秋野ゼミナール

Akino Seminar

 
     
 
ゼミ方針
 
 
 
 
 
■「大学でしか学べないこと」を学ぶ

 秋野ゼミでは、皆さんにとって大学でしか学ぶことのできない貴重な学びの場を提供したいと考えています。

 大学でしか学ぶことのできないことというのは、経営学部ですので、もちろん経営学という専門分野です。
 しばしば大学でやるべきことは旅行やサークルなど、就職した後では、なかなか時間がとれなくてできないことだと考えることもあります。それはそれで貴重な経験を皆さんの人生に与えてくれることと思います。しかし大学で学ぶことを基本と考えれば、まずはそれぞれの専門分野を学ぶことこそが大学で然学ぶことのできないことでしょう。
 またしばしば「大学での勉強は社会に出たら役に立たないという人もいます。確かに経営学の知識に触れることができたとしても、大学で得た知識はおそらく数年で多くが忘れてしまうものも多いと思います。しかし重要なのは、時間をかけて一つのことをじっくりと考え抜いたことで得られるものだと思います。 役に立たなかったという人たちはそこまで深く勉強をした経験がなかったのだと思います。少し考えてみればわかりますが、どのような世界でも、時間をかけ、苦しみながら獲得したものは様々な面で役に立つものだと思います。もちろん大学での専門分野を学ぶことも全く同じなのです。
 秋野ゼミでは、直接的には、経営学、特に経営戦略論を中心とした専門分野を深くじっくりと学びます。
   
■「当たり前」を疑う
 

 それではどのように経営学を学べば良いのでしょうか。その方法やいろいろとあると思いますが、秋野ゼミでは、まずは「当たり前を疑う」ところから始めます。

   もちろん何が「当たり前」かということを学ばなければなりません。経営学や経営戦略論のテキストを読むというのはまさに経営学の「当たり前」「常識」を学ぶことです。
   それはそれでもちろん勉強なのですが、しかしこの「常識」をいくら覚えても、ここで留まっていたら、ただ単に誰かが言ったことをコピペして、頭に収めているただの借り物に過ぎません。コピペの問題は、なんとなく、みんなが言っているから、ネットに載っているから、正しいのだろうと考え、思考停止してしまうところにあります。
   ですからこの知識を本当に考え抜いて自分の身になったものにしていく必要があります。まずはたくさんの関連する文献を読むことです。こうすることで、一つの考え方を絶対視せず、相対化することができます。いろいろと文献を読むと、「常識」となっている多数の文献と、比較的少数意見の文献があったりします。これらの文献を読むことで、「常識」的考え方も実は別の角度からみればそうではないことがあると学ぶことが必要です。
   そしてさらに重要なことは、読んだ文献の一行一行、一文一文が間違いなくそうかを確かめながら読むことです。みんなが言っているから、ネットに書いてあるからといってそれが正しいとは限らない、確かめられていないことや場合によっては街がて散ることが載っている場合もあるのです。ですから文献を読む際には、その論理やデータなど説得的な説明になっているのか、証拠になっているのかを疑問を持ちながら読む、確かめながら読む、「なぜ」を繰り返しながら読むことが必要なのです。
 
■多面的な見方を理解し、自分の考え方を創りだす
 

 つぎにゼミでは、一つの分野、ひとつもテーマに関連して多様でたくさんの文献を読んでもらいます。

   このように多数の文献を読むことで、一つの現象にはいろいろな問題が伏在し、また一見、何もなさそうな事柄にもさまざまな問題があることを知ることができます。物事を多面的に見、相対化して見ること、物事には必ず別の見方があるということを経験してもらいます。経営学の教科書的なテキストでさえ、複数並べてみればわかるように、それぞれ内容が全く異なることはよくあることです。秋野ゼミでも3年間で3冊の異なった経営戦略論のテキストを読み、その違いを学び、なぜその違いが生まれるのかも考えます。
   そして論文を作成するにあたっては、この多様な考え方を理解したうえで、他の意見と対質しながら、自らの考え方を創り出す作業を経験してもらいます。多様な文献を踏まえ、自ら集めたデータや資料を活用して、既存の見解に依拠し、あるいは修正し、場合によっては批判することを通じて、自分なりの考え方を創る方法を学び、そして論文という形で表現すること、これが秋野ゼミで学ぶことができます。
   このように得られた知識は、コピペで得た知識とは異なり、本当に深く考え抜かれた意見や見方となります。またこのような経験を通じて、単に物事を自ら知り、分析していく能力、自らの考え方を作り出す能力が身につけられるだけでなく、様々な意見や考え方に対してその優劣を評価したり、見破る能力を身につけることができます。つまり、何が本当に独特でオリジナルな考え方なのか、何がコピペなのか、価値のある情報はどれで、ありきたりのどこにでもある情報はどれなのかがわかるようになるのです。
   
 

 「常識」を学ぶことは重要です。しかしそこにとどまっていては、ただのコピペに過ぎません。この「常識」のオリジナルがどこにあり、それがどのように創り出されてきたのか、そこにはどのような問題があるのか。これらのことを学ぶことは、ものごとつきつめて深く学ぶことであり、こうすることで初めてで自らの新しい考え方を創り出す方法を体験することができるものと考えています。

   もちろんこの様な勉強の仕方には時間も必要ですし、困難にも直面し、考えがまとまらずに混沌となることもあろうかと思います。しかし新たに自分の考えを創造するには必要なことであり、これが大学でしか学ぶことのできないことであり、ゼミという場で専門の研究を学ぶことの一つの意義のように思います。