国際交流協会の仕事を通して、在留外国人と関わり、行政と市民活動のあり方や、研究と現場をつなぐ必要性を感じ入学しました。女性や子供や障害者の問題は外国人の問題とも大きく関わります。研究テーマとしては、社会的排除(Social
Exclusion)を現場の活動と絡めながら考えていくつもりです。
瓜生 地域活動からNPO法人をつくり、ファミリーサポート事業を受託しています。活動に対する理論的裏付けの必要性を感じ、危機管理の分野への興味もあって入学しました。修論テーマとしては、「まちづくりと地域セキュリティ」を、事業創出も考えながら研究しました。
学びの先に生まれるものが
個人や社会に浸透していく |
司会 ありがとうございました。この研究科は新卒の方もいらっしゃいますが、社会人の方が多いので、仕事や活動とのつながりや学びとの相互関係で、変化や明確になった事についてお気づきの点をお話ください。
神谷信治さん
NHK勤務。今後はジャーナリズム関連の博士課程への進学を目指している.
研究領域・問題意識として、メディア・ジャーナリズム,情報化社会,メディアの危機管理等.
〔修士論文テーマ〕「災害時における放送メディアの情報伝達過程についての一考察
−阪神・淡路大震災の事例をとおして−」 |
神谷 さまざまなところで、組織としてのミッションの必要性を感じています。入学して、研究や理論構築のプロセスを通すことによって、発想や考え方が変化しましたし、物事を深く考えるスタンスも、研究を重ねることで生まれたように思います。
司会 この研究科はMBAを取得できますが、単にスキルの習得と言うよりは神谷さんのいわれるように、学びの先に生まれるものが個人や社会へ浸透していくのですね。木村さんはいかがですか?
木村 仕事は内部に深く向かいますが、研究科で学ぶことによって、視点の多様性、自己の専門性との関わり、自分と仕事の中で目指すものをクロスしていく方向が見えてきている気がしています。
司会 多様性の中で生まれるネットワークの重要性はこの研究科の特徴でもあります。瓜生さんは活動との関連で何か生まれるものがありましたか?
瓜生ふみ子さん
NPO法人CCCNET 代表理事、
町田市長期計画審議会委員
町田市福祉のまちづくり委員
まちだNPO法人連合会 会長など
〔修士論文テーマ〕まちづくりと地域セキュリティ:乗物盗(オートバイ盗・自転車盗)から見た東京の犯罪状況とソーシャル・キャピタルに関する考察 |
瓜生 行政の財政改革審議会委員などの仕事をとおして学びを役立て、論理的な発言ができ、実践も行えたと思います。今後は、自分の組織の中でも役立てていき、さらに自信を持って市民の立場から発信していきたいと思います。 司会 そうですね。市民の活動を広げる上でも、この研究科での学びはお薦めと言えるでしょうね(一同 笑い)。それでは草水さんはいかがでしょう? 草水 研究の場、活動の場を通して人に伝えることが大切であると感じていましたが、学びを通して、人々とのつながりや経験と議論の関係性を認識することができ、よかったと思います。
司会 今回はNPO学会での発表などもありましたし、様々な場で話を伝えることは大切ですよね。では太田さんはいかがですか?
太田 学びと実践が結びついている現在の環境で、今後、今の思いをアウトプットしていきたいと思っています。
司会 さて研究科を目指している方たちへ現在学ばれている中で仕事との調整や苦労など、体験から伝えることがあればお話いただきたいのですがどなたかいかがですか?
草水 仕事を中断して学ぼうとするとき、海外で学ぶ選択肢もありますが、地域での活動を続けながら学びを役に立てることが、とても重要でした。
瓜生 私の場合は仕事の仲間のささえもあり、期待や励ましにこたえる気持ちも生まれたように思います。
司会 それはよいですね。職場の理解が得られにくい中で学んでいる方は、苦労しておられるときいていますので大いに力づけられます。話は変わりますが、21世紀社会デザインという新しいタイプの研究をされる中で、将来的の社会に対して、あるいは自分自身に対して、どのようにお考えかをお話しいただけますでしょうか?
たとえば、卒業後への生かしかたなどを紹介していただけると。今後、研究を目指す方の参考になると思いますのでお話ください。
草水 学びを通して、また様々な出会いを通して、物の見方は多様であることを知りました。研究を進め、理論的にも現実的にもより深く進めるために、さらに21世紀社会デザイン学を考えていきたいと感じています。また問題解決のため自らがNPOをつくることも検討していきたい、と思っています。
木村 周囲のNPOやNGOの活動について、研究科での学びをいかし、現場でより深いかかわりをもちながら、アドボカシー活動ができればと考え始めています。
瓜生 学校依存症になりそうで、卒業後が不安ですが、今後学びをどのようにつづけていくかについて検討しているところです。
司会 卒業後のネットワークや学びの継続に関しては受け皿を考えていきたいと思います。
博士課程を目指される神谷さんはいかがですか?
神谷 時代も変わり、研究を続けることはめずらしいことでもなくなっています。ライフワークとして学びつづけ、論文などを通して社会へ疑問を発信していきたいと感じています。論文を作る過程は長い時間がかかります。研究科でも2年と言う短い中で、どのように論文へつなげていくかの道筋などを提供できるといいと感じました。
司会 大学院に求められることは社会的に変化しています。実践と研究の境目がなくなりつつある中で、指導の方法も変化しなければならない課題です。研究会や学会などオープンな場を作っていきたいし、卒業生が研究科のゲストスピーカーとなるなどフィードバックも目指したいと思います。
太田 様々な学問分野にとらわれない学びを、働きながら生かしていきたいと感じています。
司会 新しいタイプの職能をもった人材を創出していくことは大切だと考えており、今後のカリキュラムづくりもふくめて考えていくつもりです。最後になりましたが、この研究科に期待することについてをみなさんとポジティブにお話をしたいと思います。
瓜生 NPOに関しては立教と言われるような研究科になることを期待し、女性のエンパワーメント、自己実現ができることを支えていければと考えています。
神谷 授業のなかで、年齢や経験を超えてアクティブな議論ができることが望ましいです。多様な人材が存在する中でチャレンジ精神や意見が交流する『伝統』を作りたい。聴いているだけ、受身の講義では新たな発見は生まれません。
草水美由紀さん
都市銀行国際部門での主計業務、国際交流協会でのプログラムコーディネーターとしての勤務を経た後、大学院に入学。
〔修士論文テーマ〕「神奈川の在住外国人生活課題の構造的理解に向けた『ソーシャル・エクスクルージョン』概念の有効性とその理論的検討ー神奈川在住外国人の支援体制にみる取り組みの課題からー」 |
草水 博士課程の設置、21世紀社会デザイン学の確立を院生の中からも支えていくことが必要だと思います。他の研究科や他大学との連携や交流を進めていくことも大切です。新しい課題ゆえに学会などに積極的に参加、発表していくことも、意見を広くやり取りするよい機会だと思います。
司会 確かに交流や情報交換は大いにしていくべきですね。インターンシップなども含めて参加を進めていきたいと思います。
木村 「21世紀社会デザイン学」の認識を深めていくこと、固定的なものになる必要はないですが、現在の黎明期の躍動感を持ちながら研究者として目指す人、社会に出て実践する人が生まれていく形が良いと思います。
司会 とても参考になるお話をいただきました、研究科としてのシステムを作る一方で、中範囲の理論として具体的な理論構築を目指すことを必要としています。皆さんのお力も借りて創り上げていきたいですね。
太田圭子さん
都市計画や地域づくりのプランナー、コンサルタントとして勤務しながら研究科に入学。現在は財団法人のシンクタンクと中間支援型のNPOという、2つの非営利組織でアルバイトをしながら学校に通っている。
〔研究課題〕都市計画や社会政策、住民参加等に関する国・地方自治体の政策と、それらに影響を与えている理論や先進的な取り組みとの関係を整理したい。 |
太田 大学のあり方も、多様でフレキシブルであってほしいと思います。卒業生のかかわりも含めて、面白い研究科を目指したいです。
司会 最後に、新たにこの研究科で学ばれる方へのアドバイスとして一言を各自お願いします。
瓜生 研究科へのお願いとして公開講座等やeランニングを使ったり、さまざまな可能な形で学べるようにしてほしい。後輩へのアドバイスとしては、時間の使い方をうまくすること、自分の学びの時間認識を生活に位置づけることです。
草水 短い2年間を思い切り欲張っていろいろなことをしてほしい。
太田 同級生としていろいろな人、多層な世代との仲間作りを楽しんでほしい。
木村 専門性というより、いろいろな機会を経て、視野を広げるきっかけを得ること。
神谷 目標設定を自分にたて達成する、自分自身がオンリーワンであることが重要です。たとえば300冊本を読む努力などです。
司会 意見を交換する場が、いろいろな形でまた多くもてることができればと考えています。今日はお忙がしいところありがとうございました。
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