電荷感応型プリアンプ
半導体検出器は電気的にはコンデンサーのようにみなせるが、放射線が入って信号
パルスが生じたときに電流が流れ、一時的に電気容量が変化したようになる。
そのため、出力パルスの電圧が放射線が失なったエネルギーに比例しなくなって
しまう。
これを解決するには、電荷有感型のプリアンプを使用する。
これは、コンデンサーのフィードバックを用いたオペアンプであり、検出器の電荷量に
比例した電圧の出力パルスを出すことができる。
光電子増倍管
シンチレーションの光を再び電気信号とするために光電子増倍管が使われる。
光電子増倍管では全面にフォトカソード(アルカリ金属などを組み合わせたもの)が
あり、光電効果によって光を電子に変換する。この変換効率は量子効率と呼ばれ、
通常25%以下である。
光電子増倍管の内部は真空であり、放出された電子は電場によって加速される。
電子は100V程度加速されてからダイノードと呼ばれる電極に衝突し、二次電子を
放出する。その二次電子のうち数個(5個程度)が更に加速されて次のダイノードに
達する。これを10〜14回程度繰り返すと、電子の数は107まで増倍され
アノード(陽極)から取り出される。
光電子増倍管はこのような各段の電位を与えるために、ベースに接続される。
ベースは高圧電源の高圧を抵抗分割し、ソケットを通じてダイノードに電圧を
供給している。
光電子増倍管の構造は電子をうまく加速・増幅するように、また、時間特性を
よくするために複雑な構造をしている。そのため、磁場の影響を強く受けることが
多い。ミューメタルなどを利用して磁場をシールドすることがよく行なわれる。
光電子増倍管の他にフォトダイオードも用いられる。
これはSiの半導体検出器と同じであるが、光が入射したときに電子・正孔対をつくる。
1対をつくるのに約3.6 eV必要である。光電子増倍管が400〜500nm(紫〜青)の光に
感度をもっているものが多いのに対し、フォトダイオードは600nm以上の波長の光
(緑〜赤)に感度をもつものが多い。