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Vol.8 [2007-04-01発行]  PDF版

●[Interview]パラリンピック、これからの日本における役割とは?(大日方邦子 財団法人公益法人協会理事長)
●キャンパスの声/CSRインターンシッププログラム基礎講座紹介
●[座談会]地方議員が語る「本研究科で学ぶ意義」
●公開講演会開催
●第1回21世紀社会デザイン研究学会年次大会開催
●修了生紹介
●[Schedule]行事予定

Vol.7 [2006-11-15発行]  PDF版
Vol.6 [2006-03-15発行]  PDF版
Vol.5 [2005-08-31発行]  PDF版
Vol.4 [2004-12-20発行]  PDF版
Vol.3 [2004-07-31発行]  PDF版
Vol.2 [2004-01-31発行]  PDF版
Vol.1 [2002-09-20発行]  PDF版

『Social Designer』Vol.1は、PDFファイルでご覧ください

スポーツはフェア&オール

Q 日本代表として、パラリンピックへの出場は今回で4回目、 選手としてかかわってきていかがでしたか?

おびなた くにこ さん
大日方邦子 1972年東京生まれ 3歳のとき交通事 故で右足を失い、左足にも障害を負う。 中央大学法学部法律学科卒業後、日本放 送協会(NHK)入局。現在、制作局学 校教育番組ディレクター。 日本パラリンピック委員会 運営委員 日本パラリンピアンズ協会 副会長

「この12年で、パラリンピックは知名度が上がるとともに、 役割が大きく変わってきています。パラリンピックのあり方 も、考え直す必要があるのではないかと思うようになりまし た。」
「“障害者スポーツ”を“一般のスポーツ”と分けて考えられ る傾向が、日本ではあります。本来、スポーツはフェア&オ ールなものです。身体を動かし、競技を楽しみたいと願う気 持ちは、“障害者”でも“健常者”でも同じです。でも日本の 社会では、例えば“健常者”から“障害者”になると、一人 の人間としての個性より、“障害者であること”がまずクロ ーズアップされる傾向があるのは否めません。このことを、 パラリンピックのあり方を通して、考え直してみることは意 味があるのではないでしょうか。」

原点に立ち返ることはスポーツでも社会でも大切

Q 大日方さんの取り組まれているチェアスキーとは、どのよ うな競技なのですか?

「座った状態で滑れるスキーと考えてください。スキー板 は1本、つまり立って滑る場合の片足分を使います。“スキ ーは2本の板を使う”という常識を覆し、1本の板を使うこ とにしたことで、バランス力が試されるスポーツであるアル ペンスキー本来の醍醐味が得られるようになり、競技として 誕生、進化していったのです。足を使わなくてもスキーがで きる、と考えたチェアスキーの初期開発者たちの発想力はと てもすばらしいものだったと思います。」
「子どもの頃、年齢が違う子ども同士が一緒に遊ぶとき、 ルールを少し変えて、皆が楽しめる工夫をしましたよね。障 害のある人のスポーツも、ルールと用具の工夫により、不可 能と思われていたことを可能にしてきた点では同じです。そ して社会もまた同じです。既成概念を取り払い、設備や製品 を新たに作り出すことで、多様性を持つ「個人」を認め合い、 皆が住みやすい社会になるはずです。でも実際にはなかなか 難しい。これは多くの場面で、既存の枠組みがプレッシャー になっているからでしょう。誰のための社会なのか、原点に 立ち返って考え直すことが大切だと思います。」

個性を尊重して、多様性を認めること

Q 大日方さんの著書には、小学校〜中学時代を通して特別な 扱いを受けた体験が綴られていますね。

「最近は統合教育のある学校では、かなり改善がみられる ようになって、車いすでの登校は珍しくなくなっています。 一方で、連日のように、いじめの問題が報道されています。 相手の個性を尊重し、多様性を認めれば、こんなことは続か ないと思うのですが。」

オリンピックもパラリンピックも原点は同じ

Q 日本でもパラリンピックがずいぶん報道されるようになっ てきました。しかし、報道が一過性のものであったり、大 きなムーブメントにつながっていかない等の問題点もある ようですね。まだまだ特殊扱いなのでしょうか?

「アメリカやヨーロッパでは、パラリンピック報道は、障 害者が特別頑張っている活動、としてではなく、競技そのも のの面白さに注目が集まります。自然に競技者もまずは競技 者として目立つこと、すなわち“勝つ”ことに強くこだわり ますし、その過程においては“どれだけ自分らしく生きられ るか”を追求して楽しんでいます。」
「義足を隠さずカラフルなペインティングで自分をアピー ルしている選手が“ふつう”なのです。応援者も競技や演技 をピュアなスポーツとして楽しんでいる様子を見ていると、 オリンピックとパラリンピックが別々に存在していることそ のものが不自然なのだということに気が付きます。」

2014年、オリンピックと同時開催も夢ではない

Q 競技としてパラリンピックの扱われ方は、今後どのように 変わってくるのでしょうか。

「IOC、IPCの距離は近づいています。2010年のバンクー バーの次、2014年には、オリンピックとパラリンピックの 同時開催は、実は夢物語ではなくなっているのです。パラ リンピックの競技力は、回を重ねるごとに格段に上がって いるのですから。積極的に受け入れていく土壌、社会全体 が大きな流れを作るような思考になってほしいですね。」

顔の見えるコミュニケーション

Q 企業の社会貢献についても、いろいろなスタイルやメリッ トがあると思われますが。

「社会貢献の姿勢は、企業の評判に密接にかかわるはず。 たとえばパラリンピックに対するサポートの形もいろいろ考 えられます。競技者一人ひとりに注目していただいても良い のです。競技を続けるためにはサポートが必要です。このよ うな視点で見ると、社会と企業の多様なコミュニケーション の形が見えてくると思います。企業の特性や考え方に応じて “顔”が見えるタイアップも可能です。社会と企業の距離の 近さを感じさせる明快な活動、それは、社会貢献のリーダー シップを取っていくことにもつながる、強力な企業の広報だ と考えています。」

Q 最後に、大日方さんの考える“21世紀の社会デザイン”に ついてお聞かせ下さい。

「さまざまな立場の人が、柔軟な発想で話し合っていくこ とが大切です。個性を尊重すること、そして“顔”が見える こと。これが21世紀の社会のコミュニケーションを創り上げ ていくのだと思います。」

◆著書紹介
公開講演 壁なんて破れる
−パラリンピック金メダリストの挑戦

大日方邦子(著) 日本放送出版協会(2006/06)¥1,470(税込)


3歳のときの大事故、中学校での いじめ、そしてスキーとの出会い。 冬季パラリンピックで活躍中のト ップ・アスリートが熱く語る、ス ポーツにかける思い、仕事、結婚、 そして社会へのメッセージ。



◆スキー歴
スキーを始めたのは高校2年。輝かしい軌跡は次の通り。
1994年、第1回ジャパンパラリンピック冬季大会で大回転1位。冬季パラリンピックは、初参加のリレハン メル大会で滑降5位。以降、国内外を問わず大きな大会で常に上位を維持している。
1995:ジャパンパラリンピック冬季大会〈大回転1位 回転1位〉
1996:Newzealand Disabled Ski Championships 〈スーパー大回転3位 回転1位〉
1998:冬季パラリンピック長野大会〈滑降1位 スーパー大回転2位 大回転3位〉
2006:障害者スキーワールドカップ〈種目別回転1位 大回転2位 総合2位〉
2006:冬季パラリンピック・トリノ大会〈滑降2位 スーパー大回転2位 大回転1位〉
2007:障害者スキーワールドカップ北米シリーズ〈回転1位、大回転2位〉

◆今期参加の大会
【2006/2007シーズン活動予定】
2006年10月22日〜11月6日ヨーロッパ合宿(Soelden@AUT)
2006年11月26日〜12月11日北米合宿(Panorama@CAN)
2007年1月10日〜21日ワールドカップ(Aspen@USA)
2007年1月22日〜27日ワールドカップ(Kimberly@CAN)
2007年2月1日〜4日ジャパンパラリンピック(白馬八方尾根)
2007年2月5日〜8日高速系合宿(白馬八方尾根)
2007年2月10日〜16日極東カップ(Yong Pyong@韓国)
2007年2月22日〜24日全国身体障害者スキー大会(片品)
2007年2月27日〜3月9日ワールドカップ(Abtenau@AUT)
2007年3月10日〜18日ワールドカップ(Zoncolan@ITA)