日私小連東京地区教員研修会 算数部会記録
『午前 研究授業』
@低学年 第1学年 松組 男子 20名 ・ 女子 18名
授業者名 丹野 信幸・福嶋 典子(明星小学校)
単元名 たし算
授業要約 教室座席の右半分と左半分が2つの教室に分かれて授業。
プリントのかごの中とお皿の上にそれぞれ好きな果物の絵を描き,それをもとに
お話作りをする。そして,○+△=?という式に表すことができることを知る。
協議会 司会者 清水 直子(トキワ松学園)
記録者 諸戸 加織(学習院初等科)
要約 ・T.Tの形式について。取り組みについて。
・1年生のこの時期にお話し作りの文を書かせることについて。
・本時の進め方,学級経営,他教科の授業について。プリントの意図について。
研究協議会記録
明星小学校 第1学年松組38名(男子20名,女子18名)
授業者 丹野信幸 (明星小学校)
福嶋典子 (明星小学校)
司 会 清水直子(トキワ松学園)
記 録 諸戸加織(学習院初等科)
授業者@(丹野信幸):本校では,算数の授業にT.Tを平成10年度から導入している。学校全体としては,5・6年生から始まって,3年前より1年生に始めて,昨年度2年生と3年生の1部で始めて,今年度より全学年でT.Tを行っている。形態はいろいろあるが,今日は,最初1つの教室でなげかけをして,その後,できるだけ多くの子どもの声を吸い上げようと2つに分けるという活動をした。今年度始まって,単元や内容によって1つの教室で2人が教える形式,はじめから最後まで2つの教室に分かれたままで授業をする形式,はじめは1つの教室で全員に投げかけて2つの教室に分かれて意見を吸い上げる形式と,そのとき,その単元によって使い分けをしている。研究を始めてそんなに長い年月がたっているわけではないので,理想的な形とはどういったものなのか試行錯誤しながら行っている段階。2つに分ける時の分け方は,本日もそうだが,低学年の間は,習熟度別ではなく,名前や座席などで分けている。クラスの中の半分,少人数制という形をとって意見をたくさん吸い上げてみようという形でおこなっている。高学年では,子どもたち自身にどちらのクラスが良いか(基本的な問題でやってみたいとか発展的な問題に挑戦してみようとか)子どもたち自身が選ぶというセレクト学習を取り入れている。これもまだまだ完成されたものではなく,その時々の状況や子どもの実態などにあわせて指導している段階。これについてもご意見をいただいて,勉強させていただけたらと思っている。
本日の授業を振り返って,松組の教室で行った20名は,まだまだ学習に対する取り組みや姿勢ができていず,舞い上がっている子もいた。そういった状態だったので,こちらも舞い上がっていた。そんな中で的確な発問,指示ができていたのか。どうだったのかを振り返っているが,最初の段階で説明をさせるというところでの投げかけがなかなかうまくいかなかったのかなと反省している。何人かの描いたものを中心に進めていったが,落ち着きがなかったと感じている。
2年梅組の教室にいった18名の子どもたちも,2つに分かれて,戻ってきたときに,福嶋(授業者)におおまかに内容や様子を聞き,子どもの描いたプリントを見て内容を確認した。そこで,これからの活動の修正があれば,次時に全員で確認するという形をとっていこうと考えている。
司会:本日のT.Tの先生の方からも今日の授業を振り返った感想を。
授業者A(福嶋典子):ありがとうございました。子どもたちに注目させなくてはいけないところで自分も落ち着かなかった。普段は,算数と音楽を担当しているが,算数と音楽で子どもの笑顔が違うことを感じる。また,普段は,音楽室で算数の授業をするので,私の方がきりかえが難しい。子どもたちの方が早く切り替えができるよう。自分も子どもといっしょに算数を勉強している気持ち。
1+1=2は,当たり前のこと。でも,大人や教師は,それがわからない子にどうやったらわかるのか噛み砕いて説明していかなくてはいけない。“わかる⇒だから⇒楽しい”としていきたい。より上を目指すのではなく,最低ライン,ここを目指しておけば,2年生になって大丈夫という感じを目指している。みんなが,“算数=楽しい”⇒“学校=楽しい”“算数があるから学校に行きたい”となるように授業を展開していきたいと考えている。
今日の授業は,私自身舞い上がってしまったところもある。授業を組み立てていく中で事前に,こんな意見が出るだろうとはなしをしていたが,子どもの方の展開が早かった。プリントをやっている活動も見て,言葉で説明してと言ったのに,半分以上の子が,2+2=4と式を書いていた。
また,お話し作りといったら,僕は,○○(名前)です。と書いている子もいた。言葉を覚えたばかりのこの時期の子どもたちにどの程度お話し作りが適切か。もしかしたらこの段階でお話し作りは適切ではなかったのかこれからまた2人で反省しながら,この時期に,よりたしざんについて興味を持ってほしい。わかってほしい。文章を書かせるよりも“あわせて”とかのような単語をもっとおさえた方がよかったのかなという反省もある。また,今後子どもたちに何をいちばんおさえるのか,どこをいちばん全体で指導するべきなのかまた話し合いながらたしざんについてまた他の単元についても考えていきたい。
司会:今日は,授業中に名簿をまわさせていただいた。そこで,普段研修会で意見をいただいていない方や経験年数の浅い方に新しい意見をまず伺いたいと考えている。
中野(東横):(松組参観)現在,1年の担任をしている。今月末からたしざんの単元に入るところで,とても興味深く見させていただいた。授業の途中で,プリントに描いた果物の説明を書いてくださいという指示があった。今,1年生の子どもを見ていて,その子どもたちは,まだひらがなの学習が途中で,文を作るのは難しいというような感じがすることがとても多い。算数の時間にも文を書かせることはほとんどない。それを授業でやっているところを見て,普段の国語の授業でどのような指導をされているのか伺いたい。実践していることがあればぜひ教えていただきたい。
授業者@:国語の中では,ひらがなもまだ全部終わっていない段階。しゃべっていることばを文にしてみようとか,か行をやったら,か行の文を掲示するということは行っている。算数の時間にしっかりとした作文は求めていない。まず,言えればいい。それを国語の言葉,算数の言葉と言っていたが,算数の言葉で○+△=?とするんだということがおさえられれば良い。全員に細かい説明を要求しているわけではない。認識として,かごに○個,お皿に△個くらい出てくればいいと思っていた。普段の国語でもしゃべっている言葉を文にしようというのはしている。こちらの指示の意味がわかっていない子もいた。だから,“ある日,私は・・・”から始まる文を作ってしまう子もいた。普段の授業の中でまったく文を作ることがないというわけではなくて,おりにふれて1つのひらがなをやった時に,この言葉で,文を作ってみましょうということをやってみたり,発表しましょうというようなことをやってみたりは続けている。
久野木(立教):(松組参観)現在,1年目で2年生の担任をしている。明星の子どもたちがとても落ち着いていると感じた。私の学校は,男子40名を一度に教えているが,いつも大騒ぎで,あんなにみんなが騒ぐ場面があっても落ち着かせる場面もうまくコントロールできるんだな,男子校でもできるのかというのを実際月曜日から試してみたいと思った。授業については,子どもたちが質問の意図を完全に理解していなくても進めている場面があったと思う。でも,それでもいいのかもと思った。どうしても自分は今,理解させたい理解させたいと思ってしまうが,やっていくうちに,子どもたちがだんだん今の自分は違ったんだというのに気づいているのではないかなというのをみていて少し感じた。そういった点が私は,勉強になったと感じている。
小山(星美):(梅組参観)うちの学校(星美学園)でも今年からT.Tを探っていこうという段階。興味深く見た。授業をする側としては,クラスの人数が半分になって,教師の目がすごく行き届くと思って見ていた。質問ですが,梅組では,式に先生が,○人+△人=?人と“人”を入れることを定着させるようにしていた。松組の板書のあとをみると,式に“人”がはいっていない。学校で共通した何かがあるのか,それとも,担当者に任せられるのかをお聞きしたい。
司会:梅組の板書を見たが,使っている数字は同じだが,式の中に“こ”が入っている。これは,他の学年でも入れていいのか。一緒にやっていることもあるので,分かれてやるときにばらばらになってもいいのかという疑問はあると思う。そこのところは,いかがでしょうか。
授業者@:打ち合わせの段階でしつこく,命数をつけようと話していた。梅組ではそれを忠実に抑えてくれた。松組では,子どもたちの言った言葉をそのまま黒板に書いた。それが結果的にこうなってしまったということ。個々には,机間巡視中に,「人をつけよう」とか,「こ?人?こじゃないよね」とはひとりひとりに聞いていた。その中で“人”という確認はできていた。打ち合わせの時は,考え方としては,命数はちゃんとつけようと話していたので,今度1つの教室の中で2人で見るときに全体で確認もあわせてしてみたいと思っている。また,4+7=12までなのか4+7=まででもいいのかといったことも全体で確認したいと思っている。学校の全体の中でもやはりある学年まではつけておいたほうが答えを求める時にいいのではないかと考えてはいる。高学年になってくるとそのあたりがちょっと難しくなってくるのかなということで,かならずしもそういうふうにはならないこともある。
司会:算数だけに限らず,T.Tを現在取り入れている学校は?⇒慶応・しょう徳・聖心女子(3校が挙手)。T.Tをやっている学校は少ない。星美⇒探り中でまだ実施していない。明星小学校はもう10年間というかなり長い間やっていますが,そのことについても触れていきたい。今,小山先生の方から授業の内容についても質問やご意見もいただいたので,それを混ぜて感想質問のある方は?
本部(光塩女子):配られたプリントが1年生には難しく見えた。マス目がないなど。あのプリントを選んだということで,この学校として今までの学校生活の教育生活の中でそういったことにむすびついていて,あのようなプリントを選ばれたのかと思って,そのへんの意図を教えていただきたいと思う。本時の目標に,絵や具体物を通してと書いてありますが,僕も今,1年生を教えていて,具体物と数字との結びつきを一生懸命考えているが,今日の授業で具体物とはいったいどのようにとらえていたのかということをお聞きしたい。
授業者@:マス目がなかったのは,自由にいろいろな書き方をしてほしかったから。国語ではないので,とはいいながらもおさえなくてはいけないこともあるが,自由に使えるように,制限にとらわれないようにと考えた。これをつかったのも,教科書のこのへんの単元だと絵を出して,その絵を見て,場面を自分で考えてということだが,自分でたしざんの場面,合併の場面を作ってみようというのが1つのねらいでもあったので,それを作るためにはどうしたらその設定ができるのかというようなことを考えて,もちろん全体の中で,実際に果物とかボールとか具体物をもちこんでみて示すというやり方もあったと思う。今回のように自分で描いてみて,そして自分でおさえていくというのは,ちょっと今までの流れに背伸びしているところが,実際あったと思う。
自分で考えてみるというようなことで投げかけた。本時では,具体物は登場してこない。自分が描いた絵がイメージとしてあるだろうと思っていた。この発問というか指示もそうだが,かごの中に果物と言っていきなりかごの中に3種類くらいの果物を描いている子もいた。こちらとしては,同じ種類の果物を描いてくれるだろうと思っていたのですが,その辺もちょっと甘かったところだと思う。具体物から入って,それをだんだん抽象化していくと最終的に○+○が導き出されると今回はいいのかなということで,まず絵から入って,そして言葉をつけ加えながら算数の言葉ともいえる記号などを使いながらあらわすというそこまでおさえたかった。それが適切かどうかという問題はある。
久加天(豊明):(松組参観)1年生にとっては難しい授業だったかなと思った。先生の発問のねらいが私もよくわからなかった。まず最初に絵を言葉で表しましょうといったところで,子どもたちからもどういう意味かわからないという言葉が多く聞かれた。先生がその後,描いた絵の説明を描いてくださいとおっしゃったが,先生はここでどういうものを子どもに描いて欲しかったのかが私にもよくわからなかった。
それから,もう1つの難しさは,たしざんがどういうものか知っている子を前提としているのだったらわかるというか見えるものがいっぱいあったが,今回は,たしざんとはどういうものかを教える授業だったので,たしざんというものをしらないときに,“ざるには さらには”という2行まで書かれた後に,「たしざんなんだからこれで終わりっていうのはね・・・このあとどんな言葉があるのかな。」と先生はおっしゃった。やっぱりここは,子どもたちはいったい何を答えていいのかが明確ではなかったのではと思う。例えば,2このりんご 3このりんご というものをつかって,お話し作りをじゆうにさせてあげるとかそういう展開だったら子どもたちがすんなりと楽しめたのでしょうけれど,りんごがありました。その後どういう言葉があるでしょうといわれても,ちょっと難しかったと思う。
更に「それを短くかけないか。」と言ったところもたしざんを知っていることが前提ならば,それを式化していくとかわかるが,まだ知らない子どもなので,教えることと気づかせることは分けられた方がよかったと思う。
等号のところ。最初に提示された“わたし=さんすうがすきです”では,“=”は,こくごの“は、”と算数の“=”は,一緒にしてはいけないと思う。もし,それがそのまま算数的に使えるのであれば,
算数が好きなのは,みんな私になってしまう。最後の板書に残されたものも,このままではいけないのかなと思う。2+3=5というところで,“+”⇒ふえる,あわせる,“=”⇒こたえは?と先生が書かれていたが,それだと今度は,5=2+3というときに使えなくなってしまう。“=”のとらえ方をこの後どういうふうにされるのかということも興味がある。
授業者@:お話づくりの件は,非常に参考になった。ありがとうございました。確かに子どもたちから言葉を引き出すというのは,とても難しいことで,特に1年生では,投げかけ方によってはまったく違うものになってしまったり,すごく混乱をさせてしまう形になってしまったり,その辺は,打ち合わせの段階でもどういう言葉が良いだろうというのはあったが,最終的には,微妙に隣と違うということはあったのかもしれない。そしてまたそれで出たものがまた違ってきてしまったというのはあると思う。
ご指摘のように,たしざんを知っている子は,得意がっている。知らない子は,何をしているの?となる。 これは,子どもたちがクラスの中で活動する中で,私は大切なものなのかなと思っている。知ってる子は,更に詳しくわかるようにする。知らない子は,あんなことをもう知っているんだというところから,ああこういうことかもとおぼろげながら形として何となく見えてくるものがありつつとなればよいと思う。でも,ここはいちばん最初のところですから,これから更に,それを明確にしていく必要があると思うし,またそういう授業をしていかなくてはいけないと思っている。そこでこたえは?という黒板の書き方についてもなのですが,たしかにこれで終わりだったらこれではまずいと思う。いちばん最後の4+3=で終わっている部分とかその辺もまた全体で投げかける。また隣のクラスはどうだったのかという意見も今度の算数の時間ではでてくるが,それでここではこういうふうに出たんだけれども隣のクラスはこんなふうに出たんだというようなことで,そこで,みんなでまた考えてみようという活動になって,そこでまたああそうなんだという納得があって,更に深まっていけばいいと思っている。ここで終わりというつもりもないし,子どもたちに私は「じゃあこれをまた考えてみようね。」という投げかけ方を最後にしたので,この次どうなっているんだろうなという意識は出ているのではないかと思う。今度の時間に「実はこんなのが出たんだけど,みんなどう思う? こちらでは,こたえは?ということになっているんだけれどもどうおもう?」というようなことで始まって,それでまた「ああそうなんだ。」という納得がでてくればそれはそれでいいんだと思う。この授業はこれで完成。終わりという考え方は,私にもありませんし,ご指摘の通りだと思っている。
司会:時間になってしまいました。意見がいえなかったという方もいらっしゃったと思いますが,最後に,暁星の中野先生まとめて感想などよろしくお願いします。
中野(暁星):今の指摘はもっとも。算数の言葉はそのとおりだが,1年にはよくわからない。低学年ほど質問を明確に絞った方がいい。オープンな質問が大切な場面もあるが,もうちょっと上の学年になってからの方が良い。いろいろな取り方ができるような発問は低学年には避けたほうがいい。
低学年のうちは,できる。わかる。だから楽しい。考え方によっては,低次の部分で同期づけができる段階だと思う。それを大切にしていくということを考えると,今日の意図はわかるが,やはり低学年の算数指導で今日のような発問を通してたしざんの表現を子どもたちに作り出させようとするのは難しすぎる。今日の最初に,お話し作りをさせるというのはとても良かったが,あれにいろいろな場面があって,どれもa+b=cになるという形を理解させる活動にしたらもっとよかったのではないかと思う。
授業者@:貴重なご意見ありがとうございました。確かに低学年は本当にぶれるような発問はしないほうがいいなと私自身今日はちょっとぶれているところがあったとは思う。1時に1つではないが,明確な指示というのは大切だと今日改めて感じた。どうもありがとうございました。
A中学年 3年梅組 男子 20名 ・ 女子 20名
授業者名 松山 友香 ・松尾 洋一(明星小学校)
単元名 重さ
授業要約
授業(発表)の要約
前時にグループ毎に立てた重さ比べの計画をもとに、各自が重さを比べたい物を持ち寄り、それぞれの方法で重さ比べをする。その中で、大きくても軽い物・小さくても重い物があることに気づき、さらには、どちらがどれだけ重いか表すために、任意単位の必要性に気づく。
協議会 司会者 山口 博子(日本女子大付属豊明)
記録者 小野邉 文子(目黒星美学園)
要約 ・ティーム・ティーチングについて
・前時の授業の様子 どのようにして重さ比べの方法を考えたのか。
・ノート指導について
・教師の発問の内容について
「重さ」(第3学年)
授業者 松山 友香先生・松尾 洋一先生
司 会 山口 博子(豊明)
記 録 小野邉 文子(目黒星美)
授業者より
重さの2時間目の授業。単位の学習の前に、重さの感覚を養うこと・単位の必要性を感じることをねらいとして行った。
1時間目は、重さ比べの計画作りを行った。
大きくても軽い物・小さくても重い物を確認した後、重さを数値化するところまで授業として行いたかったが、時間が足りなくなってしまった。予定では、班毎に重さをそれぞれの物を単位として数値化して発表し、違う物を単位とすると正確に重さが伝わらないというところまで行いたかった。
また、グループ活動を行ったが、もっと教師が周りに目を配って授業を行いたかった。
TTとして他学年・他教科においても授業を行っている。
中学年の子どもらしさ・発見した喜びが表れた授業であった。
司会
誰でも発言でき、言い合える雰囲気を大切にしていきましょう。感想でも授業についての質問でも、意見をお聞かせいただきたい。
意見
T・Tについてはどのように行っているのか。
授業者
全学年実施したのは、今年から。以前は1.2年、5.6年などで部分的に行っていた。
司会
他にT・Tを行っている学校はどれくらいあるのか、挙手していただきたい。
(10校ほど手が挙がる。)
意見
算数の指導でT・Tを実施している。事前に打ち合わせをしてから授業に望んでいる。
授業者
クラスを2つに分けてそれぞれで指導にあたる場合、全体を2人で見る場合という形で授業を行っている。今回は、全体を2人で指導していった。打ち合わせは、1週間前に1週間の予定をくんでいくこともあるし、前日に打ち合わせることもある。
司会
T・T以外にも何か質問などがありますか?
意見
クラスがとても暖かい雰囲気なのが感じられた。
重さの1時間目の様子を聞かせていただきたい。
授業者
重さ比べをしてみようと投げかけ、自分達で道具を見つけて重さ比べをした。定規・手・上から落とすなどの方法を行っていた。ハンガーを使って、両側に比べたい物をつるす方法は、教師がこのような物があるよ、と提示した。
前時では、あまりハンガーを使って重さ比べの方法を考えていなかったのだが、本時になって、借りていったグループがたくさんいた。量りたい物を入れる袋も少し提示したら、借りていったグループがいくつかあった。
意見
ハンガーを使って重さを量る場合、量る物が中心から等距離にないと正確に量れないが、そのようなハンガーで重さを量る時の気をつけることはどのように確認したのか。
授業者
「これで正確に量れるのか?」と問いかけ、子ども達が直していた。
司会
初めて算数部会に参加されるような先生方にもどんどん意見をお聞かせいただきたい。
意見
自分もグループ活動を行って、授業をしたが、作業に夢中になってしまって、話をしっかり聞けなかった。しかし、今回の授業では、子ども達は話を聞くときはしっかり聞くことができていた。
意見
計画表と違うやり方で重さ比べをしている班があったがなぜか。
授業者
本を開き、重さによってその本がどれくらい下がったか、という方法で量っていたが、なかなかうまくいかず、こちらが少し投げかけることで、また自分たちで直し、考えて行っていたから計画表と少し違うやり方になった。
意見
ノート指導はどのように行っているか。
計算のスピードの個人差がでてきてしまうが、どのように対応しているか。
授業者
まずは、教師の板書を写すことから始めている。
また、上手に書けた子のノートを誉め、伸ばしている。
計算力の徹底を心がけているが、やはり個人差が出てしまう。
意見
鉛筆何本分から、単位に気づくように授業が展開していくと思うが、その後の授業の展開の予定は。
授業者
パステル1個分・筆箱1個分だと重さが比べられない。全員同じ物だと分かりやすいことに気づかせていきたい。
意見
全員同じ物というと、おはじきや鉛筆という意見が出るのではないか。
授業者
ゆくゆくは、1円玉を使っていきたい。まずは、ハンガーを使って重さ比べをして、その後バネばかりを使っていきたい。
意見
○ ○がいくつ分というのを皆が理解できたと感じたか。
授業者
半分くらい理解したのではないかと感じた。活動を欲張りすぎてしまい、定着が甘かった。
意見
「速い」という教師の投げかけは、速いことがいいことと子ども達はとらえてしまうのではないか。
「どれ位なの?」という発問があったがどのような意図があったのか。
授業者
誉めることができそうな場面があったら、少しでも誉めたいと思って、子ども達の指導にあたっている。ただ、「速い」という言葉が適切であったかどうか、こちらも考えて子ども達を認めていきたい。
「どれ位なの?」という発問は、子ども達に重さを表現する方法を困ってもらおうと思って投げかけた。そこから、授業を展開していこうと思った。
司会
子ども達が暖かい雰囲気で授業を行っていました。松山先生・松尾先生、ありがとうございました。
B高学年 第6学年
授業者名 渡辺 保・後藤 千寿(明星小学校)
単元名 比
授業要約
後半から「自信がある人」(Aグループ〜発展〜)と「もう少し練習したい人」(Bグループ〜基本〜)の2つに分けて授業を行った。Aグループは、@「ピラミッドとかげ」の問題とA「サッカーコート」の問題の2問を扱った。Bグループは@「前項同士、後項同士が同じ比になっている」問題とA「分数倍になる問題」をあつかった。
協議会 司会者 黒田 千穂(国立学園小学校)
記録者 奥山 貴規(立教小学校)
要約 ・本字の学習内容に関して。
・TTに関して。
・児童本人の意志によるクラス分けに関して。
「授業後の話し合い」
授業者 渡辺 保 先生(T1)
後藤 千寿先生(T2)
司会者 黒田 千穂(国立学園小学校)
記録者 奥山 貴規(立教小学校)
T.授業者より
U.質疑応答
1. 本時について
渡辺(T1):前時まで7時間比の学習を行ってきた。比の式、xを求めることなどをやってきた。今日の授業は、後半から「自信がある人」(Aグループ〜発展〜)と「もう少し練習したい人」(Bグループ〜基本〜)の2つに分けて授業を行った。Aグループは私が担当し、@ピラミッドとかげの問題とAサッカーコートの問題の2問を扱った。@では、比の値が循環小数になるので分数で処理しなければいけない問題で、比を簡単にすることがポイントであった。Aは、いろいろな解き方を発表させたいため選択した問題であった。内項と外項の積を利用することがポイントとなる。
後藤(T2):私はBグループ〜基本〜を担当した。授業では@前項同士、後項同士が同じ比になっている問題とA分数倍になる問題(小数で表せない)を扱った。AはAグループの@と同じピラミッドの問題で数値を易しくした。
2. 校内のシステムについて
渡辺(T1):5年生と6年生のみ教科担任制である。
3. TTについて
渡辺(T1):1年生から6年生すべての学年で教師2人によるTTを行っている。クラスを分けることもある。分ける方法としては、@子どもたちが自分でクラスを選ぶ。A教師が目的に応じて分ける。B出席番号など機械的に分ける。
U.質疑応答
1. 本時の学習内容に関して
鈴木(昭和女子大学付属昭和小学校):内項・外項の考えの扱い方は難しいのではないか。
司会:内項・外項は今後どのように指導していくのか。
授業者(渡辺T1):内項・外項に関して、もうすでに塾で習っている子はいる。けれども、解けるだけで理解まではできていない。クラス分けせず合同の授業で扱いたかったので、今日は触れなかった。
上岡(桐朋学園小学校):比例式「4:2=12:x」や「2:4=x:12」を発表する子が出てくると予想したがいなかった。いろいろなタイプの比例式を指導してきたのか。
授業者(渡辺T1):「かげ:高さ」か「高さ:かげ」の区別ををつけるようにとは指導してきた。両方とも使えるようにすることを今後押さえるべきだと思った。
上岡(桐朋学園小学校):「計算はこのようにした方が簡単だよ。」と指導していくのか、様々なやり方を見せてどれか選ばせるのか。
授業者(渡辺T1):子どもに選ばせた。内項と外項の関係を利用する児童が多かった。
上岡(桐朋学園小学校):ピラミッドの影の長さがどこからどこまでか、悩んでいる児童が多かったが、それは予想できていたのか。
授業者(渡辺T1):他のクラスでも、理解まで時間がかかったので予想はできていた。けれども、今日の授業では他に時間をかけたかったので、あまり深くふれずに終えた。
司会:木と棒の高さと影の比は等しいことは確認したのか。
授業者(渡辺T1):授業では、非常に扱いにくいので、それが等しいと仮定して行った。
三浦(学習院初等科):いろいろな比例式があってよいし、解き方もいろいろあっていい。
2. TTに関して
恩田(玉川学園小学部):A・Bグループで扱われる問題がよく練られていると思った。TTでの授業をどのようにやっているのか伺いたい。
司会:現在、TTを取り入れている方(学校)は?(4名挙手)
松崎(聖徳学園小学校):3年生までは算数の授業をTTで指導している。1クラスの児童数は30名。個別指導の際に有益である。
大林(聖心女子学院初等科):1・2年生は単元によって必要なところのみTTで指導している。3〜5年生は常時TTで指導。6年生は教師間の持ちコマ数の都合上、TTを導入していない。
授業者(渡辺T1):一斉授業でもTTは有益であると思う。ステップ学習(自学自習)の際は、個別指導的に2人の教師が指導している。コーナーやラウンジなどを利用する場合もある。1つの教室で分けて指導するのは難しい。
三木(川村小学校):TTを導入する前と今現在ではどう変わったのか。
授業者(渡辺T1):毎年学力テストを行っているがTT導入前に比べてつまづきのある児童が減った。
三浦(学習院初等科):2人の先生の動きがとてもスムーズだった。
3. クラス分けに関して
鈴木(昭和女子大学付属昭和小学校):児童本人の意志でクラスを選んだが、うまく別れていたのではないか。自分の力に合わせて分かれていたのに驚いた。
司会:国立学園小学校では、算数が得意な児童をどう伸ばすか?と考え、TTを導入した。逆に、算数が不得意な児童も気軽に質問できるので、(クラス分けすることによって)習熟を図ることができるようになった。
三浦(学習院初等科):学習内容の理解が重要である。結果的にはどちらのクラス(A,B)でも学習内容に関して同じ印象を持ち、同じ学習であればいいのではないか。基礎基本グループと応用グループに分けるなど、目標・目的を持って分けるべきだと考える。
『午後 講演』
数学教育の目指すもの (数学を数楽に)
講師 岡部 恒治(埼玉大学)
司会 大澤 隆之 (学習院初等科)
記録 鈴木 純 (昭和女子大附属昭和)
私は、漫画などを通して少しでも数学や算数に親しんでもらおうと思い、いろいろなことをやってきたが、そういうことをやる一つの動機は、算数の本をいっぱい書いてきていて、今京都大学の西村和夫さんと一緒に「分数のできない大学生」という本を監修したのだが、彼と一緒に算数の教科書、小学校から大学まで一貫したカリキュラムを提示しようではないかということで書き始めている。「イメージ化」というのが私の最近のテーマになっておりそれに基づいて作っている。
なぜ私が「イメージ化」大切にしているかということから話をする。実は、私は算数がすごく苦手である。計算がまったくできず、中学校に入ったらどうしようと思っていた。しかし、中学に入ったら数学がすごく好きになってしまった。なぜかというと、数学というのはちょっと考えればすぐに答えが出るということが分かったからである。しかし、実は算数の中にもそんな問題がたくさんあるのだが、そのことに気付かないうちに、計算が苦手だからということで諦めてしまう子供たちがいっぱいいるという現実がある。このような子供たちに本当は算数や数学というのは面白いのだよということをぜひ知ってもらいたいと思っている。計算がだめでも、計算をうまくクリアーできるのではないかということを皆さんに伝えたい。
また、計算力も記憶力もなくてもできるのが数学の良いところで、むしろこういうこと(計算力・記憶力)を補うために数学というのがあるのではないか、というのが私の信念でもある。ただ、こういうことをいうと「計算なんてしなくていい。」という考えが出てきがちだが、これは違う。ただ、小学校時代は計算ができなくても一生懸命やる必要があるということを伝えたい。先ほど述べたように分数のできない大学生が増えているひとつの要因は計算を途中で諦めてしまったところに大きな問題があると考えられる。計算ができないだけだったら、問題はないのだが、努力して計算をやっていく上で、いろいろなことを学んでいくわけである。たとえば忍耐力がある。嫌いな計算をしっかりやることで、この力がつくという部分もある。また計算がだめでも、数の法則や数の概念を学ぶことができ、このことが大切である。したがって、小学校段階の算数というのは非常に重要だと考えている。
私は幾何学者だから、算数の中でも幾何学的な問題を今日は話すことになる。基礎という意味でも算数は大切である。たとえば東大の問題であっても、算数でできる問題がいくつもある。よって、東大の問題ができないのは算数ができないからだということもできる。
問題1(図1.2参照)について、仲間はずれだと思うものに手を挙げてもらいたい。
それでは理由を聞いてみよう。(理由発表・・・@小さいから。Aきちんとした形になっていないから。B角があるから。C切れているところがあるから。)高校数学では大体Cの答えが多い。@を選んだ人はほとんどいないが、小さいということで選択したと考えられる。そのほかにもそれぞれ考えがあるのだが、この問題には答えがない。「正解は何でもいい」というのが私の目的である。そして、それぞれ選んだ答えを必要とする職業がある。この問題を通して、物をどう見るかによっていろいろ考え方があるということを伝えたい。「暗陰のテーゼ」の「暗陰」は当て字であって「クライン(klein)のテーゼ」というのは私なりに言い換えると、本質的に重要だと思ったことはわかった時点でそれを変えない、重要なものは変えないで、他のものを扱いやすい形に変えていくということである。
この発想が数学においては重要である。このことを私は「クラインのテーゼ」と呼んでいる。本当はもっと難しい解説があるのだが、分かりやすく説明することが大切と考える。本質的に大切なものを変えないでどれだけ分かりやすくしていくかということを数学では考えたい。 問題1についても、面積や対称性といった観点を本質としてとらえた場合、図形の見方が変わってくるわけである。
問題2(図3参照)は慶応幼稚舎の入試問題をアレンジしたもので、この中にも
仲間はずれがたくさんあるが、それも何を本質として考えるかによって答えは変わ
ってくる。このように仲間はずれの問題は他にもある。発音によって類別することも考えられる。たとえば問題3(図4参照)のような場合では、本質は長さを調べるということである。したがって、長さだけが重要であるから長さを変えなければ、面積や角度は変えてもかまわない(問題4.5省略)。問題5(図5参照)については、影の部分が曲がっていても平行四辺形として考えればよいのである。この平行四辺形を内側にずらせばそのへこんだ分が縦20m横2mの長方形となってはみ出る。この面積を求めればよいのである。このように「へこんだ分だけはみ出る」という原理はいろいろなところで活用されている。
次の問題6(図6参照)は、半径を使って求める方法があるが、円の半径は関係なく、角度をすべて足して360度になればレールの幅1.5m×2Πがレールの差になる。実はこの問題は角度の問題であり、360度になるかどうかが大切なのである。
小学校では角度を求める問題が多く、三角形の内角の和は180度を教えるときに3角形の紙から角の部分を切り取って並べてみると180度であると教えることが多いが、他にも方法がある。角度を回転量として捕らえる考え方である。この考え方を用いると角度を直感的に捉えることができる。鉛筆を用いて角度の分だけ回転させることで角度が視覚的に分かるわけである(図7参照)。三角形の場合、三つの角をそれぞれA、B、Cとした場合に∠Aの1辺に鉛筆を乗せ、角度の分だけ回転させ、∠Bに平行移動し同様に動かし、次に∠Cに平行移動し同様に動かすと鉛筆の向きは逆向きになる。つまり180度回転したことになる。
角度というのはベクトルと同様で、平行移動しても角度は変わらない。この原理(本質)を利用した解き方である。厳密でないという欠点もあるが、すべてのものを厳密にするのではなく、直感的に捉えていく考え方も大切だと思う。
問題8(図8参照)については反時計回りを「+」とすると次の式が成り立つ。「x=b+d−(a+c+e)」そしてこの式に合わせて鉛筆を回転していくと角度が求められる。これらの問題を通して小学校段階では角度を直感的に捉えていくことが大切である。鉛筆を回すことで図形が見えてくる。
次に平均という概念を使って問題を解いてみたい。まず、立体の体積を求めるとき、上面は底面と並行ではなく、場所によって高さは異なる場合は、上面の平均的な高さを使って解いていけばよいのではないか。
今までの問題で、原形を長方形にしたり直方体にしたりしたが、このようにやると、簡単な問題になっていくのである。
残りは、少し楽しめるものを紹介したい。問題16(図9参照)は、パズルであり、この問題の教訓は、本質をつかめば問題が簡単になる、ということと簡単な場合で考えてそれを複雑なものに活用していくということである。
次に対称性を使う問題である。問題17(図10参照)は直角三角形を張り合わせた図形を裏返す問題だが、対称を使って解いていくと作業量が半分になる。図18(図11参照)は畳んで開く。正三角形を組み合わせたもので、いくつかの色の正日角形を作ることがある。
本質を重要視すること、優しく考えることを大切にしてほしい。子どもたちは、このようなゲーム的なものは大好きだと思うので授業でも活用してもらいたい。
(質疑応答)
Q:100マス計算についてどう思うか。
A:100マス計算は大変よいと思う。ただ、それだけをやればよいということではなく、授業の始まる前後に少しやっているぐらいがちょうど良いしそれが、100マス計算の効果的な活用法だと思う。
Q:鉛筆を回して解く問題について、具体的な角度を出せないのではないか。
補助線を引いて解く方法だと図形の構造が読めてこない。小学校段階では、そこまで求める必要はないのではないか。
Q:分数の割り算の逆数をかけるということの理論を小学生全員に理解させなければいけないのか?
A:逆数を利用することの理由についてはそんなに説明する必要はなく、「分数で割るときには分子と分母を入れ替えてかければよいという規則だけ教え、後は計算練習を繰り返すうちにその意味がなんとなく理解できるのではないか。」といった数学者がいるが、このように使っているうちになんとなく分かる(この場合、照明できるということではなく、自由自在に活用できるということ)ということが大切である。理由をきちんと説明し照明しなければ活用してはいけないというのは違うと思う。
Q:算数の成績が2だったところから数学が好きになっていったのはなぜか?
A:中学校の問題は高度であり計算より考えることが中心だったからではないか。
東初協一斉研修会 算数科 研究授業記録
『低学年部会』
テーマ 『数や形と仲良くなろう』
「万華鏡を作ろう!」(三角形と四角形)
日 時 平成17年2月8日 授 業 14:10〜14:50
研究協議会15:10〜16:10
場 所 立教小学校 2年A組(男子39名)
授業者 昭和女子大学附属昭和小学校 鈴木 純 先生
≪研究協議会≫ 司 会:清水(トキワ松学園小学校)
記 録:大村(清明学園初等学校)
司 会:それでは、本日授業をしていただいた鈴木先生より感想をふくめてお話いただきます。
鈴 木:本時のねらいであった「万華鏡を楽しもう」というテーマの楽しむという点では楽しんでもらえたが、作業のほうに夢中になってしまいました。高学年に多角形を学習するが図形の基礎を習う二年生の授業で、後の学習を意識したまた従来の教材ではないものから三角形や四角形の定義をふくめた授業を行いたかったが今日の授業は算数的な力がつくまでにはいたらなかった。
司 会:子ども達が楽しみ、盛り上がりながら作業をしていましたね。ここにいらっしゃる先生の中で万華鏡を教材として算数で行われた方はいますか。( 間 )いらっしゃらないようですね。今回、鏡を使われていることからも理科的な要素もふくまれていますが、では、他教科との関連で万華鏡を教材とした先生方はいますか。
久我天 :万華鏡を教材として利用した事はありませんが鏡を利用して理科で入斜角と反
(豊明小) 射角の単元で使用したことがあります。中学生になれば線対称の学習の中に鏡を使用して学習できると思いますし、理科や算数の関連付けも大切と考えます。子どもの学習は、他の教科といったことを意識して学習している訳ではないので、他の教科と関連させて学習することも大切です。今回の授業のねらいの中にある、経験や感覚を豊かにしたり、子どもがおもしろいと感じることを興味ある教材で扱えたように思います。しかし、図形の合成・分解の理解といった視点では今後の課題としてほしいですね。興味あることと思考させることを分けることが大切だと思います。
司 会:子どもが楽しむ中で何かを学ぶ、そういった視点を大切にしたいですね。また作業に夢中になると指示が行き渡らなかったりすることもあるので、指示を出すときの姿勢の向かせ方も大切ですね。2時間続きで行える授業だったらもっと余裕をもって楽しめたかも知れないですね。
藤 井:理科を専門としております。今回の万華鏡を使った学習を拝見し、子どもに
(白百合学園)教材を与えた時の苦労がよくわかりました。一度、ワーとなると収集がつかなくなってしまいますし、十分楽しまないと興味が先行してしまいますよね。今回、2つの質問をさせていただきます。1つ目は、合成を理解するのには鏡を使用して行う事は理解できますが、分解はどのような視点で行ったのですか。2つ目は多角形との結びつきは今回の授業ではどのようなところから考えられますか。万華鏡から多角形までつなげてしまうと、先行しすぎではないかと思いますが・・・。
鈴 木:1つ目の質問ですが、三角形が2枚くっつくと四角形になります。このことから四角形は三角形にも分けられるということにも気付くことが出来ると思います。合成ができるから、分解もできるということを万華鏡から分かると考えていました。しかし、分解はあいまいになってしまったように思います。2つ目の質問ですが2年生では四角形の定義を4つの頂点と線で囲まれた形と習います。では、5本で囲まれると?6本では?ということを万華鏡から見られる図形の変化から多角形を知る事はできないかなと思いました。
司 会:鏡を使いますと同じ形が反射して映っているので考えやすいですが、万華鏡になってしまうとポンと入れた時の確率もありますよね。確かに合成と分解と視覚的には分かりやすいですが・・・。
森 :今回の授業を参観いたしまして、算数にするのはどうしたらよいのか考えまし
(慶應幼稚舎)た。楽しくってしょうがないという子ども達の様子がよく伝わりました。よく図形の授業はおもしろくないという声も聞えてきます。というのは、定義が先行しすぎて今まで子どもの中で感じていた図形の認識に矛盾が出てくるからです。今回の万華鏡に見られた六角形をよくみるとしっかりと三角形の図形がくっついていないので正確には六角形といえないのでは。このように形を細かく見てしまうとおもしろさからずれる事もありますよね。私も今、2年生の担任をしているので、万華鏡を作ったよといって色々と質問してみました。おもしろそうと答えた子が半分、まあまあと答えた子が半分、すごくはないと答えた子が少数いました。この少数の子たちに「どうしてすごくないの」と聞くと万華鏡以外にももっといいものがあると答えていましたね。そして、万華鏡を覗いてみてどんな事を感じたと質問したところ
子:「ビーズは入れない。あまり入れ過ぎるときれいじゃない。入れるんだったら5こ〜12こくらい」「アルミホイルが光ってきれい」
先生:「本当に不思議だよね」
子:「鏡が映しあっている」
先生:「算数の考えでみると何かいえないかな」
と質問すると左右対称や、3こ入れると鏡に映るのが3の段の九九が出来ると
いったことを話してくれました。また、パターンブロックの形を組み合わせる
と三角形が四角形になるとの発言もでました。今回の授業では三角形を入れる
と四角形が見えたということに気付いても、それがどうして三角形が四角形に
なったのか結びついていなかった。正三角形が6つ集ったものが六角形。と結
びついたとしても二年生には、あまり難しいことを考えない、感じえない内容
でもいいのかもしれないと思いました。
鈴 木:楽しむ、楽しもうとする体験がないとその教科は好きにならない。では楽しむだけでいいのか・・・。今回、万華鏡を教材として算数の授業の中でどうするのかという事を考えさせられた。
司 会:今年の算数部のテーマが、「数や形と仲良くなろう」なので今日の授業は仲良くなれている時間であったと思います。
星 :教えていく中で教師から教授するばかりではつまらない。子どもに作業を取り
(明星小) 入れたことは非常におもしろいことだと思いました。参考になりました。
司 会:今回は2年生の授業でしたが、高学年の授業だったらどのように授業をしますか。
鈴 木:対称の単元で使いたい。図形の基本は三角形であることを確認させたい。また今回、2年生と一緒に授業をして子ども達は直観的なんだなという感想を持ちました。
佐 藤:今回、鈴木先生が研究授業をするにあたり1月に算数部の運営委員会に指導案
(国 立) を提出されてからその後3回指導案を出され、熱心に授業の取り組みをされていました。授業に対する思いや熱意を感じることが出来ました。この姿勢は教師として学ぶべきところですね。今日の授業ですが、先生は子どもに何をさせたかったのかということですね。楽しそうに活動する子どもたちを前に冷静に対応しておりましたが、先生の質問に子どもが流れていたようにも思えます。万華鏡を出すタイミングもきちっとすると、また違う授業の流れになったのではないかと思います。
鈴 木:本日の授業をするまでにこれまでに多くの先生方に指導案をみていただき、たくさんの意見をいただきました。まだまだ、万華鏡が教材として使用するまでには多くの問題があると思いますが、今後は子どもが身近なものを楽しみながら学習できる教材を見つけていきたいと考えています。そして、今後も算数が好きになるような体験をたくさんさせていきたいです。
『中学年部会』
『高学年部会』