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庄司 洋子 先生
4月に着任いたしましたが、いまだ不慣れで戸惑いながらの授業をしております。戸惑いの最大の要因は、この研究科の大学院生や教員の多様性にあるような気がします。これまでは社会学研究科におけるアカデミック・ディシプリンにそれなりの執着をもっておりましたので、この多様性になじんでいくことは私にとっては新たな修行でもあります。多様性に潜む危うさや怪しさを感じつつも、それを超える大きな魅力を大切にしながら、院生のみなさんに向き合って行こうと思います。
私の専門上の関心は現代の家族・福祉・ジェンダーにかかわる諸問題を、社会学・社会福祉学・社会政策学の方法から追うことにあります。とくに、家族については、これまで自明と思われてきたことを深く疑わなければならない事象が増えてきています。1994年の国際家族年のキーワードが、家族の多様性、家族との人権、であったことは、まさにいま家族をめぐって生じている地球規模の地殻変動のようなものを象徴的に表現しているといえるのではないでしょうか。こうしたことに目を向けながら、大学院では3研究科共通の講義科目のなかで、現代家族の諸相とそれに対応する家族政策について考えてみたいと思います。また、ゼミでは、ジェンダーにかかわる現代的なテーマを取り上げます。院生のみなさんには、常識や経験知から解放されて発見の喜びを味わって欲しいと願っています。
立花 隆 先生
考えれば考えるほど、面白い研究科を作ったものだと思う。まずコンセプトが面白い。<非営利組織>と<危機管理>と<ネットワーク>がキーワードというのがこの研究科の基本コンセプトだが、これほど根本的に性格を異にする3つの概念を基本コンセプトにする研究科を作ってみようなどと考えた人がいるということが不思議である。この3つを三題話のタネとして出題しても、誰一人、人に話せるストーリーを思いつかないだろう。
こんな三題話にもならないキーワードを3つならべた研究科に本当に来ている学生がいるのだろうかと思ったら、それがゾロゾロいる。ここを出ても素晴らしい教養が身につくとか、目新しい金儲けができるようになるといった世俗的なメリットは何もない。なのに、毎年なかなかの学生たちが入ってくる。
75%が社会人という大学院なので、話をしていて実に面白い。大人の集団だから、リアルな危機に出会っても、実に見事に大人として切り抜けていく。時代が変わったなと思った。
「社会デザイン」とは何か。一昔前なら、「社会デザインて何ですか?」、「公共政策」「社会政策」とどこがちがうんですか、と問われたかもしれない。実際、やっていることの中身はそんなにちがわないところにあるといってもいい。だがもし「社会政策研究科」などと名乗っていたら、おそらく、来る学生の質がまるでちがうものになっていただろう。
なにか野暮ったい。それでいて一皮むくと権力欲がぎらついているような、20世紀社会のあちこちによくいた、どうしようもない連中の予備軍のような学生ばかりだったかもしれない。
それが「21世紀社会デザイン」という看板をかかげたとたん、頭の中がスマートで、意欲とガッツがありそうな連中が集まってきたということだ。これからが楽しみである。
渡辺 元 先生
私の非営利セクターへのかかわりは、トヨタ財団入社以来、早30年以上になります。企業財団としてのトヨタ財団を米国に見られる独立、財団のように形づくったのは、初代の専務理事を務められた林雄二郎先生です。経済企画庁(当時)を経て、東京工業大学で教鞭(社会工学)をとられ、未来工学研究所も立ち上げた先見の明あふれる識者です。好奇心旺盛な先生は、常に財団のナビゲーターとして、独特の歴史観に基づくビジョンの構築に勤しみ、それを年次報告の巻頭論文として毎年欠かさず執筆し続けました。
「いまのニーズより、将来の”芽”となるものに光をあてよ!」が先生の口癖でもありました。社会工学や未来工学の観点に拠るお考えでもあったのでしょうが、これらの工学は、いま流に言えば”ソフト工学”であり、この研究科が目指す「社会デザイン」とも通じるものがあります。先生はまた、21世紀社会を「ポスト工業化社会」「情報化社会」「成熟社会」などと位置づけ、そこで果たす民間非営利セクターの役割とその重要性を早くから指摘されました。その基本的アクターとしてのNPOをはじめとする民間非営利組織の基盤強化を図り、これからの市民社会の発展に微力を尽くすことが私の責務であると、思いを新たにしているこの頃です。
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