国境を渡る人と物 2/3



 マラウィからタンザニアにはコメ、トウモロコシ、ラッカセイ、などの農作物、砂糖、ビール、灯油、軽油などが運び込まれる。タンザニアからは中国製の雑貨、古着、などが運ばれている。丸木舟による交易は、悪く言えば密貿易であるが、実際には人びとの需給をみたす大切な物の動きだ。物が移動するだけでなく、近所の人々が日常的な用事で行き来している。たとえば、嫁に行った娘を訪ねる、市場に買い物に行く、キリスト教会に行く、呪術医を訪れるなどだ。


 大きく区分すれば、ソングウェ川のタンザニア側にはニャキュウサ人が住み、マラウィ側にはンコンデ人が住んでいる。しかし、実際にはマラウィ側にもニャキュウサ人の村がいくつかある。ニャキュウサ人とンコンデ人はお互いに結婚している者もいる。言葉や伝統的な社会もよく似ている。そもそもソングウェ川の流路自体が洪水などによって変わってしまうことがある。そのために自分の畑地が川の向こう側になってしまったが、それでも川を渡って耕し続けることもある。


 タンザニアの税関吏はマラウィからの物資を取り締まろうとはしている。不定期に船着場にやってきて、マラウィからの物資に対して課税する、あるいは所有者に罰金を課す。税関の役人の取り締まりは気まぐれで、数ヶ月も訪れないと思えば、一日に何度もチェックに来ることもあるらしい。農作物は特徴がない袋に入っているだけで穀粒に産地名が記載されているわけではない。しかし、砂糖とビールはどこの製品であるか明白で、いったん捕まれば言い逃れは難しい。船着場からマラウィ側に官憲が渡ってくることはないので、少年たちはマラウィ側に逃げてしまう。したがって役人は船着場よりもタンザニア側の道路で検問することが多い。すると、少年たちは間道を通って官憲を避けることになるのだ。ソングウェ川を渡る交易には役人に捕まる危険があるが、他に仕事もないので、荷物運びの少年たちの姿は当分はなくならないだろう。




マラウィからの砂糖。
マラウィには中部と南部に大きな砂糖プランテーションがあり、タンザニアへも多量に運び込まれている。
丸木舟の喫水線がずいぶん下がっている。





タンザニア側で砂糖を自転車にくくりつける少年。
1カートンが20キログラムで、中央の少年は10カートン(200キログラム)をつけている。
一般には200キログラムが最大であるが、300キログラムを一度に運ぶ少年もいると聞いた。
私は実見していないが。

中国の広州でも200キログラム近い荷物を自転車で運ぶ様子をみた。



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written by TAROTAKO
『クロスロード』2003年12月号に掲載したものに加筆させていただきました。





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