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ズボンの女性

  マラウィでは、一般にズボンをはいている女性は見かけない。どうもズボンをはいているのは、「はしたない。無用に挑発的である」と感じられているようだ。

  マラウィでは、1994年まで服装コードがあった。

  外国人が入国する時に、女性はスラックスは禁止で、膝丈以上のスカート、男性は肩にかからないまでの長さの髪、でなければならなかった。そこで、「入国に際しては、スラックスの女性は布を巻いてスカート風にしましょう。長髪の男性は髪をある程度の長さに切りましょう。」とトラベルガイドに出ていた。

  私は1990年にはじめてマラウィに来て、日本の青年協力隊の女性隊員がスカートをはいてスクーターに乗っていたので、驚いた。タンザニアでは、Gパンでオートバイだったから。

  1980年代には、その落ち着いた雰囲気が好まれて、マラウィには欧米のヒッピーが集まった。彼らにもこのコードは適用された。また、マラウィ湖畔で泳ぐ場合も、水着になってよい場所が定められていた。外国人の露出度が高い水着は一般マラウィ人の目になじまない、とされたからである。

  現在は、スカートと髪の長さの規制はない。しかし、依然としてズボン姿の女性は外国人、あるいは大学のキャンパス内以外では、ほとんど見かけない。さらに、ある日本人女性教師が、1990年代終わりでも、ズボンで学校に出勤したら校内に入れてもらえなかったと、ご本人から聞いた。

  こんな中、本年(2001年)2月には、マラウィの婦人警察官が、これからズボンを制服として着用する、と発表された。マラウィ警察はSouthern African Regional Police Chiefs Cooperation(Sarpcco)に加盟しているが、加盟12カ国中、婦人警察官のズボン着用がないのはマラウィだけであった。

  婦人警察官のズボン着用が採用された理由は、ズボンのほうが立ち回りが自由であるからだ。婦人警察官も犯罪者の逮捕など、実力行使の場面があり、その時ズボンのほうが動きやすいというものだ。

  そういえば、マラウィ南部のリンベで、駐車違反の車を検挙しようとした婦人警察官が運転手に殴られ、あやうく運転手を取り逃がしそうになった事件もあった。この事件では、同僚男性警察官が駆けつけて、犯人を取り押さえた。

  官憲から率先してズボンになるのが面白い。もっともマラウィではこの手の倫理コードは警察ではなく、Censorhip Boardが監視し、実際の取り締まりもこのBoardの役人がやっている。このCensorship Boardは前大統領の時代には政治的弾圧機関の役目も果たしたらしい。

  今年(2001年)からは、名称も国際的に一般的なClassification Boardに変えた。日本で言えば映倫のように、分類して、「成人むき」などと分類(Classification)する仕事がメインの印象になるわけだ。名称は変わったが、もとになるCensorship and Entertainment Actの改正にはしばらくかかるようだ。



  しかし、ズボンではなく、短いスカートも十分に挑発的ではないだろうか。

  2001年4月の新聞各紙に、ミス・マラウィの話題が大きく載っていた。

  彼女は、今年の初めに選出された方だ。ミス・マラウィの選出過程には話題が多かった。いわく、予選会が大学生の試験時期にあたっており、女子大学生が参加しづらいのはけしからん。二次予選会への交通費がスポンサーの都合で出なくてこまっている。去年のミス・マラウィは、その後どうなったか。そして、世界的にはミス・ユニヴァースの大会制度を始めたイギリス人が2000年に亡くなった。などである。

  結局、今年のミス・マラウィにきまった人は、その母親もミス・マラウィに選出された人で、母娘で「栄冠」を得たわけである。「母からcat walkのコツをならった」とのコメントが出ていた。

  彼女は賞金10万クワッチャ(約15万円、一般の下級公務員の給料は3000円程度か、給与の話は別項に譲る)を得た。彼女は母親に10パーセントを、恵まれない子供たちの教育のために50パーセントを使用すると言っていた。この4月で、ミス・マラウィになって100日なるので、それがどう実行されたか、彼女はどんな活動をしたかが、新聞記事になっていたのである。



  ミスマラウィ選出100日目の新聞記事



   しばらくミス・マラウィの話題を紹介したが、私が言及したかったのは彼女の写真である。ミス・マラウィの写真が毎回大きく新聞に出るが、ミニスカートで足を組んで腰掛けているものである。

  「ミニスカートで足を組むものではない」というと、日本国内では時代錯誤の倫理観だと思われるだろか。まあ、思われてもいいのです。

  私が面白いと思うのは、マラウィ人の中から「この写真はまずい」という声が出ない事である。ズボンについてはあんなに導入がゆっくりなのに、ミニスカートにはあまり抵抗ないようだ。

  やはりどこに倫理的な問題、性的な挑発、を感じるかは、マラウィの人と私はちょっと違うようだ。

  付け加えておけば、ミニスカートは新聞紙上ではよく見るが、町では見かけない。これはズボンを見かけないのと同じだ。また、婦人警察官のズボンも、発表があっただけで、実施はされていない。これは予算上の制約も関係しているようだ。

   2001年6月に初めてズボン姿の婦人警官を目撃した。やはり服装は体型によりますね。スマートな方はスマートに、そうでない方はそのように見えます。2001年6月 追記