行政−すなわち雑用


 
 大学教員の職務は、研究・教育・行政の3種です。しかし、私立大学の教員
が給料をもらえる根拠である職務は、教育と行政なのであり、研究は含まれて
いないのだそうです。私が立教大学に勤務し始めて間もなく、「忙しすぎて研
究時間をなかなか作れない」とグチを言ったところ、神島二郎先生からこのよ
うにたしなめられました。
 この頃、実務家を辞めて大学教授に転身した方・転身しようとする方が、か
なり多くおられます。外から見ていると大学教授は、研究三昧で給料をもらえ
る仕事に思えるようです。しかし、行政の仕事による負担が、教育の仕事によ
る負担よりも大きいのです。W大では、行政の負担を免除して実務家を採用し
ているようですが、行政の負担なしには学内の情勢を必要十分には把握できて
おらず、実現不能な約束を学生としてしまうなど教育上の困難を生じると思わ
れます。また、実務家を採用する際にも、そのような制度がなく、行政の仕事
も負担すべき通常の教員として採用している私立大学がほとんどです。
 実務家から転身した教員がもしも行政の仕事に手抜きをすれば、その分の仕
事が確実に本来の専任教員に回ってきます。大学の自治・研究の自由というお
題目はありますが、研究時間をなかなか生み出せない専任教員にとっては、こ
れらは正にお題目にすぎないのです。
 法務総合研究所や科学警察研究所で研究職に付いておられる皆様、研究内容
決定の自由がないのと、研究時間を生み出せないのと、どちらをお好みですか
という問題なのです。しかも、これまで容易に入手できた基本資料の入手が、
経過年数に従い幾何級数的に困難になることでしょう。そのような状況の中で
研究活動をも行っている私立大学教員の苦しみを理解できた頃には、自分自身
も基本資料の入手が困難となってしまっているのではないでしょうか。
 このように述べた私の意図は、実務家の転身願望を否定することではありま
せん。行政の仕事の負担がかなり大きくて、研究活動の継続は容易でないかも
知れないと、警告を発することなのです。
 行政の仕事の中心は教授会です。いわゆるワンマン経営の大学では理事会が
強く、教授会の意向が容れられないようですが、民主的である大学ほど教授会
の力が強く、その構成員である教授(助教授・専任講師を含むことが多い)の
の果たすべき責任は重くなります。
 その責任を果たすために、学部内の各種委員会の委員、大学内の各種委員会
の委員などを、各教員が担当することとなります。しかも、大学が組織加盟し
ている外部組織の会合に、協力する義務もあります。
 国立大学の先生方はよく、「委員会で忙しいので、外部の研究会への参加は
お断り」と言われます。しかし、親方日の丸である国立大学の経営についてま
で、かれらが責任を負っている筈はありません。「忙しい、忙しい」と言うの
は、さまざまな委員会の委員として活動せざるを得ない、理事会主導でない私
立大学における委員会の会合の多さや長さについて、基本的な知識が彼らに欠
如しているためではないかと思います。
 ここでは一般論のみしか述べておりませんが、個別具体的な問題についての
私見は、以下の諸説明をご覧下さい。なお、学部内・学部外で学内・学外と分
けるのではなく、研究と関わらない行政、研究と関わる行政に分けて説明させ
ていただきます。

研究・教育と関連の薄い行政 3/19/98現在

研究・教育と関連のある行政 6/03/99現在

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