ゾンバで住居を探し始めてから3週間以上たった。

(ゾンバはマラウィ南部の都市で、南部の中心地のブランタイヤから北東へ60キロメートルのところにある。リビングストンが立ち寄った歴史もあるらしいが、1975年までマラウィの首都であり、1994年まで国会もここに置かれていた。現在でも造幣局、マラウィ大学のメインキャンパスなどがあり、落ち着いた地方都市である)

 

  一般にマラウィでの住宅探しは、以下の点で難しいらしい。

1)不動産屋がない。

2)短期滞在者のための家具つきの家がない。

3)供給量そのものが少ない。

 

  上記の中で、2)はやむを得ない事かもしれない。今回の滞在は一年間である。家具がなければ、買って、引き払う時に処分するしかない。さいわい、冷蔵庫は中古品がありそうだ。クッカー、カーテン、イス、机、照明器具などは安いものを買うことに決めた。

  3)は、その地域で特別な物件を求めなければ、大きな問題ではないと感じた。ある程度の街で多くの人が暮らしているので、かならず物件はある。ただし、こちらが外国人で、その土地の人よりも多くの金と物を持っていて、特別厳重に警護されていたり、豪華であったりする物件を探すのは難しいかもしれない。

  ということで、キーになるのは1)である。日本の不動産屋では、情報を取り揃えていて、顧客に示し、現場に案内し、顧客が比較して判断できるようにしていた。ゾンバで住宅を探してみて、そのあり難さが感じられた。

 

  日本であったら、住宅情報雑誌を参照するか、不動産屋の前の張り紙を見て、すぐに場所と値段の見当がつく。ここではどんな手順になるだろうか。

 

  私は以下のような手を打った。

a)比較的人が集まるホテル、レストラン、クラブに張り紙をした(3件)。

b)貸し家のオーナーにあたり、空家を紹介をうけた(3件)。

c)所属先の庶務課で心当たりを探してもらった(4軒)。

d)たまたま訪れたオフィスにまわっていた案内から貸し家のオーナーに連絡した(1軒)。

e)友人等に聞きまわった(9名)。

f)新聞広告から訪ねた(2軒)。

g)住宅供給の会社(Malawi Housing Cooperation)に所属先から依頼を出した。

 

  たとえばb)では、オーナーを訪ねる

→なかなか会えないがやっとで連絡がつく

→こちらの要望を伝えると「調べておくから○○日に来い」となる

→指定の日に行って現場を見るが、まだ前の人が住んでいたりする

→「現在の住人はあと一月ほどで出るので、それから家を修理して、私に貸しても良い」ということになる。

 

  またc)ではこんな具合である。

空いていそうな家について庶務課で話題にする

→空いているかどうか不明な場合は他の部局に電話して確認する

→実物を見に行く

→やっぱり前の人がそのまま住んでいる事が分かり、引き返す

→他の物件を見に行く

→出来ているとされた塀が出来ていないので、引き返す

→他の物件を見に行く

→湯沸かし用のヒーター、トイレのウォッシャーが壊れている

→修理について財務関係の部局に問合せるべく引き返す。

 

  こんな具合で無駄な動きが多い。これらは不動産屋が介在していれば、見違えるほど円滑になったと思う。

 

  私は、日本では、大規模造成をした3,000戸の団地に住んでいる。この団地を開発した業者に私の経済的な情報は筒抜けである。勤務先、年収、ローン残高、家族構成が完全に掌握されている。じつはこの他にも大事な秘密がある人も、ない人もいるのだろうが、前記のような事も他人には知られたくないと思う人も多い。

「不動産屋は何でも知っている」と日本で思っていた事をマラウィで思い出し、情報提供者としての不動産屋の重要性を噛みしめたところである。

 

  3週間を過ぎて、どうやら私の住宅も決まった。カーテンも、照明の電球もない状態なので、住みやすいようになるにはしばらくかかるだろう。ちなみに、私が今回住む家は3寝室で、賃貸料は月250ドル(17,500K、クワッチャ、1K1.6円程度)。コックを1,400Kで雇う。夜警は1,000Kで決めた。

 

 

  住宅の程度の差が大きい事にも触れておこう。

いわゆるスラムと呼ばれるような所はゾンバ周辺には見当たらない。しかし、簡単にレンガを積み上げて作り、水は共同の水栓か井戸に頼り、電気は来ていない家も多い。私は、いつもの年は電気も水道もない村で居候の生活をする身であるが、ゾンバで生活すると、電気がないのはとても不便に感じてしまう。これらの家は
2部屋程度で、家賃も一月250K程度である。

Malawi Housingという住宅供給会社が提供している家は、2寝室以上のしっかりした家である。広い庭を持つ家もある。これで5,00010,000Kである。一方では金持ちの外国人などに貸し出している家では一月2,000ドル(140,000K)もする家があり、日本人でこんな家に住んでいる人もいる。

  広壮な家に雇われているお手伝いさんや夜警の給料は1000K+αである。家の賃貸料の差だけでなく、収入の格差は、非常に大きい。日本の様子まで視野に入れると膨大になりすぎて目がくらむ。

 自分の中では状況に合わせてシフトしながら対応していても、マラウィの友人には説明し難い事もある。たとえば住宅地が
150万円するとか(ここでは住宅用地で1500円程度か。1エーカーで70万円くらい。自分で開墾するつもりなら1エーカー3000円のところもゾンバから歩いてすぐのところにある)、首都圏のサラリーマンの給与の平均が700万円台であるとか(こちらでは学位をいくつも持っているような学部長で100万円にはほど遠い)である。

  給与の話しは、いわゆるallowanceのこともあって、比較が難しい。できれば別項で紹介しよう。

マラウィ案内の表紙に戻る


ゾンバの住宅事情:情報収集者としての不動産屋