全日本大会を終えて



  11月30日、強豪ひしめく日本武道館にて第48回少林寺拳法全日本学生大会が開催された。立教大学は、男子二段以上の部・女子白緑帯の部・男子立合評価法個人の部・女子立合評価法個人の部の計四部で見事入賞。好成績を残した各選手に、全日本を戦い抜いた感想を聞いた。


男子二段以上の部 5位入賞 鳥居亮太(観4)・中島拓也(法3)

男子二段以上の部に出場したのは、鳥居亮太(観4)と、中島拓也(法3)の新旧主将コンビ。今大会で引退する鳥居と、今後部をまとめていく中島。そんな2人が競技にかける思いを語ってくれた。



〇今回の大会の感想
旧主将・鳥居(左)と新主将・中島

鳥居:自分にとって学生最後の大会で、一応男子二段以上の部という最高峰の、一番レベルの高い部に出場できたってことがまず嬉しかったです。あとは、結果として形を残すことができて、大学から始めた少林寺拳法において、結果を最後に残すことが出来たっていうのは嬉しかったと今は感じています。

中島:幹部交代をして、主将になって初めての大会ということで、部全体として自分の力量が試される場でもあるかなと考えることもあって、結構大会の前とかはすごいプレッシャーで押しつぶされそうになったりとかもあったんですけど、立教は全体としてみんな頑張ってくれましたし、やはり部のトップという立場にいる以上、自分が結果を残して示しをつけなければならないっていうプレッシャーとかもあったんで、結果が出たことにはほっとしてます。

〇結果に満足していますか
鳥居:現役が後一年続く中島は違うかもしれないんですけど、自分にとっては100%じゃないかなと思います。

中島:欲を言えばきりがないんですけど、男子2段以上という最高峰の舞台なので、今の自分の実力には本当に十分な結果だと思います。

鳥居さんは今年5月の関東大会では初段の部に出場してらっしゃいましたが、今回初めて二段以上の部に出場して、違いなどは?
鳥居:自分は二段になったのが6月とかで。たぶん本選に残ってる人で二段の人って数えるくらいしかいないくらいの場所だったんで、使える技とかも限られて。そもそもそれ以前に競技歴が自分より長い人だらけだったので、予選からすごいレベルが高くて、それは全然初段とは違うなと思いました。

〇1位通過だった予選では、技術度と表現度でどちらにウェイトをおいたか
中島:四方に審判がいるじゃないですか。予選と本選で違うのは審判の数くらいなんですけど、審判がたくさんいる方向に自分たちのいいところを見せたりとか、そういう工夫はちょっとだけしました。表現度で主に見られてるのは、構えの綺麗さとか気迫とかそういう部分が主だと思うのですが、技術度は、突き蹴りのキレだったり重さだったり正確さだったり。あとは投げの精度だったりも見られてるのかなと。

〇今回お二人で組んでみて、相性は
中島:組んだのは今回が初めてで、最初は初めて組む人とは息合わなかったりするんですけど、鳥居先輩とはすぐに息が合うようになって。前から一度は組んでみたいって思ってて、憧れの先輩でもあったので。本当に組むと決まったときからうれしかったです。やはり大学始めでこんなにうまい人そういないなって、組んでる時からそう思いました。(やりやすかった?)そうですね。

鳥居:自分は組んでてやりにくいなって思う人があんまりいなくて、当然中島もやりやすくて。彼は1年生の時からすごい上手で部のエース的な感じで、上からも期待されてきたと思うのでまあ大変だったと思うんです。今回主将になってプレッシャーも感じていたと思うんですけど、自分のことだけじゃなくて、主将として部のこともよく見てるなと思って、こいつと組んでて相性はもちろんよかったし、演武に対してのこだわりだったり、どうやったらうまく見えるかってことに関しては中島の方が高いレベルを持ってるので、そういう点で、自分も最後の最後でちょっとうまくなったかなと思います。

〇高校で競技を始めたきっかけ
中島:中学の時はバレー部で、でもそこで燃え尽きたって感じで高校は違うことやろうと思って。でも初心者が多い競技じゃないと、入ってからも結構置いてけぼりになったり練習ついていけなくなったりしちゃうなと思って、初心者からの人が多い部活で自分に一番あってるなとおもったのが少林寺拳法だったので選びました。

今大会は部にとってどのような位置づけ?
中島:年に大会は2回なんですけど、全日本となると、春の関東大会とかよりも規模もはるかに大きいので、一年間の集大成くらいのものだなと思います。関東とは、もうレベルが全然違うと思います。今まで自分が出てきた部門の中でも、男子二段以上は最高峰のレベルなので、特に本選とかになるともうどこが勝ってもおかしくないんじゃないかってくらいレベルが高くて。予選でも、各コート2組しかいけないので、全然気は抜けない状態ではありました。

〇今大会に向けて意識したことは
中島:自分は、関東の時に気付いた自分の弱点っていうの、突き蹴りの重さというか強さがまだ足りないなと思ってて、突き蹴りの強さを磨くってことを1番やってきました。

鳥居:2人で演武するにあたっては、結構イメージを大切にしてました。特に中島なんですけど、1つの技であっても、自分がどういう風にやるのが一番いいのかっていうものをイメージして、そこに向かって練習しないと結局やみくもに練習してしまうことになるので、うまくなってるかなってないのかって、わかりづらいと思うんですよ、少林寺拳法って。知らない人が見てもわからないし、4年間やってきても、完璧にわかったかといわれると全然そうじゃないので。自分の成長がわかりにくいからこそ、この動きになったらうまくなってるっていう理想の動きを決めてそれに向けてやってかないと、やっていられないところがあると思うので、それに向けて練習するって目標をしっかり定めて、その動きになるように練習するって方向でやってきたかなと思います。

〇今回の大会結果から得た成果・反省はありますか
鳥居:とりあえずもう反省点はいいかなって。反省してももう発揮する場所がないというか、今はもう本当に全力でやって満足していて、反省する方がなんかおこがましいかなというくらいの気持ちなので。収穫は本当にたくさんあったと思います。自分は9月で一応主将を引退して、それからもいっぱい練習したんですけど、技術がそこから延びるとはあまり思っていなくて。みんなの前で練習して、育ててあげようという感じで練習していたので、自分がこれからこんなに伸びるかなっていうのはあんまり想像できなかったんですけど、彼と組んで、本当に最後の数か月ですごい自分が成長できた、技術的にうまくなったんじゃないかなと思って、その点は本当に、引退しても成長できて収穫だな、と思います。

(卒業後も競技は続けられますか?)

鳥居:未定です。

中島:自分はやっぱり後1年あるので、反省は自分の主に投げ技とかって、人がやっているのを見てただ真似したりとか、あんまりちゃんとやり方理解しないでやっているところがあるので、そこはやっぱり監督・コーチとかによく聞いて理解を深めなければならないな、とは思っています。収穫は、やはり全日本の最高峰の舞台で結果を残したことが多少なりとも残り1年の自身には繋がるかと思います。鳥居先輩と組めたことで、今の高いモチベーションのままであと1年、突き通せればなと。

〇新主将として、部全体で成長を感じましたか
中島:組み合わせが決まったのが7月末で、約半年くらい練習したと思うんですけど、今年は特に大会の時期とかが結構遅くて、いつもより結構(練習が)長くなって。自分が心配してたのは、長ければ長いほど後半まで集中力が持たないんじゃないかと思っていたんですけど、それでもみんな最後まで集中していたと思います。特に新1年生とかはモチベーションが高くて、よく演武の研究をしてますし、本当によく頑張って練習をしていたと思います。全体として、結果を出せた人も出せなかった人も大きな成長は見えたんじゃないかなと思っています。

〇年2回の大会で、モチベーションを保つのは大変だと思います。途中で辛くなったことなどは
鳥居:あると思いますよ。自分はないんですけど。結構楽観的というか。やっぱり組によっては割と喧嘩している組とかもあるので、演武を作るにあたって、意見とかを言っていかなくちゃいけないじゃないですか。2人で自分のやりたいこととかを言ってたら、ぶつかることもあるらしいんですよ。それが悪いわけではなくて、あってもいいと思うんですけど。

中島:意外と演武を作るのって、自分たちの納得のいくように作り上げるのって1ケ月とか2ケ月じゃ足りないくらいで、まぁ本当に、長いように感じても自分たちの中で本当にあっという間で、もうあと1ケ月しかないんだ、とか言う風になってしまうんで、時間があるからのんびりやろうとかそういう雰囲気にはならないと思います。

〇主将としてどんな部活にしていきたいですか
中島:鳥居先輩がおっしゃっていたように、やっぱり一人一人がイメージを持ってほしいです。自分のやりたい動きをしっかりイメージで確立してもらって、そのイメージ通りの動きに自分がいかに近づけるかっていう風に成長して行ってほしいと思います。

〇今年のスローガンは?
中島:「躍進」です。夏合宿の後に幹部で決めました。一人一人が目標を持って突き進んでいってほしい、という意味です。 〇4年間を振り返って印象に残っていることはありますか?
鳥居:やっぱり1年生と4年生の時ですね。1年生の時は本当にきつくて。今ではいい思い出だけど、そういう思い出として残っていて。4年の時は自分たちが幹部になって、1年生が入ってきて、同じようにきついとか辛いとか思われているかもしれないんですけど、この1年間は後輩を育てるというか、後輩に尽くす時間がこんなに楽しいということを知ることができました。後輩のために時間を取ることは何とも思わないというか、いくら時間をかけて教えても、何回同じことを聞かれても面倒くさいとは思わないし。後輩は好きですね、本当に。

〇鳥居さんは中島さんにどんな主将になってほしいという希望はありますか?
鳥居:いや、ないですね。自分が1年だったり2年だったり3年だったりしたときの主将がそれぞれいて、本当にどの方もすごい方だなって思ってて。こういう主将になりたいと思った人もいたんですけど、結局たぶん全く違う主将になったと思うので、それでも一生懸命やってれば後輩はついて来てくれると思うんで、自分の好きな様にやればいいと思います。

〇来年の目標は?
中島:3位からメダルがもらえるんですけど、自分はメダルにあと一歩届かないっていう状態なので、もう一歩進んで、次はメダルが取れるようになりたいです。部全体でいうと、結果が全てではないんですけど、やはり体育会という組織である以上、結果にはこだわってほしいですし、あの時ああすればよかったなとか、そういう悔いは皆には残してほしくないです。

〇お互いに向けて一言
鳥居:九月までの一年間は自分が引っ張ってきたつもりなので、後の一年間は中島に任せたと言いたいですね。

中島:やっぱり組んでいただいたことにお礼を言いたいですし、先輩から吸収したことを残りの一年でいっぱい生かしていきたいなと思います。



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