立教スポーツ第161号
<4月3日更新>
アメリカンフットボール部・1部Aブロック3位 隆盛への胎動

 最終戦に勝利した瞬間、数々の激戦を戦い抜いた男たちは涙を流した――。昨年9月10日〜11月12日にアミノバイタルフィールドなどで行われた関東学生アメリカンフットボールリーグ戦で、本学は1部Aブロック3位となった。1部への復帰以来、思うような結果を残せずにいた本学。主将・鈴木(圭)(社4)をはじめ、部員全員の「勝ちたい」という熱い思いが、ボールに込められた。

感じた手応え
 初戦の相手は格上の早大であったが、本学は健闘を見せ序盤から互角の戦いを繰り広げる。QB(クオーターバック)・馬道(うまみち=社2)の的確かつ華麗なパスから好機が生まれ得点を重ねていった。前半を21−21で折り返し、勝利が現実味を帯びていく。
 しかし後半、早大が奮起しTD(タッチダウン)を2本決められてしまう。本学はRB(ランニングバック)・鈴木(圭)が1本TDを返すものの、あと一歩及ばなかった。28−35での惜敗という結果に対し「内容は良かったが、課題も残る試合だった」と鈴木(圭)は悔しさをにじませた。だが、この一戦は今後の戦いに期待を持たせるものであった。
 続く中大戦、選手たちは気持ちを切り替え試合に臨んだ。馬道の鋭いパスがWR(ワイドレシーバー)・上野(社2)へとつながり第1Q(クオーター)で13点を獲得する。だが相手は昨年度ブロック1位の強豪校。第2Qに入ると2TDを奪われる。しかし、その後本学も食い下がり、一進一退の攻防が続いていく。
 そして勝負の第4Q。WR・鈴木(翔)(社4)のTDで逆転するものの、直後のミスにより25−24と迫られてしまう。その後も度重なる攻撃に遭うが、本学DF陣が粘り得点を許さない。そして大観衆が見守る中、試合終了を告げるホイッスルがフィールドに響いた。1点差での大勝利。この快挙にも鈴木(圭)は「今日の結果に満足せず、次の試合に向けて努力していく」と新たな決意を胸に抱いた。
 

次なる領域へ

 続く明大戦に意気揚々と臨んだ本学だったが前半につけられた差を縮め切れず19−36で敗れた。さらに日体大戦では相手より約100?多く獲得しながらもミスが多く自滅して敗戦。2連敗が選手たちに重くのしかかる。だが逆境をはねのけ、本学はここから再び調子を上げていく。
 気迫に満ちて挑んだ一橋大戦。両校共に無得点で迎えた第1Q残り6秒、待望のTDパスが鈴木(翔)に通る。先制してペースを握った本学は21−0で完勝。この勝利でチームは勢いを取り戻した。
 迎えた最終戦の相手は関学大だ。試合が動いたのは第2Q。相手にパントリターンで96?を走られTDされる。だが、この失点でDF陣の気が引き締まった。付け入るすきを与えず、追加点を防ぐ。終わってみれば28−7での快勝だった。本学の最終順位は関東大学Aブロック3位。1部に復帰してから最高の成績となった。
 また、個人記録でも輝かしい結果を残すことができた。鈴木(翔)がリーディングレシーバーの称号を手にした。本学から2年連続の選出である。さらにファンブルリターン部門で並木(経4)が1位。チーム力だけでなく、個人の実力も評価される結果となった。
 主将・鈴木(圭)は「プレーオフに出られなかったのが残念。手応えはあったので来年こそ出てほしい」と下級生たちに期待を寄せる。
来期は主力選手が抜けるが才能豊かな人材が多く、不安はない。関東の頂点に立つというさらなる高みを目指して、新チームは歩み出した。 


裏方の意地

 美しいプレーで観客を引き付けるOF陣。そのOFをいつも影から支えている存在がDF陣である。今年の本学の躍進は彼らの活躍抜きには語れない。
 そんなDF陣もリーグ序盤は苦戦を強いられていた。初戦に1プレーで98?も走り抜かれ失点。それを引きずり、最初の4試合のうち3試合で30失点以上を喫してしまう。
 ここから失点を抑えるため守備の意識改革が始まった。守りの中心・佐藤(優)(経4)は「体が大きいわけではないので粘り強く守る。練習では雰囲気をだらけさせない」と意気込んだ。
 その成果は早速試合で表れた。一橋大戦では最後まで集中力を切らすことなく、3年ぶりとなる完封で勝利を飾る。さらに最終戦でも守備陣のプレーがさえる。特に1プレーで相手の攻撃を終わらせるインターセプトが圧巻だった。チーム合計で6回ものインターセプトを記録し、攻撃のチャンスを演出したのだ。
 今年も入れ替え戦出場かと思えた流れを食い止めたのはDF陣の奮闘であった。さらに守備を強化できれば、かつての黄金時代が再来する日も近い。
  (桜井、船越) 

スケート部アイスホッケー部門 実り多き昇格

 会場の扉を開けると、そこは冷たい空気と選手たちの気息が混じり合う世界。パックをたたく音と掛け声が広いリンクに響き渡る。
 平成17年度関東大学アイスホッケーリーグ戦がサントリー東伏見アイスアリーナなどで行われた。10月8日〜12月11日の約2ヶ月に及ぶ熱戦は、本学が3部優勝を果たし、同時に2部昇格が決定した。
 しかし、ここにたどり着くまでの道のりは険しいものだった。ようやく暗く長いトンネルを抜け出した本学。肩を抱き合う男たちに満面の笑みがこぼれた。

熱き戦いの過程
 初戦で対したのは慶大医学部。本学は7−2で勝利し、好調な滑り出しを見せた。続く2戦目で挑んだのは昭和大。主将・筒井(法・4)は「1番強いところ」と、初戦にも増して気を引き締めた。その中、本学はプレッシャーに屈せず、3−1でゲームを制す。攻守とも全力を注いだ本学は2つ目の白星を挙げた。
 3戦目は帝京大。ここまで順調だった分、期待も膨らむ。第1ピリオド・第2ピリオドを終え、2−0で本学がリードする。しかし第3ピリオドで3点を取られまさかの敗戦。全勝が目標だっただけにチーム全体が落ち込んだ。次の戦いで負ければ優勝は完全に遠ざかる。もう後がない選手たちは絶対に勝つという意思を固めた。迎えた東京理大戦。本学は7−0で圧勝する。負けた悔しさが彼らの闘争心に火を付けたのだ。ここから本学は武蔵工大、東大と続けて破る。
そしていよいよ最終戦。ここで学習院大に勝てば優勝が決まる。彼らは高揚する気持ちを抑え試合に臨んだ。開始50秒、本学が先取点を取る。このゴールを皮切りに瀧(たき=経4)が7分後にゴール。その後も瀧が連続で2ゴールを決めて、本学が第1ピリオドを4−1で制した。第2ピリオドも2−0と圧倒。最後の第3ピリオドで相手は2ゴールを奪い粘りを見せたが、7得点を挙げた本学には届かない。試合終了のブザーが鳴った時、電光掲示板には7−3の表示。優勝をつかみ取った彼らはスティックを投げ出し、氷の上に折り重なった。

復権に向けて
 目標であった「3部優勝2部昇格」を成し遂げた本学。さらにチームの得点源である瀧が最優秀選手に選出され、結果に花を添えた。昨年の同リーグ6位からの飛躍。そのきっかけは2つの「変化」にある。
 一つ目はチームに細谷新監督を迎えたことである。筒井は「一年間、監督との二人三脚でやってきて心強かった」と語る。氷上練習はリンクを借り切らなければならず深夜になる。その練習に監督が毎回のように顔を出したのだ。このことが選手を刺激し、練習内容はもちろん、生活面にも変化をもたらした。部員同士の関係も、ただ仲が良いだけでなく練習中は厳しくとメリハリがついたのだ。そして二つ目は経験を持つ1年生が部の門をたたいたことだ。試合でも実力を発揮してる江島(社1)ら経験者が部全体のレベルを上げた。近年、部員不足で参加できなかったこともある本学にとってまさに希望の光となった。
 戦いの場を新たにして、来季へ挑む本学。しかし今季の2部昇格は通過点にすぎない。今では知る人も少ないが本学は昭和30年代、現在も1部に所属している明大と並び、二強と称されていた。今回の優勝はそのころの栄光を取り戻すためのスタートとなった。古豪復活は彼らの手にかかっている。
 今季で引退する筒井は「今より自分を追い込み上を目指してほしい」と後輩へ思いを伝えた。その言葉を受け、新主将・上原(理3)は「2部上位を狙う」と意気込む。本学はその決意を達成すべく動き始める。ただ上を見て。 
(土山、小林)

 スケート部フィギュア部門 迷い消え再出発誓う鳥居 自己最高インカレ4位

 数々の活躍で本学スケート部フィギュア部門を引っ張る鳥居(経2)が、またもや驚きの成績を挙げた。
 1月6日〜9日に帯広の森スポーツセンターで行われた第78回日本学生氷上競技選手権大会。実力者が顔をそろえる中で総合4位に入ったのである。
 今シーズン、自らが求める結果を試合で出せず思い悩んでいた鳥居。会心の滑りで心を新たにした彼が、今後一層高く舞い上がっていく。

苦杯を喫し

 国内最高レベルの戦いが展開される。昨年12月23日〜25日、国立代々木競技場第一体育館で行われた第74回全日本フィギュアスケート選手権大会。選手たちの美しい演技が日本中の注目を集めた。
 本学から男子シングルに鳥居が出場。この大会で10位以内に入ると全日本強化選手になることができる。今大会までの1年間を強化選手として過ごしてきた鳥居。世界を目指す彼にとって、その立場を維持することには大きな意味があった。「すべては全日本で決まる」。大会を前に意気込む鳥居。しかし結果を出そうとする強い思いは想像を絶するプレッシャーとなって彼の肩にのしかかっていた。
 迎えた23日のショートプログラム。鳥居は重圧で普段通りの滑りができず、ミスを連発してしまう。本人も「今シーズン最悪の内容。成功させるべきジャンプで失敗した」と振り返る。精彩を欠く演技で20位となった。
 翌日のフリースケーティング「気持ちを切り替え、楽しく滑ろう」とリンクへ向かう。だが前日からの悪い流れを断ち切れず、最初の2つのジャンプを続けて失敗。その後は持ち直し、観客が沸くシーンもあった。それでも序盤のミスが響いて得点は伸びない。結局鳥居は総合19位に終わり強化選手の座を失った。
 大会後、「自分をコントロールできずプレッシャーに押しつぶされた」と語る鳥居。大舞台では選手にかかる精神的な負担も大きい。不本意な結果に鳥居は落胆の表情で会場を後にした。

一転した眺望
 昨年は鳥居にとって苦悩の一年だった。試合には、高い意識で臨んでいる。会場を盛り上げるのが得意で、彼の演技中には拍手が起こる。しかし、結果はなかなかついてこなかった。見る者を楽しませることを常に心掛けてきた鳥居。「点を取ることと、観客を魅了することは違うのか」と、葛藤(かっとう)していたのだった。
 だが、インカレでの彼は生き生きとしていた。強化選手の重圧から解き放たれ、氷上を伸びやかに滑る。「今できることは全てやった」と語るショートプログラム。フリースケーティングでは、「オペラ座の怪人」の主人公ファントムの心を見事に表現し、高い芸術点をマークした。結果は4位。レベルの高い選手がそろう中での、大健闘だった。「自分のやっていたスケートは、間違ってはいなかった」と、確信する鳥居。演技と競技は、相対するものではなかったのだ。霧が晴れ、再び見え始めた競技者としての道。鳥居は、新たな決意を胸に刻み込んだ。
 再び滑りだした鳥居は今年フィギュアスケート部門の主将を務める。現在、経験者に加え、大学から始めたメンバーが在籍する本学。上達を目指す日々だが、スケートは個人競技。個々の意識に差が生まれやすい。チームとして戦うため、まずは意識改革が必要だ。「みんなが自分自身に上限を作らず、できる限りの事をやってほしい」と、新主将としての心の内を述べた。今はまだ発展途上の本学。磨き上げられていく技に、高められていく意識。期待は膨らむばかりだ。
(鎌田・福田)












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