数ヶ月ぶりにタンザニアを訪問し、タンザニア人の元気のよさが印象に残った。


○マーケットで量目をごまかそうとする。
  米をマーケットで買った。20リットルのプラスティックのバケツ一杯で8500シル(約1200円)であった。

  これにバケツに山盛りにするが、私がいる反対側を少なく盛って、バケツの縁まで空いている状態でおわりにしようとする。私からはよく見えていたので、指摘したが、とくに悪びれる様子もない。頭かくして尻隠さず、いや、頭を隠そうとしたが隠し切れない状態であったので、こちらもそんなに腹がたたなかった。


○写真をとると関係ない人が声を発する。
  物の写真、あるいは本人の了解を得て人の写真をとる。するとそばにいた人が「あれ、写真を撮っているよ」「金を払え」などと大声を出す。たんにかかわりを付けて、できれば金を得たいと思っているのだ。

  これは別に性悪とされている人、その辺にたむろしているあんちゃん、が発するのではなく、普通のおばさんがほとんどだ。
  こちらはとくにとり合わないか、時々振り向いて、にこっとする。


○徴税に対抗する
  ムベヤ市役所が市内中心部のマーケットの出店料(一日200シル)、と営業許可料金(一年3000シル)を真剣に徴収し始めた。

  市役所に所属する警備員を動員して、上記の許可を持っていない店を強制的に閉めている。店のオーナーも、黙って立ち退かされてはいない。元気がよいのは石を投げて対抗している。

  人頭税も同時に集めている。これはkodi ya maendeleo(進歩の税)と呼ばれ、地方によって金額が異なる。ムベヤ市内の場合は、男と給料を得ている女は3000シルである。町で呼び止められて、この領収書を持っていないと、待機しているトラックに乗せられ、10キロも離れたところにつれて行かれ、置き去りになる。ここからは自分で歩いて帰ってこなくてはならない。一種のお仕置きである。

  もう少し時期が詰まってくると、予備の刑務所のようなところに入れられて、罰金を払わないと出られない。

  もちろん、人々は、人頭税の検査をやっている通りを察知して避けている。失業している男は、ムベヤにいても仕事もないし、捕まるのもいやなので、ダル・エス・サラームまで行ってしまうこともある。ダル・エス・サラームでも税額は3000シルであるが、失業者は免除になっている。どうして失業中を証明するのかよく分からないが。

  私がいつも滞在する村の地域でも男-3000シル、女-なし、である。年齢を若く偽って納税しない、逆に多く偽って納税しない、病気であるという、あるいは捕まっても罰金なしで半日くらいで牢から出てきてしまう、ということはよくある。ダル・エス・サラームでも実際の徴税ではさまざまなニュアンスがあるのだろう。

  ムベヤ市内を牧童なしでかってに散歩しているウシ、ヤギも罰金の対象だ。牧童なし、あるいは繋いでいないウシ・ヤギはトラックで市役所前の囲いに集められている。それぞれ罰金1万シル(約1500円)、5千シルを払わないと返してもらえない。伝統的な品種のウシは、売っても5万シル程度なので、罰金の額は非常に高い。

  牧童の同行が必要なのは、家畜が交通事故の原因になるかららしい。たしかにコウシ、コヤギは道路に駆け出してくることがあり、ひやっとすることもある。



  売り手と買い手、写真をとる人ととられる人、市役所と市民、のあいだのこれらの騒動は煩わしい。とくに投げられた石があたったり、自分の家畜が取り押さえられたら、非常に腹立たしい。しかし一方では、これらの騒動も元気がある証拠のように思える。



  マラウィでは給料をめぐってストライキやデモがよく行われる。また、職場での扱いをめぐって訴訟やオンブズマンの裁定が行われる。これらと比べて、タンザニアのほうが、騒動の元気が良い、あるいはやや暴力的だ。

  タンザニアでは昨年10月の選挙の結果をめぐっての衝突で、ザンジバル周辺で数百人規模の犠牲者が出た。また、現在、多くの人がケニアに逃げている。マラウィでも歴史的には政治犯を多くだし、前の大統領の時代には国外に逃げていた人が多数いる。

  したがって、ここでは、両国の質的な違いを指摘しているのではない。また、タンザニアの毀誉褒貶に触れているわけではない。日常の騒動での反応から、タンザニアの人の元気の良さが現れているエピソードを紹介したのである。

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タンザニア人の元気さ