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欧州の環境監査の創始者 モレンカンプ教授講演会
「ヨーロッパにおける企業の社会的責任」
2006年5月11日(木)池袋キャンパス立川記念館ホール
21世紀社会デザイン研究科、ビジネスデザイン研究科、オランダ大使館共同主催
今日、ヨーロッパ諸国ではオランダを含めてCSR(企業の社会的責任)という考え方に
沿って、市民社会における企業の諸活動を統一、統合していく動きが広がってきています。
また、CSR活動や環境関連のISO取得がビジネス取引の前提となるなど、ヨーロッパに進出
する日本企業にとっても大きな課題となりつつあります。日本国内でも経団連や各企業が
担当部署を置き、CSRの考え方の普及とその活動を強化しています。
今回の公開講演会は、世界有数の企業監査法人(KPMG)の設立者でもあるアムステル
ダム大学のモレンカンプ教授の講演、また、実際にCSRを先駆的に取り組むフィリップ
ス・エレクトロニクス・ジャパンの高橋善郎氏による講演が行われました。
司会は中村陽一教授、開催のご挨拶は北山晴一教授、コメンテーターとしてスコット・
デイヴィス教授。(いずれも立教大学)また、オランダ大使ハーメル氏、経済金融担当ボン
ゼル金融公使もご列席されました。
駐日オランダ大使 アルフォンス・
ハーメル氏によるご挨拶
CSRに対して大変大きな関心が日本とオランダで高まっている。先端に立っている両国
の経験を比較してみるのは興味深い。従業員、家族、地元社会、一般社会、そして国際社会
やインターナショナルコミュニティまでを含め、官民それぞれが果たすべき役割があると
考える。オランダ政府は、諸外国の政府に訴えかけ、より多くの企業がCSRに取り組むよ
う、積極的に働きかけている。また政府がリードをとることもあります。日本とオランダ
がお互いの経験を共に学びあい世界一流のレベルの企業の経済開発の例を共有したい。
持続可能な経営と競争力をめざして
モレンカンプ教授講演
CR(コーポレートレスポンシビリティ)はヨーロッパ、オランダの概念が大きく発展し
たものである。アムステルダム大学・KPMG共同で1993年から世界の1600以上の事例調査*
を行っています。この数年の急速な展開が示され、分析の報告と解説を交えた講演でした。
テーマを抜粋してご紹介します。
◎ CSR国際調査
「KPMG International Survey of Corporate
Responsibility Reporting 2005」によるフォー
チュン500社の中のグローバル250社、そして
16カ国トップ100社の比較からの動向分析。ト
ップ企業の過半数が毎年財務報告に加えてCR
レポートを提出している。それによると、
2005年、企業の活動数は、1位日本、2位イ
ギリス、3位カナダ、4位フランス、5位ドイ
ツ。02年に3位だったアメリカは6位へと大
幅に後退。
◎ この5年間の実際のCR展開
焦点があたってきているのは、企業の広範
なステークホルダーに対する責任、環境や社
会に対する責任。社会における企業の役割へ
の期待も高まっている。特に多国籍企業は多
彩な人脈や知識を持ち、政府の活動範囲を超
えた活動ができるということで注目されてい
る。つまり、企業は社会的な問題の解決に寄
与できると期待されている。
◎ 社会的リスク
一般公衆の信頼を逸する大企業による行動
が少なくない。例として、開発途上国での児
童労働、森林の不法伐採、人権が侵害されて
いる国での事業、HIVの問題、商品への有害物
質混入問題が挙げられる。「社会的要求に応え
ることができなければ企業は大きな問題を抱
えることになるということである。よりよき
企業統治、透明性、説明責任を求める声が一
段と強まり、信頼の回復が急務となっている。
◎ 大企業は社会問題解決に寄与可能か
「企業は犯罪、貧困、教育の欠如などについ
て対処できるのか」についての調査では、過
半数の人が肯定。また、社会の諸問題に積極
的にあたる企業は、パートナーとしてNGOと
連携するようになってきている。
◎ 学習と革新、価値の創造
CRをより見えるように体系的に扱う。企業
活動の原則として、「環境を大事にすること」
「社内外の人を大事にすること」そのことが社
会的な価値を見出すようになってきている。
さまざまな責任に対して、バランスのとれた
対応と、その報告で透明性を高め信頼を得る
ことが、新たなビジネスチャンスの獲得につ
ながる戦略的マネジメントが必要だと言える。
◎ 動機付けとしてのCR
有能な人材の獲得において、「会社が何をし
ているか、責任ある対応をする会社か」を明
らかにすることが有効。また金融機関からの
融資・投資においても、利益優先ではなく環
境上のリスクや企業責任を果たす姿勢が、審
査の基準として重要視され、そのことについ
て、株主からの圧力がある場合もある。
◎ 持続可能性・CR活動・財務
財務面について、CS、持続可能性を果たし
ている企業はリーダーシップを示し株価の面
でも他の企業に比べて高いパフォーマンスと
なっている。SPI(社会的責任投資)ファンド
も登場、活発になってきており、今後重要な
分野になると思われる。
◎ 将来への流れは価値を創り競争優位につながっていく
地域により企業のCRの視点が違うことには
注意しなければならない。ボランティアが重
視されるところ、地域での貢献が重視される
ところ、さまざまである。日本の企業の場合、
自然や社会との調和が基本になるように見え
る。従業員や顧客、そして製品を大事にする、
環境をまず考え製品開発するなど。さら
に大きな社会的なものに発展していくだ
ろう。
◆モレンカンプ教授 プロフィール
Prof.George Molenkamp
政府での環境行政従事のあと、監査法人KPMG設立、
ヨーロッパにおける環境監査の生みの親と言われている。
国際基督教経営者連盟主要メンバー、各種経済団体役員
など歴任、研究教育面で大きく活躍しておりウォールス
トリートジャーナル、タイムスに多数の論文を発表して
いる。現在、アムステルダム大学ビジネススクール教授。
(報告:進士多佳子・平田賢典)
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