――コーラの広がり――
はじめてペプシコーラを飲んだのは1960年台の後半だった。

それまでは清涼飲料水といえばラムネのように無色透明か、オレンジジュースのように赤っぽい色に決まっていた。また甘いものだと思っていた。

それが、コーラは黒い液体で、独特の風味を持っている。こんなものを買う人は少ないだろうと思っていたが、その後、コーラは着実に日本中に広まっていった。世界にも広まり、ほぼ世界中でコーラを入手できるようになった。



――クワスの広がり――
1970年の大阪での万国博覧会の時、はじめてロシアの伝統的な飲料のクワスを飲んだ。

これは、ライ麦が原料で、黒い色をした、少しだけアルコールをふくむ飲料である。にがくて、すこし酸っぱくて、独特の風味がある。はじめて飲むと、驚きを感じる味である。これもコーラ同様、すぐに風味になれて愛飲する人を獲得する味である。

ロシアでは家庭でも黒パンを発酵させてクワスを作ることがある。また料理にも使用するようだ。はじめは独特の風味に圧倒されるが、それなりにファンを獲得している。

コーラと同じように黒くても、クワスはロシア以外には広まらなかった。現在の日本でも、ごく少数の店では飲むことができるらしい。



――タケの酒の広がり――
タンザニアではタケの樹液からつくる酒がある。タケの先端を切り、しみ出す樹液をためておくと半日程度で自然発酵して酒になる。ヤシ酒と同じつくり方である。タケの酒は、乳白色でやや酸っぱい酒である。カルピスを飲むような飲みやすさで、つい飲み過ぎると足腰が立たなくなる。

自然発酵をしているので、その日にできた分量を、毎日、自転車で酒場に運ぶのが青年たちの仕事になっている。

この酒の発酵を止め、缶詰にして遠方にも出荷しようと企画した人がいた。私も日本への土産にしたいと缶タケ酒を探した。しかし、中身の酒よりも缶のほうが圧倒的に高価で、このもくろみは頓挫してしまった。タケの酒は、自転車で運ぶことができる範囲にしか流通しないのである。




タケの酒を運ぶ青年 タンザニア中部にて。 2005年撮影





――飲料が結ぶ地域――
私の近所ではいわゆる名水を汲みに出かける方もいる。

名水ともなれば、県内各地から人々が求めて来るようだ。流通する地域が限定される飲料としては、自家製の酒などもある。これは友人が住む範囲でだけ流通している。



ノルウェーのオスロでアパートの水道の蛇口からビールが供給されたらしい(CNN Web版2006年3月13日)。

これはアパートの2階下のバーで、ビール樽の接続を間違えたためであった。ノルウェーはビールが高い国で、400ミリリットルで約900円もするので、貴重な供給である。しかし普通の水も出ないと、風呂や炊事には困るだろう。普通の水も別ルートで供給されるのであれば、ビールがパイプを通じて供給されるアパートも悪くない。この場合は、飲料が結ぶ地域の広さはアパート1棟という狭さになろう。













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