○融通がきく場合2  タンザニア
  タンザニアから車をマラウィに出すためには、タンザニアから一時輸出許可、マラウィから一時輸入許可をとる。後者については既述した。前者は最長3ヵ月である。自動車の登録証を役所に預けて、許可証を発行してもらう。これをもって、3ヵ月の間はタンザニアと近隣の国の間を何度も行き来できる。帰国してから、許可証と引き換えに自動車登録証を返却してもらうのである。しかし、3ヵ月を過ぎて、半年後にタンザニアに戻った場合はどうか。問題なく入国できるのである。もちろん、タンザニアから出国する時点で3ヵ月の期間を過ぎている場合は、出国できない。

  タンザニアとしては、自国の車が帰ってきた、つまり国の財産が戻ってきたのであるから拒否する理由はないのである。一時輸出許可証に3ヵ月の有効期限が記入してあれば、「3ヵ月以内に戻ってくるべきだ」と考えた。しかし、そうではなく、「3ヵ月以内に出国し、戻る次期については規制がない」と読むべきだったのだ。

  まだ疑問が残っている。もし、戻ってくるのが大幅に遅れて、3年後になったらどうなるのだろう。預けておいた自動車登録証のオリジナルは没収されてしまうのだろうか。大幅に帰国が遅れている車を探すべく、預かった登録証について定期的なチェックをおこなっているのだろうか。これについては、やぶへびになるといけないので、担当役人に尋ねることをためらっている。


○融通がきかない場合 2  各国
  短期間の滞在の場合は、観光ビザで入国する場合がある。しかし、長期にわたって滞在する場合は、タンザニアでは滞在許可、マラウィでは一時労働許可を取得する必要がある。これを取得して、はじめてレジデント扱いになるのである(レジデントについては別項でも扱っている)。


  両国とも出入国管理の役所が発行にあたっている。タンザニアの場合、クラスA(事業主)、B(被雇用者)、C(ボランティア、宗教者、研究者)に別れている。クラスCの場合は、タンザニア国内で金を稼ぐわけではなく、使う一方なので、基本的には書類が整っていれば滞在許可を取得できる。申請後1週間以内に出る事が多い。しかし、その前段階として、推薦状や所属先からのレターを用意し、申請してからも役所に通い、並んで金を支払い、「今日はまだか、明日はまだか」と通いつづける心労は大きい。許可が出るまで、ダル・エス・サラームのそんなに安くないホテルに留まって役所通いを強いられる。新大陸へ移民してきて、大陸を前にした島で入国審査を受けた人々に共感を覚える。

  役人は意地悪をしているわけではない。しかし、けっして急いではいない。急ぐ理由もないのだろう。ゆっくり出勤して、執務時間中も気ままに外出して連絡できなくなる。そして、会議か葬儀で何日間も出てこなくなる事もある。何人かでティームを組んで協力して仕事を進めるような算段はなかなか期待できない。

  マラウィでは役所通いの心労はない。書類を提出してひたすら待つだけである。3ヵ月から最長1年程度かかる事もある。担当者が熱心に執務しないせいか、最後のサインをする人が悠長なのか、不明である。申請者にできる事は、時々訪ねてどうなっているか問い合せ、ソフトに圧力をかけることくらいである。

  私の場合、マラウィ国外に出る事が多い。労働許可を持っていると、再入国の祭、そのまま入国できる。持っていなければあらたにビザを取得する必要がある。結局、2回、再入国のためにビザを取り、その都度、「労働許可ができていればこの必要はないのに、無駄に金を使った」と詰め寄った。その効果があってか、3ヵ月で労働許可はおりた。

  タンザニアは貧しい国ではあるが、3000万人以上の人口を抱え、活発な経済活動をしているところも一部には見られる。タンザニアでクラスBの滞在許可をもらい、建築業や、製造業で働く人が東南アジア、西アジアから来ている。隣接するマラウィ、モザンビーク、ザンビア、ウガンダ、ケニアからの労働者は、あまりタンザニアには引き付けられていないようだ。彼らの滞在許可は、会社の担当者がまとめて処理している。

  マラウィに働きに来ている人もいる。マラウィは人口1000万人の国であるが、南アフリカの資本が入り、建築・土木関係、商業施設の運営、に多数の南アフリカ出身者が携わっている。しかし、彼らや、彼らの会社の担当者で出入国管理の窓口が混雑している様子はない。マラウィで暮らす上で労働許可はじつは必須のものではないようだ。働きに来ている人はその関係の施設にいる間は、就業許可がなくても不自由はない。ビザの延長も難しくないし、隣接国からの人々に対しては規制がゆるいようだ。


  役人の対応についていくつかの例を紹介した。それぞれ極端な例である。タンザニアとマラウィで、融通がきく場合とそうでない場合のどちらが多数を占めるであろうか。当事者によって差が大きいであろうから、私はとくに予断を示さない。けっして悪い場合だけでも、よい場合だけでもない。ぜひ、自分で旅行して、判断していただきたい。


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役人の様態  2