原子核の質量は質量数Aと原子番号Zの関数として
M(A,Z)=Z*Mp+(A-Z)*Mn
-aV*A+aS*A2/3
+aC*Z(Z-1)/A1/3+aasym(A-2Z)2/A
+Δ
で近似的によく合う。
aV=15.85 MeV, aS=18.34 MeV, aC=0.71 MeV,
aasym=23.21 MeV, Δ=12/A1/2である。
(半実験的質量公式)
結合エネルギーBは
B=Z*Mp+(A-Z)*Mn-M(A,Z)
つまり、M(A,Z)の式の右辺第3項以下の符号を変えたもので書ける。
質量数Aを固定して考えると、BはZの2次関数となっており最大値が存在する。
近似的にはZ=(A/2)/(1+0.0077 A(2/3))の関係にあり、これを
満たす(A,Z)の近傍に安定核が存在する。
(このことはβ崩壊のときにもう一度ふれる。)
上の公式は原子核の質量を大局的に説明するが、近傍の核同士の質量については
Kelson-Garveyの質量公式がある。これは
B(Z+1,N+1)+B(Z,N)-B(Z,N+1)-B(Z+1,N)=0 あるいは
B(Z+1,N-1)+B(Z-1,N+1)+B(Z,N+1)-B(Z,N-1)-B(Z+1,N)-B(Z-1,N+1)=0
のような近似関係を利用すると、この中で1つの核の結合エネルギーがわかって
いないときに他の核の結合エネルギーから評価することができる、というものである。