2012年度現代企業法(租税法部分)(EX282)



期末試験2013年1月30日水曜日4時限実施
 (ア) に適切な単語を記入しなさい。 (イ) 〜 (オ) に適切な数字を記入しなさい。
1.無税の世界においてともに収益率10%A・Bという二つの投資先があったところ、Aの収益に税率50%で課税し、Bの収益に課税しないという所得税制が導入されたとする。AからBへ投資が一部振り替えられ、A・Bの税引後収益率が等しくなったとする。A・Bを非中立的に取り扱う税制が、不公平をもたらしているわけではない、といいうる。しかし殆どの租税法学者は、非中立的な税制は (ア) を生じさせる点で良くない税制であると考える。
2.所得税の超過累進税率表として、0〜300の所得については20%、300〜500の所得については30%の税率が定められていたとする。C氏は一人で400の所得を稼いだ。D氏とE氏は200ずつの所得を稼いだ。C氏の税額をαとし、D氏の税額とE氏の税額の合計額をβとする。αとβとの差額(絶対値)は (イ) である。なお講義で扱っていない所得控除については無視する。
3.税抜価格1000のチョコレートに個別消費税としての税(肥満防止税と仮称する)が税率100%で課されていたとする。このチョコレートの、肥満防止税及び消費税(税率5%とする)が課せられている場合の税込価格は (ウ) である。なお、3.の税はともに間接税であり、全て消費者に税負担が転嫁されるものと仮定する。
4.法人税率を30%とする。2012年度において、F銀行は、利益9000(後述の3000の貸倒れ損失の計上前の値)を稼ぎ、株主に4000の配当を支払った。F銀行は3000の貸倒れ損失を計上しようとしたが、税務署長は否認しようとした。F銀行の主張する法人税額と税務署長の主張する法人税額との差額(絶対値)は (エ) である。
5.G国法人であるH社とI国法人であるJ社は兄弟会社である。G国の法人税率は20%であり、I国の法人税率は30%である。H社はJ社に金員1000を利息20%で貸し付けた。J社は、利益3000(後述の1200の返済前の値)を稼ぎ、J社はH社に契約通り1200を返済した。H社の前述の1200の受領前の利益は1000であった。I国の課税当局は、H・J間の契約で定められた利息20%は不当に高すぎるものであると主張し、移転価格税制を適用し、独立企業間価格としての利子率は15%であるとした。G国も利息15%に同意した。移転価格税制適用前のH社及びJ社の法人税額合計額をγとし、移転価格税制適用後のH社及びJ社の法人税額をδとすると、γとδとの差額(絶対値)は (オ) である。

【解説】
1.講義ノート4頁参照。非効率または死荷重
2.講義ノート6頁参照。|α−β|=|(300×0.2+100×0.3)−(200×0.2)×2|=10。または(400−300)×(0.3−0.2)=10
3.講義ノート8頁参照。1000×2×1.05=2100
4.講義ノート10頁参照。|6000×0.3−9000×0.3|=3000×0.3=900
5.講義ノート11頁参照。|γ−δ|=|(1200×0.2+2800×0.3)−(1150×0.2+2850×0.3)|=|50×0.2−50×0.3|=5


【講評】
1.「非効率」も「非効率性」もOKです。「死加重」「死荷量」「死苛重」などの誤字については4点としました。「死税」「死課税」など意味が変わってしまうものについては救済しませんでした。「暗黙の税」について、迷いましたが、講義を聞いていた証拠であると思い5点にしました。「労働意欲の低下」という誤答が多かったのが不思議です。
2.超過累進税率について毎年気合入れて講義しているつもりなのですが、それでも「40」という誤答が絶えません。
3.多い誤答は「2050」ですが、誤答の中で「10500」がどのような計算過程で導かれたのか不思議です。
4.誤答で目立ったのが「2100」ですが、(ウ)と解答欄を間違えた訳でもないようで、どのような計算過程で導かれたのか不思議です。
5.今回の問題の中では飛び抜けて難しいですが、逆に(オ)だけ正解という答案もあったりするのが、面白いところです。
その他:絶対値で答えさせる問題で、「|10|」とか「-10」とか「±10」とかいう答案をどうするか迷いましたが、数値が合っていれば4点としました。

全体平均14.02点。法学科14.88点、政治学科12.26点、国ビ学科13.41点。
25点満点者の数も大幅に増え、平均点も前回と比べて3点アップ。良かったです。

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