「優勝しなきゃ立教として終われない」  小川杜人(現4)

  立教男子の4年生は主将のフィールダー高木と守護神・小川の二人。ゴールにカギをかける彼の存在は大きい。正GKの座についた昨年から、ゴール前の番人として何度もチームを救ってきた。

  しかし、今年の立教男子は苦難の連続だった。5月の都民大会では国学院大に1−4の敗戦。6月の東日本学生・予選でも同相手に0−4の大敗。その後巻き返し優勝を決めたが、ライバル校を前に実力の差を見せつけられた。「自分が止められる球を増やしていこうと練習している中で、自分の力でチームを勝たせられないということを思い知らされた。最上級生なのに何もできないやるせなさがあった」。チームディフェンスが仕上がらず相手に崩されるシーンが多い中、GKとしてチームに安定感をもたらしたい。それでも自分の調子もチームの調子も上がらず、失点が減らない現状に悔しさがつのった。

  そして今大会、決勝の相手は因縁の相手・国学院大。「2回負けているから、最後に打ち負かしてやろうと」。臆する雰囲気はなかった。最後の最後に無失点で難敵を沈めてみせた。「自分の力ではなくディフェンスの力で勝てた。フィールダーの守備のおかげで無失点に抑えられたと思う」。大会前に行った合宿で選手一人一人がホッケーに向き合う時間が取れたことが強くなれた要因だという。チームメートの成長を自分のことのようにうれしそうに語った。

  「自分の高みだけを目指していた節があった。でもチームへの影響力を感じるようになってから周りのことも考えられるようになった。ローラーホッケー部が自分を成長させてくれた」。GKという特殊なポジションを担う上で責任感に潰されそうになったこともあったという。しかし、ゴールを守るのはGK一人ではない。チームの力で得た無失点勝利の味は格別だったに違いない。


「ここで優勝するためにやってきた」  高木奎吾(営4))

  優勝を決めたあと、いつもは冷静な主将が目に熱い涙が浮かべていた。「5連覇のプレッシャーからの解放と、前評判を覆したうれしさと、引退という悲しさと、本当にいろんな思いがごちゃごちゃになってわけわかんなくなりました。4年間のいろんな場面がフラッシュバックしました」。2年次の秋、下級生でチームを組んだ新人戦で初めてキャプテンを務めた。他チームと比べ戦力が劣る中、格上の相手にも戦い方ひとつで互角に勝負できると知った。「俺と杜人(=小川)にとって新人戦が始まりの大会だった。そこで上級生が2人しかいなくてもやれるんだと」。

  しかし、いざ上級生になるとチーム強化の難しさにぶつかった。実力者ぞろいだった13年度卒の先輩が引退し、一からチームをつくり直さなければいけないと感じた高木は、今年の照準をこのインカレに絞った。「他の大会も勝ちを目指したけど、最終的にここ(インカレ)で優勝するための学びの場にしようと」。高木の思いは後輩たちにしっかりと伝播(でんぱ)した。準決勝では次期主将の小林(済3)が2得点、決勝では亀井(理3)が決勝点を挙げた。得点以外にも運動量や球際の激しさで他大学に負けないプレーを見せ続けた。「3年生は今回活躍してくれて、そこは4年生としてうれしい部分。今までは感情をあんまり出さない奴らだったけど、今日は点取ったあとに思いっきり喜んだりしていて。やる気とか躍動感とかを表に出してくれたのが本当にうれしかった」。

  高木自身も勝負強い選手になった。チームの方針から守備的なポジションにつくことがほとんどだが、もともとは攻撃が得意な選手。好機の匂いをかぎ分け、思い切り前線に上がり点を取って帰ってくる。高木らしさあふれるプレーは立教の武器だった。インカレ決勝の2得点目も高木の攻め上がりから生まれた。「最近はチャンスの瞬間みたいなのが分かるようになった。シュートを打つときもすごく冷静にプレーできて、本当に2年生のときから出させてもらってきた経験が生きたと思う」。

  女子チーム同様、男子チームも来年さらなる重圧のもと戦っていかなければならない。しかし、強豪立教大学においてそれは今に始まったことではない。最後に高木はローラーホッケー部への思いを語ってくれた。「自分は努力して自分を犠牲にしないと周りをまとめられないタイプだった。でも結局ロラホはメンバーを動かすしかない。一人が頑張っても他がついてこないとダメ。ローラーホッケーという不思議なスポーツに出会って、大切な仲間と経験に巡り合えたと思う」。
(11月6日・編集=大山稜)
(インタビュー:大山稜、小原覚、赤津亮太、大塚夢、高山統志、添田美月、高橋謙人、松本明日実)

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