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【図表

2-11】劇場の種類

30

 

 
 
 
 
 
 
 

(出所:筆者作成)

 

 

興行には配給された作品を上映するスケジュールにおいてブッキングシステムというものがあり、ブロック

ブッキングとフリーブッキングの

2種類がある。このブッキングシステムは上映作品の決定と上映期間の決定

に関するもので、邦画館や大手の直営・系列館だとブロックブッキングが採用されていた。ブロックブッキン

グとは、年間の上映作品と上映期間を事前に決めておくことである。全国にブロックブッキングの劇場を持つ

ことで、同一作品を全国一斉に上映することを可能にした。事前に上映する作品と時期を決めておくことで、

どの作品とも契約が結べず上映する作品がないという事態を避けることができ、自社で製作した作品を上映す

る場を確保するという意味もあった。そういった事情からブロックブッキングを採用している劇場は、自社で

製作・配給・興行のすべての機能を持つ大手映画会社の邦画館であった。フリーブッキングはブロックブッキ

ングとは異なり、上映作品や上映期間を自由に決定できるシステムである。客足の少ない作品は期間を短くし、

ヒットしている作品は期間を延ばすなどの柔軟な対応が可能になる。製作と結びついていない洋画館や大手以

外の劇場は、ブロックブッキングではなくフリーブッキングを採用している。シネコンに関しても、外資系企

業により日本に持ち込まれた形態であったため、海外で一般的であるフリーブッキングが採用されており、現

在、大手の系列にあったとしてもフリーブッキングである。

 

 次に興行での収入と費用について述べる。費用に関しては上映映画料、人件費、土地代、売店売上原価、広

告宣伝費などがある。このうち上映映画料が全体の約

45%を占めており最大の費用項目である。次に大きいの

は人件費の部分で約

15%、次が土地代で約10%、売店売上原価と広告宣伝費が約5%、その他が約15%となっ

ている

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。収入に関しては、本章の製作の役割と収支構造の中の【図表

2-7】で述べられた通り、劇場の映画

料金として観客が支払う金額の約

50%が興行主取り分となる。これは配給会社との契約により差はあるが、

たいてい

50%と言われている

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最後にシネコンについてである。シネコンとはシネマコンプレックスのことであり、同一の運営組織が同一

所在地に名称の統一された複数スクリーンを

5スクリーン以上所有し、ロビー、チケット売り場などを一か所

に集めた劇場スタイル

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である。

1993年にワーナーマイカルが海老名に1号店をオープンして以来、ヴァー

ジンシネマズなどの外資系興行会社や、日本の大手

3社を含め日本の興行会社もシネコンをオープンしている。 

 シネコンは邦画と洋画の両方を区別なく上映することができ、複数のスクリーンを持ち、かつフリーブッキ

                                                   

30

 このほかに過去の作品を上映する名画座がある 

31

 米浪信男「映画産業の構造分析」『経済文化研究所年報』2002 

32

 『コンテンツプロデュース機能の基盤強化に関する調査研究vol.3』p150-153 

33

 C&R総研『コンテンツプロデュース機能の基盤強化に関する調査研究vol.1』p48 

邦画館

 

シネコン

 

洋画館

 

直営館

 

外資系

 

単館系

 

大手系

 

系列館

 

大手系

 

大手系

 

単館系

 

単館系

 

直営館

 

直営館

 

系列館

 

系列館