| みなさん、お元気ですか。
あいかわらずカナダのモントリオールからです。ご承知かもしれませんが、こちらは非常に寒い。先日、イラク戦争反対デモのあった土曜日など、マイナス25度。それでも、20万人の市民がデモに参加しました。
カナダ、とくにわたしに住んでいるケベック州(旧フレンチカナダ)は、社会組織や社会デザインの観点からみると非常に面白いところだということが、ようやく実感としてわかってきました。
カナダはバイリンガルの国だとよくいわれますが、これはかなり眉唾で、英語圏のひとはフランス語がほとんど話せません。いっぽうカナダのことを少しだけ知っている人の口から聞かれるのが、以下のような言い分です。いわく、ケベック州はフランス語にしがみついている時代遅れの地域、しがみつくだけでなく、英語圏の人にも、ましてや先住民の人にも、国語としてフランス語を強制するなどとは、いかがなものか、英語の絶対的な力はデファクトスタンダードの問題なのだから、いくらフランス語への執着など無駄な努力ではないか。
こんなおおざっぱな議論は、英語大国主義にあぐらをかいた議論の典型ですが、じつはフランス語がいまの地位を回復したのはやっとここ40年ほどのことにすぎない事実を無視した議論に他なりません。すぐ南に2億5,000万の巨大な人口を誇示する英語大国USAを控えるケベック州のフランス語系住民にとってはフランス語は彼らマイノリティ住民の最後のよりどころといった状況です。
ケベック州、なかでもモントリオール市では、何事につけ議論が盛んで、グローバリゼーション(ここでは全アメリカ大陸自由貿易圏のかたちで先鋭化している)、米国との関係、ケベック州と他の英語圏州との差異、あるいは軋轢、文化的あるいは政治的経済的な力関係と多言語状況の絡み合い、マイノリティとデモクラシーの関係、これらの問題をジェンダーの観点から見直せばどうなるか、といったかたちで活発な議論がなされています。とくに女性の発言権が強いですね。(2003年9月、1年間の研究休暇を終えてモントリオールから帰国しました。上記はその滞在報告です。次回から、具体的な話に入っていく予定です)
(21世紀社会デザイン研究科)
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