Chandlerの近代企業の形成・発展と関連付けて、企業成長に伴う企業構造の特徴を整理し、先行研究、特にラングロワを中心にその考え方を整理した。これにより分業構造の下での大量生産体制の形成と企業成長における規模の経済・範囲の経済の活用という近代企業との共通性について明らかにした。
1970年代以降、大量生産体制や近代企業の動揺・変容・解体については、大量生産市場の飽和と分業化された大量生産体制の形成期と位置付けられる。この時期には、生産における緊密な企業間関係の形成、生産工程への情報技術の導入、企業間の情報ネットワークの形成がみられた。
また、現代の生産体制としてPC産業のアップルを取り上げて具体的に研究を行った。80年代前半における大量生産体制の形成と確立戦略転換に伴う90年代における大量生産体制の動揺とアウトソーシング、2000年代における生産機能の分業化、外部企業の活用による生産ネットワークのコントロールに基づく大量生産体制の確立、多角化と多品種化の推進、コンテンツ・アプリ事業の垂直統合による急成長について明らかにした。 鴻海精密工業の研究も進めたが、2000年代以降を中心に、多角化と国際化による成長の過程を分析するのが中心であった。
また台湾への調査を実施し、90年代後半以降のアウトソーシングの景となった台湾企業の受託製造業における台頭の解明とサプライヤの実態、生産と設計・開発の連携の実態を解明、鴻海精密工業分析のための基礎的調査を実施した。これらの成果は、2014年の工業経営研究学会全国大会で報告し、すでに2本の論文を執筆し、2015年中には、刊行される予定である。
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