第3章
堀削機業界における破壊的なイノベーション
前期課程1年 尹 卿烈
本章の目標は堀削機業界における部品やアーキテクチャーの漸進的、抜本的な持続的イノベーションの過程をディスク・ドライブ業界との比較し、その共通点や差異点を理解すること。
<ディスク・ドライブ業界と共通点>
@ 大手企業が機度となく、部品やアーキテクチャーの漸進的、抜本的な持続的イノベーションを成功したこと。
A 大手企業の顧客と経済問題から、当初は無視された破壊的な技術によって既存のメーカーが追い落とされたこと。
B そして、ディスク・ドライブ業界と掘削機械業界は破壊的な技術が出見してから、確立された市場へ侵食は止める事ができない確固とした動きであること
持続的イノベーションのリーダーシップ
l 1837年 蒸気ショベル発明
l 1920年代 ガソリン・エンジンへの移行
(ベンターソン、クラークの抜本的なイノベーションに当たる)
−技術変化の性質は抜本的であるが、機械式掘削業界に与える影響は持続的である
−ガソリン・エンジン技術のイノベーションをリードしたのは業界の主力企業
(図3−2のようにこの移行を支配したのは実績がある企業)
l 1928年 ディーゼル・エンジンと電気モーターのショベルへ (持続的な技術の移行)
更にアーチ型ブーム設計で、作業の範囲が広く、バケットが大きく、柔軟性が高まるなど実績ある企業によるイノベーションが成功する
►掘削工事業者は、その他さまざまな重要な持続的イノベーションを開拓した。まず、
自社設備を改良して性能を高め、つぎに、それらの特徴を盛り込んだ掘削機を製造し、市場に向けて販売した。
破壊的な油圧技術の影響
l 1960年後半ケーブル駆動システムにかわって油圧駆動システム現れる。
70年代まで油圧掘削機へ移行したのは実績ある企業の4社で他は全て新規参入企業
機械式掘削機市場で求められる性能
►掘削機の3つの市場:一般掘削建設工事(最大の市場)、下水・配管工事、露天採鉱市場
►各顧客は掘削機の性能を作業半径、バケットの容量で判断することが多い。
油圧式掘削機の出現と向上の軌跡 (図3-3)
►最初の油圧式掘削機は1947年開発される。その時は工作用、農業用のトラクターの
後ろに取り付けられて販売される。
その時は油圧ポンプのツール、バケットの容量、作業半径の問題あって、既存の一般掘削業者、下水工事業者に意味なかった。
新規参入企業は製品の新しい用度を開拓し、小型の工業、農業トラクターの後部に取り付ける装置として、販売する。(トラクターや農工具のディーラーにより販売)
►最初の油圧式掘削機の顧客はケーブル式ショベル・メーカーの顧客と規模,ニーズ,
購入する販売チャンネルも違う
※ 小型ディスク・ドライブが記憶容量や処理速度ではなくて重量,耐久性,消費電力など他の尺度によって異なる尺度によって測られたように初期の油圧式の性能はケーブル式掘削機と異なるバリューネットワーク、尺度によって判断された。それはショベルの幅,トラクターの速度や操作性だった。
実績ある掘削機メーカーによる油圧式への対応
► 最初油圧式掘削機が開発された時、最大手の企業はその技術に気づいて油圧式掘削機メーカーを買収した。しかし、ディスク・ドライブ業界と同じように最も有力な主流の顧客が関心を示さなかったという問題に直面した。
その企業は既存顧客のニーズに訴えるためには当時の油圧技術では無理があって、既存のケーブル・リフト機構が有力な方法であると判断し、「ハイブリッド設計」の製品を開発。(油圧の特性が評価されるバリューネットワークで破壊的な技術を商品化しなくて、自らのバリューネットワークに採用する)
→ 油圧を採用した機械は10年間性能を改善したが商品的には失敗し、結局ケーブル式に戻った。
► 1966年油圧式掘削機の技術が市場の顧客のニーズと交差するまでケーブル式掘削機メーカーは利益を伸ばす。(確立された技術を持つ大手企業は、破壊的な技術が主流市場の真中に切り込んでくるまで堅実な業績を維持する)
→破壊的な技術に直面する業界の典型
図3-3 油圧式掘削機のメーカー(新規参入企業によって油圧式掘削機市場は支配される)
► 60年代油圧技術はバケットの駆動と前後動に利用されて実績あるメーカーの製品に持続的な影響を与え、主流のバリューネットワークの中で製品の性能を高めた。
<掘削機メーカーが採用した戦略>
成功した新規参入企業 |
実績ある企業 |
技術の能力重視 |
既存顧客、市場ニーズ重視 |
40年〜50年代に油圧技術を受け入れ、 |
新技術を持続的に改良して、既存顧客、市場に販売できる形で技術を採用、改良する (革新的な投資の対象を既存顧客に定める) |
新たな用途市場開拓 |
確立された市場に押し込む |
※ 新規参入企業の戦略
当時の新技術に見合う市場で設計と製造の経験を積み→商業的基盤を利用し上位のバリューネットワークを攻撃する
► 破壊的な技術の影響を受ける多くの業界では、変化から利益を得るための戦略の違いが、新規参入企業と実績がある企業の姿勢を特徴つける。
ケーブルと油圧の選択
► ケーブル駆動システムと油圧駆動システムの両方が主流市場の需要を満たせれる時点。
→ 掘削工事業者は作業半径またはバケットの用量など既存の基準だけではなく、油圧式の故障しにくい信頼性に気づいていて油圧式掘削機に乗り換えた。
► 60年代全般から下水道・配管工事の業者は急速に油圧式を選択して、70年代後半には一般掘削工事業者も油圧式を選択した。
油圧式の普及の影響と意味
► 破壊的技術を扱う時のジレンマ
登場時は企業内に問題ないし、堅実な成長を維持している。
新技術は顧客に必要とされてない、使えない技術であること
►実績ある企業の失敗の理由
油圧式に関する情報や使い方に関する知識の不足、経営者の怠慢ではない
→ 油圧式に意味がなかったから、そして気づいた時は遅すぎたからである。
► 持続的イノベーションと破壊的イノベーションに直面した企業の成功と失敗のパターンは、すぐれたマネジメント判断の当然の結果である。だからこそ、破壊的技術はイノベーターをこのようなジレンマに陥れる。
安定経営のパラダイム:新しい持続的技術によって生じる問題を解決するには有効
安定経営のパラダイム:破壊的技術を扱うには役に立たない。
疑問点
l 優良な実績がある企業は没落するのを待つしかないのか。
l 日本企業のプロセス・イノベーションによる成長はどう説明するのか。
l 「破壊的技術」とは。