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Vol.4 [2004-12-20発行]  PDF版

●[Interview]多元的な視点を持って、社会をデザインする(清原慶子 三鷹市長)
●行政とのパートナーシップ(新潟中越地震/横須賀市)
●院生&修了生紹介
●フィールドワーク: 海外へ(インドネシア・フィリピン/タイ・カンボジア)
●院生が立ち上げたN P O(法人日本グリーンツーリズム・ネットワークセンター)
●Dialog In the Dark 真っ暗な空間を使ったワークショップ
●国際シンポジウム(第5回 日本評価学会全国大会/日中大都市における防災と危機管理・両国の防災上の課題をめぐって)
●[Schedule]今後の研究科予定

Vol.3 [2004-07-31発行]  PDF版
Vol.2 [2004-01-31発行]  PDF版
Vol.1 [2002-09-20発行]  PDF版

『Social Designer』Vol.1は、PDFファイルでご覧ください

Q 現在取り組まれている“「あすのまち・三鷹」プロジェクト”における三鷹ネットワーク大学(仮称)に関するお話などをまじえて、市長の市政への思いをお聞かせください。

清原慶子氏清原慶子氏… 三鷹市長
慶応義塾大学法学部政治学科卒業。同大学院修士課程政治学専攻終了、社会学研究科博士課程社会学専攻単位取得満期退学。
慶応義塾大学文学部非常勤講師、杏林大学医学部非常勤講師、ルーテル学院大学文学部助教授、ルーテル学院大学文学部教授、東京工科大学メディア学部教授、東京工科大学メディア学部長。2002 年4 月より現職。現在の主な活動:内閣府国民生活審議会(個人情報保護部会)臨時委員、内閣府障害施策推進本部参与、高度情報ネットワーク社会推進戦略本部評価専門調査委員、総務省情報通信審議会専門委員ほか。

「三鷹ネットワーク大学(仮称)」の構想については、現在は推進協議会で準備をしている段階です。「民学産公」の協働という三鷹市の取り組みの特徴は、長い間「市民参加」のかたちで三鷹市が取り組んできたことの成果です。実験的試行等を経てさらに発展を図ってきましたが、その中で一歩踏み込んだ方向として集約されているのが、「三鷹ネットワーク大学(仮称)」といえるかもしれません。
私自身としては市長になる以前から第3次基本計画の素案を市民が作成するために組織された「みたか市民プラン21会議」に共同代表として参加するなど、市民の視点から政策提言に関わってきました。経営的な観点は常に持ち続けていたつもりですが、市長という立場は、さらにその経営的観点を重視しなければなりません。市民から選ばれたという立場は大変に責任の重いものです。だからこそより意識的に“市民の代表としての市長”であることを心がけています。

Q 共同代表での経験は「みたか市民プラン21会議」に参加した375人という市民をまとめていく大変な作業であったと思います。市民としての参加、市民との協働についてはどのようにお考えでしょうか?

「協働とは言うは易く行うは難し」と思います。当時の市長とのパートナーシップ協定の締結を基礎とした活動を経験したわけですが、協働はきれいごとだけではない困難を伴うものです。しかし市民が直接まちづくりに関わることは、本来的な意味で自治には必要なことです。また、その協働の実践によって職員は鍛えられ、職員のプロ性も高められます。
市民との対等性をつくるためには、職員も意識を変える必要があります。
市長が市民の代表であることを常に意識してもらうために、私は直接職員と関わる機会を極力持ち、行事や事業等には職員と共に参加することを心がけ実践しています。そうすることが職員の市民感覚の理解につながると考えています。
「みたか市民プラン21会議」の素案からの市民参加について、数多くの参加者のエネルギーを支えたのは、三鷹を「よいまちにしたい」という思いに他なりません。様々な人の思いがプロセスの中で共感し、共有する中で集約され、そこに「信頼」が生まれていくのです。必ず集約できるという経験を重ねて、協働が形となるのです。そのために必要なのは、コーディネート能力に支えられたリーダーシップです。さまざまな壁に恐れることなく挑戦する気持ちが大切です。全てが100パーセントの成功ではなくとも、過程の積み重ねがあって、一定のまとまりを作っていく素晴らしさは大きな力を生むと思います。
計画策定者が計画の具体化という次のステップで「既得権」を持つべきでないという考えから、「みたか市民プラン21会議」は解散しました。
当時のメンバーの多くは、新たな視点、新たなメンバーを加え、次の段階へ進んできています。関わった人たちは新しいNPOなどを立ち上げ、実践者や評価者としてプランの実行を支えています。このように積み重ねてきた三鷹の経験は、理論というより、実践から体得したかけがえのない市民の共有財産になっています。

Q 三鷹に他の地域が学ぶとしたらどのようなことだとお考えですか。研究科での学びについてのお考えもお聞かせください。

21世紀社会のデザインを考える上で、私たちにとっての学問の可能性は、実学として取り組みの中にあると感じています。文化や地理的特性の軸を配慮した日本型の社会科学的なアプローチをとることが、そのためには必要だと思います。社会的な検証を経ながら、学問の意義や価値を追求していくことが、現実問題の課題解決に結びつくのではないでしょうか。21世紀社会デザイン研究科においても、実践の現場から適切な距離を持ちながらも、必ず影響を与えることのできる「学の場」であることが、社会全体への強みとなります。このことは「三鷹ネットワーク大学(仮称)」が社会課題解決に向かう創造の場として存在する意義があることにもつながっていくのだと考えています。

(聞き手 岡田孝子)