10月中旬、長野・千曲川リバーフロントで行われた全日本学生ローラースケート選手権にて、立大ローラーホッケー部のひとつの歴史が区切りを迎えた。立大男子は下馬評を覆しての大会5連覇。立大女子も今大会の優勝で年間主要大会全制覇を達成した。これ以上にない最高の形で引退を迎えた6人の4年生。4年間を戦い終えた彼らの心境にせまった。

「伝説をつくれた」  根本佳奈(観4)

  立大女子のエースといえば。そう聞かれれば誰もが彼女の名をあげるだろう。2年生から主軸として強い立教の象徴ともいえる選手だった。ローラーホッケーを始める前にやっていたバスケットボールで培ったキレとスピードで幾度も相手ディフェンスを切り裂き、ここぞの場面で勝負を決めてきた点取り屋だ。

  「優勝が決まった瞬間、一緒にやってきた4年生の顔を見て涙がこみ上げてきました。監督のいない分、チームを強い組織にするために自分たち上級生がしっかりしなくちゃいけない。この1年間、4年生中心に悩んできました」。 がむしゃらにホッケーを楽しみ、最高のプレーを目指していた彼女は、上級生になり最高のチームを目指すようになった。そのためにはときには憎まれ役になり後輩に対し厳しく接してきた。屈託のない笑顔がトレードマークの根本が、リンク内では周囲を叱咤する姿も印象的だった。「最初は原ちゃんとガンガン攻めていたんですけど、みんながどんどんうまくなってチームで点が取れるようになった。今思えばあんなに厳しく言う必要もなかったかもしれないけど、それを通して結果になったので、間違ってなかったんだなと」。

  今年は東日本インカレ、東日本選手権、全日本選手権、そして全日本インカレの主要4大会で全て優勝し、史上初となる四冠を達成した。勝ち続ける中でも反省や欠点を見つめなおす機会を何度も設け、モチベーションを保ちトップを走り続けたという。王者にふさわしいプレーはもちろん、王者のメンタリティも併せ持つ立教女子チームは彼女なしには語れない。


「満足のいく引退試合だった」  岡部美帆(法4)

  「正直3冠まできたところで、最後のインカレを迎えるのが本当に怖かった」。気が小さい性格だと自らを形容する岡部。4年生の中では根本・原の両翼の活躍に隠れることが多いが、彼女もまた縁の下で立教のホッケーを支えてきた一人だ。「最初は同期の中でも一番下手で全然使い物にならなかった。でも本当に頑張ってきてよかった」。

  積極的なシュート意識が特徴の岡部。昨年のインカレ・国学院大戦では、攻撃が煮詰まり均衡がなかなか破れない中、彼女のロングシュートがチームを救った。「自分の役割を探して、チームに必要な存在になりたかった」。ダブルエースの活躍に必死についていく彼女の姿勢が、チームのボトムアップを促す雰囲気をつくっていたといえる。ホッケーはチーム競技。何かしら欠点のある選手が集まったとしても、お互いの長所で補完し合えればチームを完成させられる。「自分の中にひとつでも強みを見つければ、必ず試合で活躍できると思う。あきらめずに追求していけば強いチームになれる」。


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