立教大学ホームページへ
問い合わせ・資料請求 立教大学HOME
Vol.9 [2007-07-12発行]  PDF版

●[Interview]ホームレス支援、「ビッグイシュー日本」の挑戦(佐野章二 代表)
●キャンパスの声・在校生紹介
●新任教授
●各ゼミ紹介
●21世紀社会デザイン研究科 公開講演会開催
●CSRインターンシッププログラム
●修了生ら4人、地方統一選で躍進/21世紀社会デザイン研究学会のご案内
●[Schedule]行事予定/編集後記

Vol.8 [2007-04-11発行]  PDF版
Vol.7 [2006-11-15発行]  PDF版
Vol.6 [2006-03-15発行]  PDF版
Vol.5 [2005-08-31発行]  PDF版
Vol.4 [2004-12-20発行]  PDF版
Vol.3 [2004-07-31発行]  PDF版
Vol.2 [2004-01-31発行]  PDF版
Vol.1 [2002-09-20発行]  PDF版

『Social Designer』Vol.1は、PDFファイルでご覧ください

次代のテーマ、鋭く迫る

 21世紀社会デザイン研究科では、次代を見据えたホットなテーマを題材に、様々なゲストスピーカーを招いた講演会を、年に何度も行っています。今回はその中から今年度に行われた4つの講演会についてご紹介します。


東アジアにおける平和の構築

〜日韓、日中関係からのアプローチ〜

活発な議論が展開された場内  2008年の「北京五輪」開催へ向け、中国が目覚しい経済発展を遂げる一方、北朝鮮の「核開発」問題に端を発した朝鮮半島の緊張関係の激化。こうした現状の中、これからの東アジアの国々における「平和の構築」とはどのように進めていくべきか。また、そんな中での日韓関係・日中関係とはどうあるべきなのか」そんな外交課題と向き合う、本研究科主催の公開講演会「東アジアにおける平和の構築〜日韓、日中関係からのアプローチ〜」が4月16日、池袋キャンパスの太刀川記念館で行われました。
 講演会では、中国や韓国の現状に詳しい有識者として、中国社会科学院日本研究所副所長の孫新氏をゲストスピーカーに招いたほか、立教大学の李鐘元法学部教授や野村浩一名誉教授らもパネラーとして参加。それぞれの専門分野から「東アジアにおける平和の構築」のあり方について、熱く議論を戦わせました。また、講演会の司会・進行役は、本研究科の秋山昌廣教授が務め、会場となった太刀川記念館の多目的ホールには100人近い学生や市民らが来場。熱心にメモを取るなどして講演に耳を傾けていました。
 報告者の李教授は、「経済の発展は、中・長期的には社会の安定と民主化を推し進め、国々の相互依存を強める。これは平和への諸条件を整えることにもつながる」と説明。その上で「今日の東アジアは、世界経済にとって最も発展の可能性を秘めた地域の一つ」と評価しつつも、「18年も前に終結した冷戦構造が依然として存在する地域でもある」と指摘しました。
 つまり、日本や韓国、そして中国の経済発展と相互依存は高まりながらも、「北朝鮮を巡る朝鮮半島の危機」や「中国のプレゼンスの拡大」が、激しい不安定要因をも形成しつつあると分析、「今こそ日韓、日中関係のあり方が問われている」などの発言がありました。


未踏少子高齢社会の将来

〜21世紀社会デザインの基盤を問う〜

 立教大学池袋キャンパスで5月19日、「未踏少子高齢化の将来〜21世紀社会デザインの基盤を問う〜」と題した公開講演会が行われました。コーディネーターは本研究科の高橋紘士教授が務め、コメンテーターには木研究科委員長の北山晴一教授。また、国立社会保障・人口問題研究所の高橋重郷副所長をはじめ、政策研究大学院大学の松谷明彦教授や、日本政策投資銀行地域企画部参車事の藻谷浩介さんが参加しました。
 講演会では、2006年12月1国立社会保障人口問題研究所から新しい人口予測が公表され、「高齢化と少子化の進展が加速化、人口減少のテンポも急速化していることから、日本はどこの国も経験したことの無い未踏少子高齢化に突入する」と切り山し。「これらの人口構造が、将来の日本の経済社会に大きな影響を及ぼす」との報告が行われました。
 高橋副所長は「1973年のオイルショック時代では、2.1人を上回る出生率であり、100人の母に100人の女の子が生まれていたが、それ以降急速に出生率が減少したまた女性の社会進出や就労が出生率に大きく働いていると推測されている。そこから兄えてくる様々な問題にどう向かうかが課題である」と示されました。
 また、松谷氏は「6〜7年前から人口減少の問題を研究している。戦後先進文明をうまく取り入れた社会であったが、近年人口減少には手本が無く、また社会システムや年金問題など深刻な背景があることは否めない」と指摘。戦後の産児制限、経済への影響、社会保障の問題を詳細なデータで明解に説明されました。藻谷氏は「今まで人口問題は一般に分かっているようだが、実はマクロ経済問題としては勘違いしているのが現実。人口だけの問題ではなく、地域問題や福祉に至る問題であると考え、地球レベルの問題として考える必要がある」と説明。そして北山教授は「20年前からこの人口問題は着手していたはずだが社会システムとして機能していない。この背景にもこの研究科を作った経緯があること、そして一番大事なのは人ということ」社会システムのどんな改善が人々の幸せにつながるかが根本的なこと」と話されましたそれぞれの専門家が、現在の日本の人口問題にかかわる状況をグラフ・数値を用いて明快にレクチャー。ディスカッションは特に白熱し、各氏ならではの鋭いコメントが飛び交いました。高橋教授は、「環境が変わっていくのに思想が追いつかない、社会の仕組みを人口の視点で見直すということの大切さが見えた。この講演会は日からウロコのようなことが多かったのでは」との総評を述べられました。


市場の危機にどう対応するか

〜グローバル化時代と金融の危機管理〜

 「国際的な金融市場の『危機』にどう対応するか」をテーマにした本研究科の講演会が6月16日、池袋キャンパスで開かれました。元大蔵省財務官で「ミスター円」との異名でも知られる榊原英資・早稲田大学インド経済研究所長を講師に招き、コメンテーターには、本学ビジネスデザイン研究科の特任教授を経て、現在は量子金融工学研究所の共同代表を務める前田文彬さんが参加。本研究科の秋山昌廣教授の進行で始まった講演会には、その関心度の高さからか、休日にも関わらず1OO名を超える聴講者が訪れ、熱のこもった議論が展開されました。
 講演会では、まず榊原氏が東大時代からの専門分野である「経済学理論の上に物理学を融合させ、現代日本社会を覆う金融市場の不完全性について言及する」との話を導入として披露。続いて1997年のアジア金融危機ついて述べ、「なぜ、あれだけの世界規模で金融危機が拡大したかと言えば、それは小さな危機の段階で防げたはずの対処を軽視したがため。これは各機関が監視活動を怠ったと同時に、情報収集を怠った責任でもある」と指摘されていました今後のヘッジファンドの動向や、民と官の役割などについては「グローバリゼーションと相まって何でも民営化が持てはやされる時代だからこそ、規制緩和後の事後的チェック機能が重要で、かえって役人の数や不明資金が増加するといったマイナスの側面がある」と解説を加えられました。また市場の仕組みを「美人投票」に例え、「客観性や評価基準に関わらず、多くの人が美人だと投票すれば、たちまちその人は美人だということになる。つまり市場も多くの人が儲かっていると思えば思うほど、たとえ実態と離れていたとしても景気が良くなる」と説明しました。
 最後に「危機とは単に異常な状態にあるわけではなく、人間は必ず問違うということを自覚し、fallibility つまり問違ったときに随時修正していく姿勢を持つということが危機管理の重要な視点である」と強調、一方、前田氏はベンチャー企業を始めとした新興産業への金融関連機関の取り組みや、金利と格差などについて紹介し、ヘッジファンドに関しては日露戦争時のイギリスの例からつい最近の日本の事例まで、歴史的経緯についてもお話されました。また榊原氏は自身の著作『為替がわかれば世界がわかる』を引き合いに、「為替は世界を写す鏡であると共に、世界を知らなければ為替は動かせない」と指摘。前田氏や秋山氏ともそれに賛同の意を表明していました。今回の講演会では、難しい経済用語が飛び交うのかと思いきや、身近な話題に置き換えて興味を引き付ける榊原氏、冷静な分析で論点を絞って整理する前田氏、会の円滑な進行を促した秋山氏の3名によるコンビネーションが見事で、非常に頭に入りやすく、楽しく学ぶことができました。


コミュニティビジネスの「継続力」

〜社会的企業としての経営基盤〜

 2007年6月30日、立教大学池袋キャンパス8号館で「コミュニティビジネスの継続力〜社会的企業としての経営基盤のつくり方〜」をテーマにした公開講演会が13時半より3時間あまり開催されました。
 本研究科委員長の北山晴一教授により挨拶があり、本研究科は今年で6年目を迎え、「コミュニティデザイン学」「危機管理学」「社会組織理論」の3つの研究領域が体系的、現実的に学べる大学院であるとの紹介がされました。
 パネルディスカッションに先立って、紀平容子氏(NPO法人高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会代表)より東京都立川市北部のけやき台団地の商店街でのレストランサラを中心とした地域住民・市民の手によるまちづくり事業の紹介と、矢ヶ崎紀子氏(株式会社日本総合研究所 主任研究員)より様々な事例研究をもとにまとめられた「コミュニティビジネス経営力向上マニュアル」の詳細説明があり、3年目での事業の見直しの重要性・リーダーの資質などのお話がありました。
 引き続いて、本研究科の中村陽一教授をコーディネーターとして「コミュニティビジネスの継統力」というテーマでパネルディスカッションが行われました。
 パネリストには、日本大学大学院グローバルビジネス研究科の平田光子教授をはじめ、中央労働金庫総合企画部次長の山口郁子氏やNPO法人コミュニティビジネスサポートセンター代表理事の永沢映氏、NPO法人環境ネット21顧問の六本木信半氏、NPO法人高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会の紀平容子代表が参加。コミュニティビジネスの経営に関して、組織の継続の必要性・伊勢崎のまちづくりを事例としたブランディングそしてコミュニティビジネスの資金調達の方法などについて、非常に有意義なディスカッションが行われました。なお会場にはlOO名を超える聴講生の参加を頂き、大盛況のうちに幕を閉じました。その後カフェテリア山小屋で、パネリスト達を囲んでの懇親会も開かれ、ビール片手にこちらの会場でも活発な意見交換が交わされました。