2007年8〜9月にかけて広州(中国)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)を訪問し、各地のアフリ カ人交易人の活動を探る機会を得た。
ここでは広州とバンコクを比較しながら紹介しよう。


バンコクの中心的な衣料品のマーケット(下の写真。靴、鞄なども含む)では多くのアフリカ人が買い出しに来ている。




バンコクのプラットナム市場。ここには別のマーケットの写真があります。


上の写真のマーケットには卸と小売りの商店だけでなく、貨物輸送の業者、インターネットと国際電話の店、航空券手配と両替の 店、そして安いホテルなどが集まっている。このマーケットは、たしかに衣料品の買い出し先として機能している事が分かる。

その一方で、2000年以降は、同じ衣料品の買い出しでも中国の広州に出かけるアフリカ人が多い と聞いた。また、バンコクで出会う交易人たちも、広州とバンコクをセットにしてアジアまで出向いて来ている 例が多かった。そこで広州でのアフリカ人交易人の活動を見るべく、今度の訪問になった。


結論から言えば、以下の1)〜3)のような観点から、広州の方がバンコクより深くアフリカ人とコネクション が形成されつつある。もちろんミクロに見れば、広州もバンコクもそれぞれの特色を出して、交易人を引きつけ ており、どちらかが圧倒しているわけではない。なお、3)は2007年夏の訪問結果ではなく、予測なども含んでい る。


ここからは、アフリカ人一般ではなく、タンザニア人に限った話題である。


1)タイには年間2,000人レベルでタンザニア人が訪れている。多くが交易に携わっていると思われるが、タンザ ニア人で、タイに店舗やオフィスを構えている者は非常にすくない(ナイジェリア、セネガル、マリ、ガーナから来て商店主になっている者はいる。タンザニア人の長期滞在者は、衣料品関係ではなく、宝石関係者で見られ る)。一方、広州では、コックや美容師をしたり、工場経営、流通業、などに携わるタンザニア人がいる事が分 かった。タンザニア人美容師の店が複数あり、そこがタンザニア人のたまり場になっているのは、おしゃれなタ ンザニア人の面目躍如で印象深い。アフリカ人の毬状毛を上手に編んだり、まっすぐにしたりするのは、高度な 技術が必要だ。


私もタンザニア人コックがいるレストランに通ってだべっていた。レストランといっても、店舗兼住居のビルで 、上階のほうの、本来は住居用のスペースがレストランとして利用されていた。中国には高価なものから庶民的 なものまでおいしい食べ物があるが、タンザニア人としてはダル・エス・サラーム(タンザニア)のホテリ(簡 単な食堂)にあるような白飯に肉や魚の煮物をかけた食事を時々とりたくなるようだ。


2)タイに衣料品の買い出しにくるタンザニア人交易人は1週間前後しか滞在しない。一方、広州では1〜2 週間の滞在で商店から買い集める者だけではなく、交易人でも半年程度滞在する者がいる。彼らは、工場に大量 に発注し、それを発送し、タンザニアで売り上げた金の送金を広州で受けて次の発注をする。こうして半年の滞 在で数回の発注をするのである。




広州のアフリカ人が集中する地域では、ホテルのレセプションや入口にホテル従業員以外はアフリカ人だけし か見えない時もある。
次の写真も同じ。





3)広州→ダル・エス・サラームの交易を、タンザニア人が独占しているわけではない。中国人もダル・エス・ サラームのマーケットにやってきて衣料品の店を開いている。詳細は別の機会にしたいが、中国人が運営する衣 料品店は100店舗以上あると思われる。現在では広州に出かけているタンザニア人と、広州から来ている中国人と の協力・競争などの関係はあらわになっておらず、それぞれが独自に活動しているように見える。しかし、同一 地域で同様な活動をしていれば、早晩、各種の関係性が形成されるだろう。双方ともが利益を得るための方途を 模索するのであろう。これに対して、ダル・エス・サラームに出てきているタイ人は、ほとんどいない(皆無ではなく、日本食のコックなどで来ている人もいる)。タンザ ニア人とタイ人が接触する場所は、タイに限られていて、中国人の場合と対照的である。


タンザニア人も、そしてアフリカ人も種々の経緯で世界各地、とくに都市に出かけている。広州、バンコク、 ダル・エス・サラームといった都市での調査は、かならずしも容易ではない。都市で忙しそうに動いている人を 捕まえなくてはならないからだ。池袋でいつもキャッチセールスに冷淡にあたっている報いかもしれない。







写真はすべて2007年撮影

タイでのアフリカ人交易人についてはここに書きました。


『ニューズレター』19号に寄稿したものを改稿しました。






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